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2000年12 月10日 (日曜日)

【映画評】ピッチブラック (2000)

不時着した3つの太陽を持つ惑星に22年ぶりの夜が訪れ、生存者たちを闇の恐怖が襲う…。

【満足度:★★★】

 3つの太陽を持つ夜のない砂漠の惑星に不時着した定期航路宇宙船。一癖も二癖もある生存者たちはこの星からの脱出を模索するが、この星の地下には狂暴な未知なる生物が生息していたのだった!
 次々と犠牲者がでる中、この星に22年に一度の夜が訪れ、彼らの心の闇も姿を現す…。

 とまあ、設定自体はありがちなSFモンスターアクションホラー映画。
 しかし、不慮の事故に遭遇する冒頭からかなり力が入る。まくし立てる展開は観客の期待をいやがうえにも高ぶらせ、砂漠の地平線に三つの太陽が廻る光景は壮観。これぞSF映画って感じで気持ちいい。

 ただですね、肝心の夜が訪れてからの展開がいまひとつ盛り上がりに欠けるのよ。
 随所に「わかってるなぁ」って演出も見られて、なんとかテンションは維持できてるんだけど、目くるめく前半と比較するとあまりにありきたり。
 極限状態の恐怖のなかで、心の暗部があぶり出されるってプロットも理屈じゃ理解できるけど、深みに欠ける平凡なもの。
 前半、画(え)で魅了してくれたトゥーヒー監督にも、スクリーン上に写らない心の描写と、なにも写さないことに同義な闇夜の描写は、ちと手に余ったか。

 惜しむらくはヴィン・ディーゼル演じる殺人犯がもっと悪人してたら全体の説得力もあったかも。どうも彼がそんなに悪人に見えないのが後半を締まりのないムードにしてしまっていて致命的。これは彼の演技力が欠けるってことじゃなく、そういう描写が見当たらない脚本上のミス。
 狙いとしては、モンスター、闇夜、そして身内のひとりが殺人犯という三本柱によって極限状態を描こうとしたはず。そのひとつが大きく失敗してしまっているんだな。
 これ以上はネタバレになるんで書かないが、こういう肝心のところの未消化が気になってしまった。

 そんじょそこらのB級作品とは格の違いを感じさせる力作だが、今一歩物足りなさが残る。
 ただいい意味で、大作志向の『エイリアン2』や『スターシップ・トゥルーパーズ』などと比較したらかわいそう。知る人ぞ知るという佳作として名を残しそう。
 まずはこの手のジャンル作品をB級臭さも含めて楽しめる人にお薦め。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】ヴィン・ディーゼル/ラダ・ミッチェル/コール・ハウザー/キース・デイヴィッド/ルイス・フィッツジエラルド/クラウディア・ブラック/リアナ・グリフィス/ジョン・ムーア/サイモン・ブルーク
  • 【監督】デヴィッド・トゥーヒー
  • 【脚本】ケン&ジム・ウィート/デヴィッド・トゥーヒー
  • 【原案】ケン&ジム・ウィート
  • 【製作】トム・エングルマン/アンソニー・ウィンリー
  • 【製作総指揮】テッド・フィールド/スコット・ルーフ
  • 【撮影監督】デヴィッド・エグビー,A.S.C
  • 【美術監督】グラハム・“グレース”・ウォーカー
  • 【編集】リュックシャイン,A.C.E.
  • 【クリーチャーデザイン スーパーバイザー】パトリック・タトポロス
  • 【美術効果スーパーバイザー】ピーター・チャン
  • 【音楽】グレーム・レヴェール
  • 【原題】PITCH BLACK
  • 【字幕翻訳】風間綾平
  • 【日本公開】2000年
  • 【製作年】2000年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】108分

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