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2001年5 月 4日 (金曜日)

【映画評】ダブル・デセプション-共犯者- (2000)

菊川怜主演、L.A.を舞台に繰り広げられる日米合作ノンストップアクション。

【満足度:★★☆】

 舞台は誘拐ビジネスがはびこるL.A.。
 ある夜、スーパーマーケットに駐車したリムジンからパーティードレスを身にまとった若い日系人女性・マリア(星野マヤ)が誘拐される。犯人グループのリーダー・スネーク(ジェイムス・ルッソ)は、日系企業の社長・尾崎謙三(中田浩二)の娘を誘拐して身代金を奪おうと目論んだのだ。それは元刑事のボディガード兼ドライバーのルーク・キャンベル(ルイス・マンデーラ)がちょっと目を離した隙のできごとだった。
 次の日、事件の情報を得た警察は尾崎邱を訪れるが、当の尾崎はまったく動じる気配がなかった。マリアは尾崎が安い給料で雇った替え玉だったのだ。そんな彼女のために身代金を払うつもりはないと言い切る尾崎。
 そのころ本当の娘である梨沙(菊川怜)は海岸でサーフィンに興じていた。だがしかし、その梨沙までもが誘拐されてしまう。その犯人はなんとルークだった…。

 菊川怜の体当たり演技が目を見張る日米合作アクション映画。
 もちろん監督大川俊道も主演の菊川怜も日本人ではあるが、日本語のセリフはほとんどなく、内容的には良くも悪くも低予算ハリウッド映画。

 最初に書いとくが、話は面白い。手の込んだ展開と派手な演出でクライマックスまで飽きることがない。
 ただ要所要所の演出で足踏みしてしまうところがあって、ちょっと惜しいかな。でも嫌いじゃない。

 で、役者に目を転じると、やはり菊川怜。
 映画初主演の菊川怜がいきなりハリウッドデビューということで、話題になってるのは知っていたがあまり期待せずに観た。
 その結果は、まあ演技としては及第点。英語のセリフを含め、巧いとは思わないけど、掛け値なしに真っ正面から体を張った演技はかなりの好印象。観てて思わず「菊川頑張れ!」と応援したくなった。好感度は抜群と言っておこう。

 そうは言っても裏を返せばぶっちゃけた話、彼女はまだまだ未熟なわけで、それでもあえて菊川怜を持ち上げたのにはわけがある。

 菊川怜がどうのとか言う前に、主演男優であるルイス・マンデーラを含めたネイティブのアメリカ人俳優の皆さんが下手過ぎ。ひょっとしたら遠方の地のひよっこ相手に手を抜いたのかも知れんが、もうちょっと真剣にやってよ。
 そんな中で彼女ひとりを槍玉に上げても可哀想ってもんだ。

 それ以上にもっと最悪なのは、基本である撮影がデタラメなこと。
 低予算だから安いフィルムしか使えないってのは許容範囲。でもさ、露骨なピンぼけはなんとかならなかったのか。アップで意味もなくフォーカス外してたら興醒めどころの騒ぎじゃない。
 最初は主演女優の肌をきれいに見せるためのソフトフォーカスなのかと思ったよ。まだ若い上にモデルでもある菊川怜にそんなことしなくったって大丈夫だろうって不思議に思ってたら、主演男優でもものの見事に外してた。
 どうもこれは撮影部の単純な失敗だと気づいてしまったあたりからは、もうピンぼけのオンパレード。
 「全体的に後ピンが多いってのは技師の問題ってより、ひょっとしたら安いカメラが故障してしまったのかもね」とか、「低予算の辛いところで撮り直しができなかったんだろうな」とか、いらぬところに気が廻ってしまって、せっかくの悪くはない作品がすべて台無し。
 菊川怜は試写を観て泣いただろうな。心中お察しします。

 そんなこんなで、最初にも書いたようにストーリーは悪くない。
 今一歩とはいえ、大川俊道監督の演出も日本人離れした派手なアクションで魅了してくれる。
 にもかかわらず作品的な評価はお薦めできるレベルではない。
 それでもなお、筆者は本作を嫌いにはなれない。

 そこで、強いて言うなら「観てあげてください」ってとこか。
 皆で孤軍奮闘している菊川怜を観てあげよう。
 頑張れ菊川、負けるな菊川怜っ!

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】菊川怜/ルイス・マンデーラ/ウド・キアー/ジェイムス・ルッソ/中田浩二/星野マヤ/ジョー・エステベス/ジミー・ステイシス/ジョナサン・レビ/デビッド・バリイ/マイルス・オブライアン/サニー・ノクス
  • 【監督】大川俊道
  • 【製作総指揮】グレゴリー・ハタナカ/ケンスケ・イシノ
  • 【プロデューサー】タカ・アライ
  • 【キャスティング】ドナ・ブロア
  • 【衣装デザイン】ティム・ノーマン
  • 【美術】デビット・クーパー
  • 【音楽】ジェレミー・C.グロディ
  • 【編集】ニナ・カワサキ
  • 【撮影監督】ブレイン・ブラウン
  • 【脚本】クリス・チャン・リー/大川俊道
  • 【衣裳協力】株式会社パームス/株式会社MURAI/ムーンバット株式会社/X・I・S
  • 【製作】PHAEDRA CINEMA/劇団櫂/マーズ・プロダクション
  • 【制作協力】Pathfinder Pictures Production
  • 【協力】オスカープロモーション
  • 【配給】アルゴ・ピクチャーズ
  • 【原題】DOUBLE DECEPTION
  • 【字幕翻訳】杉山緑
  • 【日本公開】2001年
  • 【製作年】2000年
  • 【製作国】日米合作
  • 【上映時間】84分

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