« 【映画評】金融腐蝕列島~呪縛 | メイン | 【映画評】黒い家 »

1999年11 月 2日 (火曜日)

【映画評】梟の城 (1999)

故司馬遼太郎原作の忍者の活躍を描く大作時代劇。

【満足度:★☆】

 故司馬遼太郎原作。豊臣秀吉暗殺の命を受けた忍者の活躍を描く大作エンターテイメント時代劇。

 最初に書いとく。モノ足んない。
 期待し過ぎたせいかもしれないけど、なんかこう、「決してマズイ料理ではないんだけど、腹八分目にも満たない」って感じ。

 篠田正浩監督の言う「あの時代の忍者は現代のKGBとかCIAのような存在」(劇場プログラムより抜粋)というのは理解できる。
 こそこそと活動する忍者の姿にそういう意味でのリアリズムを認めることはできるんだけど、“エンターテイメント”としては、その“こそこそ”した部分をもっと描いて欲しかった。
 主人公重蔵(中井貴一)が厳重な警備をかいくぐり、ふいに現れるとことか、あまりにもあっさりしてるから、スパイ映画のような緊張感を期待しないほうがいい。

 かつてのライバル五平(上川隆也)との敵対関係とか、クライマックスの秀吉(マコ・イワマツ)とのやりとりなど、おもしろおかしくなりそうな要素はたくさんあるんだけど、行儀良過ぎて大活劇という感じにはならない。

 小萩(鶴田真由)や木さる(葉月里緒菜)とのロマンスを取り上げて恋愛映画的に観るのも、ちとつらい。

 あと、CG合成がいかにも合成しましたって感じの箇所が多くて鼻につく。時代劇だから余計に目立ってしまうのよ。B級なSF映画だったりしたら、そんなもんてつもりで観るからそんなに気にならないんだけど…。

 なによりテーマとなっている“自分探し”の部分が希薄な気がしてならない。

 いろいろ書いたけど、不満ていうより、最初に書いたようにモノ足んないの。なんだか上品な割烹料理を正座して食べたような食後感でした。
 致命的にマズイと感じるとこはないんだけど、もうちょっとサービス精神旺盛なてんこ盛り映画を期待してしまっていた。
 巨匠篠田監督の作品なんだから、何度も観るうちに味が出てくるのかもしれないけど、率直にはエンターテイメントにはなり切れてないかな。文芸作品って色合いが濃いです。

 そのつもりで腰を据えて観れてれば結構いけてると思うんだけど、作品そのものより売り方がまずいんじゃないかなぁ。(筆者が勝手に誤解してただけ?)
 まだ公開されて間もないからこの先ヒットするのかどうかわからないけど、的外れな期待をさせる宣伝効果のおかげでヒットしちゃうと、逆に邦画嫌いが増えちゃわないか余計な心配してしまう。
 上映中、前の席にいた20代くらい男性が時間とともにダレていき、エンドクレジットが流れ始めると背伸びしてたのが、妙に印象的だった。(体の大きな人だったから見づらかったのよ)

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】中井貴一/鶴田真由/葉月里緒菜/上川隆也/永澤俊矢/根津甚八/山本學/火野正平/津村鷹志/マコ・イワマツ/筧利夫/花柳錦之輔/若松武史/馬渕晴子/田中伸子/小沢昭一/中尾彬/中村敦夫/岩下志麻
  • 【監督】篠田正浩
  • 【原作】司馬遼太郎『梟の城』
  • 【製作統括】羽佐間重彰
  • 【プロデューサー】角谷優/鯉渕優
  • 【脚本】篠田正浩/成瀬活雄
  • 【撮影】鈴木達夫
  • 【美術】西岡善信
  • 【音楽】湯浅譲二
  • 【衣装】朝倉摂
  • 【録音】瀬川徹夫
  • 【照明】海野義雄
  • 【編集】吉田博
  • 【助監督】浜本正機
  • 【時代考証】高津利治
  • 【能指導】観世榮夫
  • 【散楽指導】茂山千之丞
  • 【茶の湯指導】尾関南山
  • 【美術アドバイザー】浅葉克己
  • 【SFXスーパーバイザー】川添和人
  • 【アクションアドバイザー】毛利元貞
  • 【企画】松前洋一
  • 【日本公開】1999年
  • 【製作年】1999年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】138分

コメント (0)

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック (0)

この記事のトラックバックURL: ※承認制
http://www.typepad.com/services/trackback/6a0128762d7a9d970c0120a72a4f43970b

この記事へのトラックバック一覧: 【映画評】梟の城:

このページについて - About This Page

  •  『未完の映画評』は、映像業界で働く現役現場製作スタッフかみぃによる個人的な映画サイトです。
     “自戒としての映画批評”と銘打ち、映画館まで足を運んで観た劇場公開最新作の批評・感想・レビューをメインに、リアルタイムに進行する製作日誌、映画にとどまらない業界全般にまつわる雑談・裏話なども掲載しています。
     詳しくはこのサイトについてをご覧ください。

最近のコメント - Comments

2012年度 満足度評価 - Rating 2012

  • 2011年12月11日(日)~ 公開作品
  • ★★★★★ ≒ 溺愛
  • ★★★★☆ ≒ 秀逸
    | 最強のふたり | おおかみこどもの雨と雪 | アーティスト |
  • ★★★★ ≒ 満悦
    | 崖っぷちの男 | 捜査官X |
  • ★★★☆ ≒ 良好
    | 映画 ひみつのアッコちゃん | HOME 愛しの座敷わらし | バトルシップ | ドラゴン・タトゥーの女 |
  • ★★★ ≒ なかなか
    | トータル・リコール | 幸せへのキセキ | テルマエ・ロマエ | ももへの手紙 |
  • ★★☆ ≒ まあまあ
    | アベンジャーズ | ダークナイト ライジング | BRAVE HEARTS 海猿 | 臨場 劇場版 | 外事警察~その男に騙されるな | ブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン | ライアーゲーム-再生- | はやぶさ 遙かなる帰還 |
  • ★★ ≒ いまいち
    | エイトレンジャー | Another アナザー | ヘルタースケルター | ダーク・シャドウ |
  • ★☆ ≒ つまらん
    | Black&White/ブラック&ホワイト |
  • ★ ≒ ダメダメ
    | プロメテウス | 幸せの教室 |
  • ☆ ≒ ふざけんな
    |

最近のつぶやき - Twitter