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2008年1 月 4日 (金曜日)

【年間総括】2007年度映画総括 - 年間ベストテン

 新年あけましておめでとうございます。
 今年も『未完の映画評』をよろしくお願いします。

 と、当たり障りのない新年のご挨拶をしておいてなんなんですが、ここ数ヶ月仕事が忙しく、見ての通り更新がままならずに、毎年12月に発表していた総括がまだだったので、とりあえず昨年2007年の年間ベストテン&総括の発表をしたいと思います。

 対象作品は例年同様日本アカデミー賞の対象作品に準ずる期間で区切り、自分が劇場(試写会を含む)で鑑賞した作品のうち、一昨年の12月第一土曜日(2006年12月2日)から昨年12月の第一土曜日の前日(2007年11月30日)までに封切られたもの。さらにこれに加え、本来前回の対象となるべき封切り日の作品(日本アカデミー賞的には2006年の対象作品)であっても個人的に前回の総括よりあとに鑑賞したものは今回の対象とします。
 具体的には、一昨年12月鑑賞の『市川崑物語』、『犬神家の一族』、『鉄コン筋クリート』、『武士の一分』を含み、昨年中に鑑賞した作品のうち『アイ・アム・レジェンド』、『AVP2 エイリアンズ VS. プレデター』を除いた計49作品が対象となりました。
 仕事が忙しかったわりには思っていたよりたくさん観られたかなという印象です。

 それでは駆け足になりますが、筆者かみぃの2007年個人的年間ベストテン年間ワースト3個人賞各賞の発表です!

■年間ベストテン
1位『河童のクゥと夏休み』(原恵一監督)
 【満足度:★★★★☆】
2位『しゃべれども しゃべれども』(平山秀幸監督)
 【満足度:★★★★☆】
3位『アポカリプト』(メル・ギブソン監督)
 【満足度:★★★★★】
4位『それでもボクはやってない』(周防正行監督)
 【満足度:★★★★】
5位『天然コケッコー』(山下敦弘監督)
 【満足度:★★★★】
6位『リーピング』(スティーブン・ホプキンス監督)
 【満足度:★★★☆】
7位『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド監督)
 【満足度:★★★★】
8位『ダイ・ハード4.0』(レン・ワイズマン監督)
 【満足度:★★★★】
9位『渋谷区円山町』(永田琴監督)
 【満足度:★★★☆】
10位『あるスキャンダルの覚え書き』(リチャード・エアー監督)
 【満足度:★★★☆】
(次点)
 『きみにしか聞こえない』(荻島達也監督)
 【満足度:★★☆】

■監督賞
平山秀幸(『しゃべれども しゃべれども』)
(次点)
原恵一(『河童のクゥと夏休み』)

■主演男優賞
国分太一(『しゃべれども しゃべれども』)
(次点)
加瀬亮(『それでもボクはやってない』)

■主演女優賞
夏帆(『天然コケッコー』)
(次点)
成海璃子(『きみにしか聞こえない』)
香里奈(『しゃべれども しゃべれども』)

■助演男優賞
伊東四朗(『しゃべれども しゃべれども』)
(次点)
森永悠希(『しゃべれども しゃべれども』)

■助演女優賞
八千草薫(『しゃべれども しゃべれども』、『きみにしか聞こえない』)

■年間ワースト3
1位『大日本人』(松本人志監督)
 【満足度:☆】
2位『愛の流刑地』(鶴橋康夫監督)
 【満足度:★】
3位『ブラッド』(セバスチャン・グティエレス監督)
 【満足度:★】
(次点)
 『パプリカ』(今敏監督)
 【満足度:★】

【総括】
 2006年に続いてアニメーション作品が1位となりましたが、2007年はこれといって目立った作品がなかったというのが正直なところ。とくに上位の作品以外が総じて印象が薄く、5位以下は選出に苦労しました。
 それでは個別に見ていきます。

 ベスト1は前回の『時をかける少女』に続き、実写映画を抑えてのアニメ作品『河童のクゥと夏休み』。
 時かけほどのインパクトこそありませんでしたが、作品から伝わってくる原恵一監督の並々ならぬ熱意に心打たれました。
 単なる娯楽志向のアニメとは違う骨太の内容は、環境問題、いじめや家庭のあり方、マスコミのあり方にまで言及しながら最後には爽やかな感動で締めくくるという、大人の鑑賞に堪えうる、いや、大人にこそ観て欲しいファンタジー・ジュブナイルとして高いレベルで結実しています。

 第2位は古典芸能の落語の世界を題材にしながら若さ溢れる青春映画に仕上げた『しゃべれども しゃべれども』。
 日本映画ならではの映像美に目を見張り、なにより、伝承されることの素晴らしさをこんなにも鮮やかに描ききった作品を他に知りません。脚本の技巧的にこれ以上はないという見事なクライマックスを思い出しただけで胸が熱くなるほどの感動が蘇ってきます。

 3位はこれもまた監督の思い入れがたっぷり感じられる『アポカリプト』。
 前半の故郷の村壊滅という重々しい雰囲気から一転して後半のエンターテイメントに徹した逃亡劇。そして鮮やかな幕切れ。思わず「お見事!」と言いたくなる完成度でした。2007年で唯一五つ星を付けた快作です。

 4位も完成度の高い『それでもボクはやってない』。
 素晴らしい作品だと思います。ただ、それでも4位止まりなのは、あまりに巧すぎて少し冷めた目で観てしまったせいか、熱くはなれなかったため。言葉は悪いですが、ケチの付けようがない良作止まりでした。

 5位はゆったりとした時間の流れが心地いい『天然コケッコー』。
 主演の夏帆が掛け値抜きにほんとに可愛らしい。これに尽きると言ったら言い過ぎだけども、それでも言わずにおれない圧倒的な存在感。今をときめく長澤まさみがまだあどけなさを残す頃に主演した知る人ぞ知る理系青春映画『ロボコン』に匹敵する、彼女のこの瞬間の魅力を焼き付けた貴重な作品として記憶に残る映画になると思われます。
 一応断っておくと、作品自体もいいですよ。大傑作というわけではないけれど、作品自体もなんとなく好きにならずにおれない可愛らしい佳作です。

 6位はゴシックホラーの『リーピング』。
 内容はB級ホラーそのもので、とりたてて話題になるようなものじゃないし、ポスターや予告編ぐらいしか見ていない人はもちろん、劇場で観た人でもあんまり記憶には残っていない映画だと思います。ただこの作品で特筆したいのは、そこで使われていたCG映像。
 最近のCG技術はどの作品でも素晴らしく、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなったんだけども、この作品での“血の池地獄”の様相は久々に度肝を抜かれた。空撮を使った見せ方の巧さもあるんだろうけど、CGだとわかっていても思わず唸らずにおれないその超常現象の自然な描写は、それだけでも一見の価値がありました。
 劇中ではこれに限らず多くの超常現象を表現するためにCGを駆使していたんですが、そのどれもで、B級ホラーといえども手抜きをしていないのが好感度を高める結果となりました。

 ここまでなんとかコメントを付けてきたけれど、もう7位以降は次点や惜しくも圏外を含め、どれもどんぐりの背比べで、正直言ってあんまり特筆するところがないのでベスト10についてはここまでにしときます。ごめんなさい。

 ワースト作品について言うと、ダントツは『大日本人』。
 もう松本人志監督としては、そう評されるのは覚悟の上でのそういう展開なんだろうけど、やっぱり言わずにはおれない、「映画をなめんなよ」と。
 あとのワースト作品については星の数どおりで、まあそういうこと。

 各個人賞に関しては、ほぼ『しゃべれども しゃべれども』の一人勝ち状態。主演女優賞のみ、初々しさが煌めいていた夏帆にトップを譲ったけれども、やはり香里奈も捨てがたかったので次点としました。

 ということで、2007年の総括をまとめたいと思いますが、最初にも書いたように、とにかく2007年は印象に残る作品が少なかった。
 世間的には高評価の『ゆれる』や本家アメリカのアカデミー賞候補作だった『バベル』がかすりもしていないとか、一部じゃ褒める向きもある『パプリカ』がワースト作品の次点に食い込んでいるとか、まず注目する人はいないであろう『リーピング』が『硫黄島からの手紙』より上位だったりとかしているところをみると、自分の観点は世間とは微妙にずれているみたい。
 でもま、それが正直な気持ちなんだからしかたない。こんなところが『未完の映画評』の持ち味なんだと受け取っていただいて、今年も引き続きお付き合いください。頑張って更新しますから。

 以上、2007年の総括でした。

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コメント (2)

1本だけ重なりましたね。
「それボク」は、後世に残る名画であり、必見だと思います。

>マダムクニコさん
コメントありがとう。
必見というのは大いに同意です。
劇場公開中は自分もいろいろな人に薦めていました。

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