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2005年2 月 1日 (火曜日)

【映画評】東京タワー (2004)

年上女性と少年、二組の不倫カップルが深みに落ちていく恋愛の始終。

【満足度:★】 (鑑賞日:2005/01/30)

 そこは窓から東京タワーの見えるマンションの一室。「なぜ男と女が惹かれ合うのか、考えたことがある?」小島透(岡田准一)のそんな問いかけに答える浅野詩史(黒木瞳)。
 地下駐車場。川野喜美子(寺島しのぶ)は車庫入れがうまくいかず苛立っていた。面倒くさがりながらも手を差し伸べる大原耕二(松本潤)。
 女はともに家庭を持っている。若い男と年齢差のある人妻が織り成す恋愛模様。それぞれに落ちるしかない恋に溺れていく…。

 人気女流作家・江國香織原作の同名小説の映画化。
 最初に書いとく。これほどまでに作品世界に入れなかった映画は久々。
 予告編を見たときから、自分とはかけ離れた世界の話ということである程度は予想してた。にしても、だ。

 東京タワーを軸にした美しい映像は素晴らしいと思う。俳優陣の魅力も充分にスクリーンから溢れている。
 しかし、一昔前のトレンディードラマのような設定や、いちいちが決め台詞のような小恥ずかしい台詞回しがあざと過ぎ、大人の恋愛ファンタジー、ある種の夢物語を通り越して、絵空事にしか見えない。
 観る人によるのだろうが、筆者自身は自分の生活やモラル感と折り合う部分が皆無で、とくに前半、あまりに退屈で、座席に座っているのが苦痛でしかなかった。

 中盤以降、不倫関係が泥沼化し始めてからは、少しは共感できる部分をなんとか見つけることができたのがせめてもの救い。
 不倫中の四人の中では比較的庶民的な喜美子が“バージョンアップ”していく様は可笑しかったし、耕二にまとわりついてくる訳ありの同級生・吉田(平山あや)や同世代の彼女・由利(加藤ローサ)も、若いなりに演技こそ拙いが、この無味乾燥な作品の中ではそのピュアさが逆に潤いを与えてくれる。
 一応常識的なモラルを持ちあわせている詩史の夫(岸谷五朗)や透の母(余貴美子)が絡んでくるようになって、ようやく観るに耐える状況が整った。

 とりわけ透の母・陽子を演じる余貴美子の気迫の演技が白眉。前半のひょうひょうとした芝居から一転して、詩史に恨み節をぶちまけるシーン、マジ怖かったです。
 他に見所がないせいでもあるが、筆者的にはこのシーンだけで元をとった気分。

 上映終了後、遠くの席から若い女性の「すっごい泣けたーっ!」との声が聞こえて、目が点になった。
 おじさんにはこの映画のどこで泣けるのか理解不能。成否を別にしても、泣かせどころがあったことすら気づかなかったぞ。
 映像的には丁寧に作ってあってそつがないんだけれど、この映画に満足できるのって、こういう岡田准一や松本潤に思い入れがある女性ファンぐらいじゃないのかねぇ。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】黒木瞳/岡田准一/松本潤/寺島しのぶ/平山あや/半田健人/加藤ローサ/筒井真理子/未來貴子/銀粉蝶/宮迫博之/石橋蓮司/ミレーヌ・ドモンジョ/余貴美子/岸谷五朗
  • 【監督】源孝志
  • 【原作】江國香織『東京タワー』
  • 【製作総指揮】平井文宏
  • 【製作】奥田誠治
  • 【企画プロデュース】佐藤敦
  • 【脚本】中園ミホ/源孝志
  • 【音楽】溝口肇
  • 【プロデューサー】佐藤貴博/北島和久/渡邉浩仁
  • 【撮影】袴一喜
  • 【照明】武田淳一
  • 【美術】小池寛
  • 【録音】横溝正俊/野中英敏
  • 【編集】日下部元孝
  • 【スクリプター】天池芳美
  • 【監督補】井原眞治
  • 【製作担当】市川幸嗣
  • 【配給】東宝株式会社
  • 【製作】「東京タワー」製作委員会(日本テレビ放送網/電通/ジェイ・ストーム/バップ/日本出版販売/TOKYO FM/アバンティコミュニケーションズ)
  • 【制作】日本テレビ放送網株式会社
  • 【制作協力】株式会社日本テレビアート/有限会社三城
  • 【日本公開】2005年
  • 【製作年】2004年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】126分

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コメント (9)

TBありがとうございました。
泣ける人は、ただただ自分を登場人物に投影していたようですよ。
不倫中の人、不倫願望のある人、ジャニーズファンの人、と評価が高い人はけっこういるもんです。
俺のところの掲示板が・・・生々しかったりします・・・

かみぃ様
コメントとリンクありがとうございます。
よく見れば、映画関係の方でしたね。
ブログを始めたばかりで、今のところデザインばかりいじっていて、内容が伴わない私ですが、励みになります。
こちらからもリンクに追加させて頂きました。

>kossyさん
コメントありがとうございます。
掲示板、拝見させていただきました。

…生々しいですな(苦笑)
うん、観る人による映画だとは思ったんですよ。
この作品世界を受け入られないのは、ひょっとして自分のモラル感は堅ブツ過ぎるのかもって心配にもなったし(汗)

まぁ、相容れなかったのはしかたないので、悩んだ末に★ひとつとしましたが、映像的な作り込みはしっかりしているし、この映画を“駄作”扱いはしたくない。
問題作というほど立派なものとも思いませんが、なんだか不思議な映画でした。

>yas0233さん
> 今のところデザインばかりいじっていて
みんなそんなもんだと思いますよ。
かくいう自分も、しょっちゅうどうでもいいような細かいところをいじっています(苦笑)

> 内容が伴わない私ですが
そんなことないですよ。
内容的には充分完成されていると感じました。
問題はマイペースを続けられるかどうかなんですよね。
この先、ネタ不足やスランプなどで更新が滞ることもあるかもしれませんが、「書けるときには書く」ぐらいの軽い心づもりで頑張ってください。
期待しています(^^)

TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。かなり、同感です。

>distanさん
コメントありがとうです。
この映画を理解できなかったお仲間のようですね(笑)
ターゲットにした“不倫適齢期層”にはそれなりに受けているようで、映画としては成功と言えるんでしょうが、あまりにお粗末な内容に脱力です。

はじめまして

TBありがとうございました。個人的には近年稀に見る駄作でした(笑) 

ということで、これからもよろしくおねがいします^^

>yyz88さん
コメントありがとうございます。
近年希に見る駄作ですか。
一観客として、気持ちはわかります(-_-;)

自分の場合、つまらんけど、切って捨てる駄作一歩手前。
「この映画は自分と相性が悪い」って、まだ理性的に判断できた。
問答無用に腹が立つ駄作もいっぱいありますから(笑)

kossyさんのコメントにもあるように
泣いた人は自分達をどれかの登場人物に投影しているようですね・・・
恋愛に憧れている時代なら泣けたのかも・・・今の私にはついて行けない世界です。

>chishiさん
こんにちは。
まるっきり「ついて行けない世界」でしたね。
あんな結末じゃ、クライマックスの悲劇的な盛り上がりはなんだったのって感じでシラケました。

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