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2005年1 月 3日 (月曜日)

【映画評】ゴジラ FINAL WARS (2004)

生誕50年目にして最後の闘いとなる怪獣王ゴジラの最終作。

【満足度:★★★】 (鑑賞日:2005/01/02)

 1954年に突如として東京に現れた大怪獣ゴジラも人類との激しい戦いの末、南極の氷の奥底に閉じ込められていた。
 しかし環境破壊の進んだ地球上にはゴジラ以外にも次々と怪獣が現れ、人類はいつ終わるともつかない戦いを強いられていた。そこに救世主の如く現れるX星人たち。圧倒的な科学力で瞬く間に怪獣たちを退治した彼らだったが…。

 『VERSUS-ヴァーサス-』や『あずみ』などスタイリッシュなアクション映画で知られる北村龍平を監督に、主演にはTOKIOの松岡昌宏と菊川怜を迎えて作られたゴジラシリーズ第28作目にして最終作。歴代の怪獣たちが多数登場して世界中で暴れ回り、豪華キャストで描いた最終作にふさわしい超大作。
 正直、あまり評判がよくないようだったので覚悟して観に行ったんだが、どうしてこうして、けっこうまともだった。

 怪獣たちが世界中に現れたり、人間側もマトリックスばりのアクションを披露したりと、ゴジラ映画らしからぬ印象を受けるのも確かだが、北村龍平カラーを前面に出せばこうなることは東宝が監督を依頼した時点で目に見えていたことで、ゴジラ映画の域にとどまらないこの作品の個性だと受け止めるべき。
 そう考えると、『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)で担当した金子修介監督が、怪獣を神聖なるものとして捉え、「なぜゴジラや怪獣たちは日本にしか現れないのか?」という命題に取り組んだことが思い出される。この『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』と、180度反対の発想で作られた今回の『ゴジラ FINAL WARS』とを見比べると、映画という表現媒体において監督の作家性がどのように発揮されるかがわかって興味深い。
 おまけに北村監督が撮った『あずみ』の続編を金子監督が担当しており、この春に公開を控えている。これもまたどういう作品になっているか楽しみだ。

 話を今回の『ゴジラ FINAL WARS』に戻そう。
 まず脚本が世界を股にかけたエピソードをよく交通整理してあって、相当数の怪獣が登場するにもかかわらず無理がない。もちろんゴジラシリーズとしてはという前置きが必要となるのだが、それでもこれだけのボリュームをよく詰め込んだと感心した。
 また、行きあたりばったり的ではあるが、理屈をこねることなく闇雲に街を破壊しつくす展開は、怪獣映画ならば必須であるべき破壊のカタルシスを思い出させてくれた。

 俳優陣も松岡昌宏、菊川怜、そしてX星人を演じた北村一輝を筆頭に、ゴジラ映画、怪獣映画というより戦争アクション映画と言ったほうがいいこの撮影内容で充分に責任を果たしている。少なくとも前作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年 手塚昌明監督)とは比較にならないぐらいまともな演技を見せてくれる。

 ではそれで面白い作品になったかというと、これが微妙。
 とくにゴジラが氷の中から復活してくる中盤までがまるっきり盛り上がらない。ゴジラが登場しないからつまらないなどと言うつもりはない。ただ、終始人間たちのアクションシーンで北村龍平監督の持ち味を存分に発揮しているはずなのに、これに高揚感が伴わないのだ。
 復活後のゴジラが次々と怪獣たちを倒していく様は観ていて気持ちいいのだが、これは主に特撮班の功績で、見方を変えれば北村龍平監督の演出力の無さが露呈してしまっているといっていい。スタイリッシュなアクションは撮れても、感情に訴えかけることができていない。まるで観客をだますテクニックはうまくても、それを盛り上げるトークが伴わない素人手品師の退屈なショーを観ているような気分。
 あえて比較するなら金子修介監督の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の方がその辺は遥かに長けていた。

 全体的には悪くないポテンシャルを秘めていただけにこの点だけが惜しまれるが、総じてゴジラシリーズの集大成としての合格点はあげれるんではないだろうか。
 ただ、これが本当にゴジラシリーズ最終作かというと、そんな見え透いた売り文句はこれっぽちも信じちゃいない

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】松岡昌宏/菊川怜/Don Frye/水野真紀/北村一輝/ケイン・コスギ/水野久美/佐原健二/船木誠勝/長澤まさみ/大塚ちひろ/四方堂亘/須賀健太/泉谷しげる/伊武雅刀/中尾彬/上田耕一/橋爪淳/榊英雄/羽鳥慎一/小橋賢児/マイケル富岡/大槻義彦/韮澤潤一郎/篠原ともえ/角田信朗/木村大作/松尾貴史/佐野史郎/谷原章介/さとう珠緒/Ray Sefo/Gary Goodridge/田中要次/山寺宏一/國村隼/宝田明
  • 【監督】北村龍平
  • 【特殊技術】浅田英一
  • 【音楽】Keith Emerson/森野宜彦/矢野大介
  • 【タイトルデザイン】Kyle Cooper
  • 【製作】富山省吾
  • 【脚本】三村渉/桐山勲
  • 【プロデューサー】山中和成
  • 【アソシエイトプロデューサー】鈴木律子
  • 【音楽プロデューサー】北原京子
  • 【撮影】古谷巧
  • 【美術】瀬下幸治
  • 【録音】斉藤禎一
  • 【照明】高坂俊秀
  • 【編集】掛須秀一
  • 【キャスティング】城戸史朗
  • 【アクションコーディネーター】竹田道弘
  • 【カースタントコーディネーター】雨宮正信
  • 【助監督】斎藤博士
  • 【製作担当者】金澤清美
  • 《特撮》
  • 【撮影】大川藤雄
  • 【特殊美術】三池敏夫
  • 【照明】川辺隆之
  • 【造形】若狭新一
  • 【特効】久米攻
  • 【操演】鳴海聡
  • 【ゴジラ/スーツアクションアドバイザー】喜多川務
  • 【助監督】石井良和
  • 【製作担当者】大浦俊将
  • 《特撮別班》
  • 【演出】加藤晃
  • 【撮影】佐々木雅史
  • 【照明】伊藤保
  • 【操演】小川誠
  • 《海外》
  • 【演出】高津隆一
  • 【撮影】清久素延
  • 【照明】横道将昭
  • 【助監督】村上秀昭
  • 【製作担当者】川田尚広
  • 《視覚効果》
  • 【プロデュース】小川利弘
  • 【スーパーバイザー】泉谷修
  • 《デザインワークス》新川洋司/寺田克也/西川伸司/韮沢靖
  • 【製作】東宝映画
  • 【配給】東宝
  • 【日本公開】2004年
  • 【製作年】2004年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】125分

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