【映画評】BROTHER (2000)
世界のキタノが文字通りの世界進出を果たした、ロサンゼルスを舞台に繰り広げられるバイオレンス。
抗争の果てに日本を追われたヤクザの山本(ビートたけし)は、留学中の弟・ケン(真木蔵人)の居るロサンゼルスへ渡る。しかしケンは、悪友の黒人・デニー(オマー・エプス)らと共にドラッグの売人となっていた…。
北野武流の語り口で描かれる男の美学。静かなテンポながらも躍動に満ちた演出は世界を舞台にしても変わることなく、バイオレンスの持つ高揚と悲哀を見事に描ききる。
“兄貴”と慕われる山本とその仲間たちの本能に赴くままの行く末は押して計るべしだが、決して予定調和ではなく、観るものを裏切りながら、しかしきっちりと様式美に完成されていく様は観ていて気持ちいい。
ただ一点、唐突に挿入される渡哲也扮する仁政会組長の日本側のくだりは蛇足。海外向けへのサービスなのかもしれないが、突飛過ぎて作品のテンポを乱したとしか思えない。作品世界を大切にする監督北野らしからぬ過剰サービスだろう。これさえなければ満点だった。
それでもなお、観賞後の満足度は高い。またまた次回作が楽しみだ。
一部で残酷なシーンが取り沙汰されているが、あえてバイオレンス映画を観る心構えがあるならば騒ぐほどのものでもない。同時期にやはり話題となった、たけしも出演している深作欣二監督の『バトル・ロワイアル』の方が残酷さでは遥かに上だったと付け加えておく。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】ビートたけし/オマー・エプス/真木蔵人/加藤雅也/寺島進/ロイヤル・ワトキンズ/ロンバルド・ボイヤー/大杉漣/石橋凌/ジェームズ・シゲタ/タティアナ・M・アリ/渡哲也
- 【監督/脚本/編集】北野武
- 【音楽】久石譲
- 【衣装】山本耀司
- 【プロデューサー】森昌行/ジェレミー・トーマス
- 【コープロデューサー】吉田多喜男/アン・カーリ
- 【ラインプロデューサー】小宮慎二
- 【アソシエイトプロデューサー】ピーター・ワトソン
- 【撮影】柳島克己
- 【照明】高屋齋
- 【美術】磯田典宏
- 【録音】堀内戦治
- 【編集】太田義則
- 【助監督】清水浩
- 【キャスティング】吉川威史/ロビー・リード
- 【製作】オフィス北野/レコーデッド・ピクチャー・カンパニー
- 【製作協力】バンダイビジュアル/TOKYO FM
- 【配給】オフィス北野/松竹
- 【日本公開】2001年
- 【製作年】2000年
- 【製作国】日英合作
- 【上映時間】114分

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