« 【製作日誌】映画B:仕事始め | メイン | 【お知らせ】カテゴリを再編しました »

2005年1 月 7日 (金曜日)

【映画評】インストール (2004)

上戸彩がエロチャットにはまる女子高生を演じるポップな青春映画。

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2005/01/06)

 ある日、衝動的に平凡な毎日からドロップアウトする決意をした女子高生・野沢朝子(上戸彩)は、部屋中の家具、雑貨類、荷物一式を粗大ゴミとして処分する。それを偶然見かけた小学生・かずよし(神木隆之介)は、その粗大ゴミの中から故障して動かなくなったパソコンを貰って帰る。
 数日後、登校拒否の日々を満喫する朝子は、パソコンにOSをインストールしなおして復活させたかずよしと再会。かずよしは無気力な毎日を送る朝子に、人妻の風俗嬢になりきってエロチャットで男たちとHな会話をするバイトをしないかと誘うのだった…。

 『蹴りたい背中』で芥川賞を最年少で受賞した綿矢りさが17歳の時に書いたベストセラー小説を売れっ子アイドル女優・上戸彩主演で映画化。
 ということで、話題性優先で作られたお手軽低予算アイドル映画と決め込んで高を括っていたのが見事に裏切られた。見くびっていた反動で観終わったあと軽く動揺してしまった。

 冒頭のキャストタイトルからしてテレビディレクター出身の監督らしい軽いタッチが、ポップというより予想通りの安っぽさ
 あざとさ120%の上戸彩のパンチラカットに、大股を開いて仰向けに横たわる彼女の姿を舐めるように捉えていくカメラアングルと、これ以上はないというぐらいお下劣アイドル映画路線まっしぐら
 映画が始まってしばらくは、「救いようのない駄作になるのか」と落胆しかかっていたのだが、いよいよエロチャットが始まると、性の世界にのめり込んでいく朝子と同様、こちらもこの作品世界に引き込まれていったのだった。

 最初はその下品さを嫌味に感じたが、それも計算ずくの演出なのだとわかってくると俄然面白くなってくるのだ。
 今を時めくアイドル・上戸彩に「濡れた」とまで言わせる直球の台詞で綴られた脚本といい、その身体を露骨なまでに性的な視点で写し取る演出といい、それらデフォルメされた“いかがわしさ”までもが、現代のリアルな映し鏡となっていることに気付かされ、映画の印象は一変。
 そしてそれはクライマックスでの朝子からかずよしへのある誘いによって最高潮に極まった。甘酸っぱい緊張感が凝縮されたスリリングな名シーンだ。
 その後、この手の映画の定石どおり平凡な生活に戻ることを選ぶ朝子が何も変わらないと嘆いてみせるが、形には見えなくともその姿勢の変化にさわやかな感動を覚えた

 正直、周辺人物の描き込みに物足りなさを感じたり、終始鳴り続けるBGMがうるさ過ぎたりと、映画的完成度は低いといわざるをえない。案の定、世間の評判も芳しくないらしい。
 しかし、ツボにはまると青春のバイブルと成りうる一本だと思う。心に残る一本に大人の論理での良し悪しなんぞ関係ない。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】上戸彩/中村七之助/神木隆之介/今福將雄/花原照子/大河内浩/宇梶剛士/森下能幸/村島リョウ/田中要次/神戸浩/矢作公一/吉田朝/橋本甜歌/藤谷舞/脇知弘/Kaoru/菊川怜/小島聖/田中好子
  • 【監督】片岡K
  • 【原作】綿矢りさ
  • 【製作】黒井和男
  • 【プロデューサー】佐藤直樹/有重陽一
  • 【脚本】大森美香
  • 【ライン・プロデューサー】田中敏雄
  • 【撮影】池田英孝
  • 【照明】後藤謙一
  • 【美術】磯田典宏
  • 【録音】郡弘道
  • 【音楽プロデューサー】岩井健郎
  • 【音楽】Rita iota
  • 【VFXプロデューサー】大野丈晴
  • 【編集】大森晋
  • 【装飾】佐原敦史
  • 【スクリプター】市川桂
  • 【音響効果】齋藤昌利
  • 【助監督】大野伸介
  • 【製作担当】吉崎秀一
  • 【企画協力】古雅誠一
  • 【製作】角川映画/テレビ東京/日活/ハピネット
  • 【配給】角川映画/エンジェル・シネマ
  • 【日本公開】2004年
  • 【製作年】2004年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】94分

他のブログの批評・感想・レビュー - Reactions

コメント (8)

あの「濡れた」っていうセリフには正直ドキッとさせられました(笑)
この作品、あまり評判が良くないのですか?

TBありがとうございます!!
インストールは原作から入ったため
映画はどうかな?という先入観がありましたが、
細部にわたり、抜かりの無い作りになっていて、
とても作品の流れがしっかりしていました。
なので、すんなり世界に入ることができました☆
お気に入りです♪

>chishiさん
どうもです。
あちこちの感想を覗いてみると、「朝子の行動が理解できない」とか、「上戸彩の可愛らしさをを満喫するだけアイドル映画」という感想が多いみたいです。
僕は青春映画として結構共感できたんですけどね。

>Ricaさん
どうもどうもです。
文字だけで表現しなくちゃいけないチャットの世界をうまく再現してたですね。
文字の書体を崩して不安な感情を表現するとか、いかにもテレビ出身の監督らしい、そつのないいい作りでした。

初めまして。
映画トラックバック劇場なるものを開設いたしました。
よろしければトラックバックをお願い致します。

TBしっぱなし、ご挨拶もろくにできない失礼な猫姫です、こんばんは。
コメまで、ありがとうございました。
あたしのようなおばさんには、いまいち、に?な映画でした。
また、よろしくおねがいしま~す!

>猫姫さん
いえいえ、こちらこそこれからもよろしくお願いします。

「インストール」の音楽を担当したRITAさんの記事を載せました! TBもしちゃいました! 良かったら遊びに来てください!!

http://www4.ocv.ne.jp/~fanx3/

> KINKINさん
コメントありがとうです。
これからもよろしく!

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック (9)

この記事のトラックバックURL: ※承認制
http://www.typepad.com/services/trackback/6a0128762d7a9d970c0128762d8679970c

この記事へのトラックバック一覧: 【映画評】インストール:

» インストール (39☆SMASH)
実は、明日の夕方から旅行に出かけるんですよ。 まぁ、“旅行”と言っても福岡近辺を泊りがけでウロチョロするだけなんですけどね(笑) 仕事が終わってから行くので、初日は超疲れてそうだな・・・。 『インストール』 あらすじ 『平凡な毎日を送る平凡...... [続きを読む]

» 上戸彩 -インストール- (ぐぅちゅえんの見たり読んだり)
そんなに期待せずに観たせいか、 思わぬ拾い物をした気分。 全体の雰囲気がいい、「インストール 」 少しシュールでコケティッシュ。 微妙なバランスの上に なりたっているような感覚。 神木隆之介は、「SURVIVE STYLE5+」で、鳥になった お父さんの子供役をしてたな。... [続きを読む]

» 【映画】インストール (としの備忘録 ~最近物忘れが激しい)
としです。 [続きを読む]

» 「インストール」 (☆。°。Pixy World 。°。☆)
借りてきましたぁ!! で、早速、映画鑑賞!! 観てて最初に思ったこと、それは「あっ、Macだ…」でした(笑) この物語で使われるパソコンって、Macだったんですねぇ。 それも、ちょっと古いタイプのレトロ感(?)がMac好きを虜にします(爆) 映画的な感想... [続きを読む]

» インストール 今年の92本目 (猫姫じゃ)
インストール   「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した綿矢りさのデビュー作の同名小説を映画化。 これは17歳の時に書いたもので、第38回文藝賞受賞、、ですって、、、 もちろん、綿矢りさ って、読んだことありませ〜ん! 読む気もしませ〜ん!   イン... [続きを読む]

» Mac風なインストールサイト (KIND of BLUE Blog)
インストール公式サイト 上戸彩主演の映画、インストールのサイト。(映画自体は見てないケド) なぜかMac OS 9風の作りで面白いっす。Windowsの人も... [続きを読む]

» インストール (30歳独身男Kazuakiの映画日記)
「上戸彩とエロチャットできる! サービスカット満載! さあ急げ! なーんてね(^^)。まあ、二人の掛け合いも笑えるし、なかなかおもしろいよ。」 2005年元旦2... [続きを読む]

» 『インストール』:バレ無 (空の色)
今日、東京国際映画祭で『インストール』観て来ました♪ 原作はコミックにおこされたものを読んだことがあって 大体の話は知っていたので、どんな風に片岡K監督が 作... [続きを読む]

» 【レビュー】インストール (由田番の日々の戯言@DIARY)
トラックバックありがとうございます。私もツボにはまった一人です(笑 [続きを読む]

このページについて - About This Page

  •  『未完の映画評』は、映像業界で働く現役現場製作スタッフかみぃによる個人的な映画サイトです。
     “自戒としての映画批評”と銘打ち、映画館まで足を運んで観た劇場公開最新作の批評・感想・レビューをメインに、リアルタイムに進行する製作日誌、映画にとどまらない業界全般にまつわる雑談・裏話なども掲載しています。
     詳しくはこのサイトについてをご覧ください。

最近のコメント - Comments

2012年度 満足度評価 - Rating 2012

  • 2011年12月11日(日)~ 公開作品
  • ★★★★★ ≒ 溺愛
  • ★★★★☆ ≒ 秀逸
    | 最強のふたり | おおかみこどもの雨と雪 | アーティスト |
  • ★★★★ ≒ 満悦
    | 崖っぷちの男 | 捜査官X |
  • ★★★☆ ≒ 良好
    | 映画 ひみつのアッコちゃん | HOME 愛しの座敷わらし | バトルシップ | ドラゴン・タトゥーの女 |
  • ★★★ ≒ なかなか
    | トータル・リコール | 幸せへのキセキ | テルマエ・ロマエ | ももへの手紙 |
  • ★★☆ ≒ まあまあ
    | アベンジャーズ | ダークナイト ライジング | BRAVE HEARTS 海猿 | 臨場 劇場版 | 外事警察~その男に騙されるな | ブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン | ライアーゲーム-再生- | はやぶさ 遙かなる帰還 |
  • ★★ ≒ いまいち
    | エイトレンジャー | Another アナザー | ヘルタースケルター | ダーク・シャドウ |
  • ★☆ ≒ つまらん
    | Black&White/ブラック&ホワイト |
  • ★ ≒ ダメダメ
    | プロメテウス | 幸せの教室 |
  • ☆ ≒ ふざけんな
    |

最近のつぶやき - Twitter