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2000年1 月 5日 (水曜日)

【映画評】ファイト・クラブ (1999)

『セブン』のデイビッド・フィンチャー監督がブラッド・ピットと再び組んだ新感覚ムービー。

【満足度:★★★★】

 『エイリアン3』、『セブン』、『ゲーム』とミュージック・ビデオ出身の監督らしいスタイリッシュな映像で観客を堪能させてきたデイビッド・フィンチャー監督による挑発的映像の世界。
 不眠症に悩まされていたヤング・エグゼクティブ男(エドワード・ノートン)は自由奔放に生きるタイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)と出会い、本気で殴り合うことで自己啓発に目覚めていく。やがて同じような仲間が集まり自然発生的に“ファイト・クラブ”が組織されるが、カリスマ的リーダー・タイラーのやることはどんどんエスカレートしていき…。

 フィンチャー監督の集大成ともいえる作品に仕上がっている。
 「映画というメディアは21世紀にはこういう表現媒体となっていくのか」というのが第一印象。

 決してすべてが新しいというわけではない。演出テクニックとしては二番煎じなところも少なからずある。
 しかし作品世界としてはこれほど完成されたモノはそうない。
 二番煎じな部分も、過去の作品に対するオマージュと言ったほうがいいのだろう。

 フィンチャー監督はストーリーとは関係のないところでの演出がホントにうまい監督だ。
 フィルムに傷が付いたような表現や、フィルムのコマがぶれたような表現が突然挿入される。こういうテクニックは実験作品などでは見られても、劇映画では普通違和感を感じるものなのに、ちゃんと作品世界にマッチしている。
 ストーリーを追うというより、観客に画(え)を見せて楽しませることを忘れない監督なのだと思う。
 壮大なスケールのロングショットとかCGをふんだんに使ったスペクタクル映像とは違う形で、“映画は画で見せるもの”を再認識させてくれるのだ。
 ブラッド・ピットがフィンチャーをスタンリー・キューブリックの後継者と評するのもうなずける。

 昨年“映画の革命”と騒がれた『マトリックス』と同じように21世紀の映画が進むベクトルを感じる作品なのだが、それでいて『マトリックス』のようにストーリー説明にてこずるようなことはないし、過激といわれる暴力表現やテロ行為に進む展開もモラル的な感情移入ができる範囲のぎりぎりで踏みとどまっている。
 そういった点で『マトリックス』よりも完成度は高い。

 最後にブラッド・ピットは相変わらずかっこいいです。実際、そういった位置づけの役なのですが。
 でも主役はエドワード・ノートンと言うべき。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】エドワード・ノートン/ブラッド・ピット/ヘレナ・ボナム・カーター/ミート・ローフ・アディ/ジャレッド・レイ
  • 【監督】デイビッド・フィンチャー
  • 【脚本】ジム・ウールス
  • 【原作】チャック・ポーラニック『ファイト・クラブ』
  • 【製作】アート・リンソン/ショーン・チャフィン/ロス・グレイソン・ベル
  • 【製作総指揮】アーノン・ミルチャン
  • 【撮影監督】ジェフ・クローネンウェス
  • 【編集】ジェイムズ・ヘイグッド
  • 【プロダクション・デザイナー】アレックス・マクドウェル
  • 【衣装デザイナ-】マイケル・カプラン
  • 【特殊メイクアップ効果スーパーバイザー】ロブ・ボッティン
  • 【音楽】ザ・ダスト・ブラザース
  • 【原題】FIGHT CLUB
  • 【字幕翻訳】戸田奈津子
  • 【日本公開】1999年
  • 【製作年】1999年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】139分

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» ファイト・クラブ (★★むらの映画鑑賞メモ★★)
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» ファイトクラブ / Fight Club (我想一個人映画美的女人blog)
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