【映画評】CASSHERN(キャシャーン) (2004)
新造人間を巡る人類の命運を掛けた戦いを壮大なCG映像で描く一大SF叙事詩。
争いが絶えず、一部の特権階級の老人たちが世界を牛耳る腐敗したある世界。東博士(寺尾聰)の研究する“新造細胞”が、謎の稲妻を受け、意図していなかった“新造人間”たちが誕生する。
一方、東博士に反抗して最前線の戦地に赴いた息子の鉄也(伊勢谷友介)は戦死してしまう。彼の死を悲しむ東博士は、彼を新造細胞を使って蘇らせる暴挙に出てしまう。
新造人間に恐怖を感じた人間たちは彼らを抹殺せんとするが、ブライキング・ボス(唐沢寿明)をリーダーとした新造人間たちは自分たちを苦しめる人類に宣戦布告。そして彼らと同じ新造人間として生まれ変わった鉄也は…。
作っていた人、観た人の双方からあんまりいい評判を聞いていなかったので、まったく期待せずに観たが、予想したほどつまんなくもなく、案外まともに観れた。まぁ、これを「アニメマンガの実写化」として期待して観てたら怒りたくもなるだろうが、監督のやりたいようにやったというのが伝わってきて、いい意味での独り善がり映画だと思う。大金掛けて作った自主制作映画のようなもんだな。
台詞も少なく、判り易さを前提とした構成ではないので一見難解だが、要所要所のエピソードや台詞を、解ろうとしながら繋いでいけばそんなに難しい話でもない。ストーリー的にはSF作品としてありふれた話だ。ただそれがあまりに断片的、象徴的に描かれるために、普通のハリウッド映画的な娯楽映画に見慣れていて、これにそれを期待したら混乱するだろう。
この監督の演出スタイルに好意的にさえなれれば、自分のイメージする世界を存分に映像化したという点において、たとえそれが独り善がりで、ありふれたメッセージであっても、観ていて気持ちいい。作り手の側の人間としては、羨ましいといったほうがいいだろう。この感覚はまさに、低予算でも自由な作品作りをしている自主制作映画を観たときのそれに等しい。
ただ、この『CASSHERN』において、それが素直に誉められたものではないのもまた事実だ。ほとんどの観客はお金を払い、時間を割いて、これらの対価に応じたある程度の期待を持って観る。この作品がその期待に応えられるかというと、大多数の観客が「期待外れ」と感じるのは容易に想像がつく。筆者のように好意的な観客は例外だろう。
この作品で一番問題なのは、サービス精神の欠落だ。
この作品を観ていて、同時期に観た『キューティーハニー』、大ヒットした『スパイダーマン』などが頭をよぎったのだが、それらの監督もそれぞれに有名な原作を使い、存分に自分の世界観で映像化してみせたが、彼らには観客を楽しませるという姿勢があった。しかし本作においては、一方的にやりたいことをやって自己満足で終わっているという感がぬぐえない。おもちゃを手に、一人で遊んでる様を見せておいて、「ほら、楽しいおもちゃだろ」と言われている、そんな感覚だ。
承知のうえで書いているのだが、この“一方的な自己満足”という問題は、先の“自由な作品作り”という美点と矛盾する。矛盾するからこそ、商業映画を作るということは難しいのだ。
紀里谷監督に劇場用長編映画、すなわちお金を取って見せる商業映画の次回作があるのかどうかは知らないが、もしあるのなら、もう少し観客側に立った作品作りを試みて欲しい。筆者はそれを観てみたい。多額な出資はできないけれど、もう一回ぐらい入場料を払ってみてもいい。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】伊勢谷友介/麻生久美子/寺尾聰/樋口可南子/小日向文世/宮迫博之/佐田真由美/要潤/西島秀俊/及川光博/寺島進/鶴田真由/りょう/玉山鉄二/森口瑤子/大滝秀治/三橋達也/唐沢寿明
- 【監督/撮影監督/編集】紀里谷和明
- 【プロデュース】宮島秀司/小沢俊晴
- 【プロデューサー】若林利明
- 【原作】「新造人間キャシャーン」(竜の子プロダクション)
- 【脚本】紀里谷和明/菅正太郎/佐藤大
- 【プロダクションデザイナー】林田裕至
- 【VFXスーパーバイザーズ】木村俊幸/野崎宏二
- 【CGスーパーバイザー】庄野晴彦
- 【ヘアアンドメイクアップアーティスト】稲垣亮弐
- 【衣装】北村道子
- 【アートプロデュース】赤塚佳仁
- 【撮影】紀里谷和明/森下彰三
- 【照明】渡部嘉
- 【録音】矢野正人
- 【バトルシーンコンテ】樋口真嗣
- 【アクションディレクター】諸鍛治裕太
- 【音楽】鷺巣詩郎
- 【テーマソング】宇多田ヒカル
- 【コンセプチャルデザイン】木村俊幸/林田裕至/庄野晴彦/DK
- 【アソシエイトプロデューサー】野地千秋/田中誠/姉川佳弘
- 【助監督(1st.)】野間詳令
- 【スクリプター】梛川泰子
- 【演技事務】小島都
- 【ラインプロデューサー】椋樹弘尚
- 【製作】久松猛朗
- 【製作総指揮】迫本淳一
- 【製作】松竹/プログレッシブ ピクチャーズ/エレクトリック・ゴースト/衛星劇場/テレビ朝日/朝日放送/タカラ/伊藤忠商事/TOKYO FM/イソリューションズ/菱和ライフクリエイト/ビッグショット
- 【配給】松竹株式会社
- 【日本公開】2004年
- 【製作年】2004年
- 【製作国】日本
- 【上映時間】141分
- 【公式サイト】http://www.casshern.com/

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karasima-d繋がりでTBさせていただきました。
送付上手くできなく、このようになりました。オーバー分は削除お願いいたします。
投稿情報: タイで想う日々 | 2004年7 月27日 (火曜日) 02:32
こんにちは。
了解です。余分なTBは削除しておきました(^_^)b
これからもよろしく。
投稿情報: かみぃ | 2004年7 月27日 (火曜日) 10:43