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2001年6 月17日 (日曜日)

【映画評】ハンニバル (2000)

アカデミー賞受賞作『羊たちの沈黙』の10年ぶりの続編。

【満足度:★】

 傑作サイコ・スリラー『羊たちの沈黙』から10年、満を持して公開された続編は、あまりに期待はずれな凡作だった。

 今回、この話題作の監督を引き受けたのは前年アカデミー賞の最優秀作品賞ほかの主要5部門を受賞した『グラディエーター』のリドリー・スコット。
 でも本作は失敗作だよ。

 FBI捜査官クラリス・スターリングはジュディ・フォスターからジュリアン・ムーアに配役が変わってしまったが、それはさしたる問題ではない。本作を見る限りジュリアン・ムーアはよくやってると思うし、前作から10年後という設定からしても、違和感はそれほど感じなかった。
 前作から引き続いてハンニバル・レクター博士を演じるアンソニー・ホプキンスは、やはり堂々の貫禄で、これまた問題などあるはずがない。
 彼ら以上にいい感じだったのが、名を変えてフィレンツェに潜伏するレクター博士の正体を見破った刑事リナルド・バッツィを演じたジャンカルロ・ジャンニーニ。彼の持つ人間臭さが本作での一番の見どころといってもいい。
 各々の役者は充分に自分の仕事を果たしているのに、しかし作品全体として見たときにひどく中途半端な印象しか残らない。いったい誰が主役なんだ!

 筆者としてはバッツィ刑事の活躍している中盤がもっとも面白く観れたのだが、その前後がどうにも食い足りない。
 特に、話題のおぞましきクライマックスがあまりに唐突で、その衝撃というより、あっけにとられてしまった。
 あれがレクター博士の愛情表現なのか?
 それまでの展開からするとそういうことになってしまうのだが、それを感性で理解するのは筆者には無理だ。
 あのクライマックスは、残酷さを“売り”とするために用意された過剰サービスとしか思えない。

 美女と野獣のラブストーリーと見る向きもあるが、こんなのそんな上等なもんじゃない。だとしたら、一番充実しているバッツィ刑事のエピソードが蛇足になってしまうではないか。
 はなからバッツィ刑事を話の中心に据えて一本の作品とした方がよっぽどか観るに値した快作になったはずだ。元々『羊たちの沈黙』だってクラリスが主人公でありながら、レクター博士の存在感がそれを食ってしまっていたんだから、今回だってそれはできたはず。
 その辺の料理の仕方を誤まって、単なるゲテモノ・ゴッタ煮映画に成り下がった本作は駄作以外のなにものでもない。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】アンソニー・ホプキンス/ジュリアン・ムーア/レイ・リオッタ/フランキー・R・フェイゾン/ジャンカルロ・ジャンニーニ/フランチェスカ・ネリ/ヘイゼル・グッドマン
  • 【監督】リドリー・スコット
  • 【原作】トマス・ハリス
  • 【製作】ディノ・デ・ラウレンティス/マーサ・デ・ラウレンティス/リドリー・スコット
  • 【脚本】デビッド・マメット/スティーブン・ザイリアン
  • 【撮影】ジョン・マシソン
  • 【プロダクション・デザイナー】ノリス・スペンサー
  • 【コスチューム・デザイナー】ジャンティ・イェーツ
  • 【編集】ピエトロ・スカリア
  • 【音楽】ハンス・ジマー
  • 【特殊メイクアップ】キース・バンダーラーン/グレッグ・キャノン/ウェス・ウォフォード
  • 【製作総指揮】ブランコ・ラスティグ
  • 【製作】スコット・フリー
  • 【共同提供】ユニヴァーサル・ピクチャーズ/メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・ピクチャーズ
  • 【提供】ギャガ・コミュニケーションズ/TBS/博報堂/WOWOW/ヒューマックスピクチャーズ
  • 【協賛】デジタル・メディア・ラボ
  • 【共同配給】ギャガ・ヒューマックス
  • 【原題】HANNIBAL
  • 【字幕翻訳】戸田奈津子
  • 【日本公開】2001年
  • 【製作年】2000年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】131分

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