【映画評】バンテージ・ポイント (2008)
アメリカ大統領狙撃&爆弾テロの瞬間が8人の視点で繰り返されるサスペンス・アクション。
全世界に向けて生中継されているテロ撲滅サミットで湧くスペイン・サラマンカのマヨール広場。
多くの群衆に見守られる中、アメリカ大統領アシュトン(ウィリアム・ハート)がスピーチの壇上に立った瞬間、何者かによって狙撃され、続いて会場で大爆発が起こる…。
アメリカ大統領狙撃&爆弾テロの瞬間が8人の視点で8回繰り返されると話題のサスペンス・アクション。
期待しすぎたかなあ。何度も巻き戻しながら同じ時間を繰り返す見せ方こそ凝っているが、それほど意外な事実が次から次へと出てくるわけでもなく、毎回毎回同じシチュエーションを繰り返される冗長さの方が気になった。
こと前半の数回はあえて繰り返す必要もなかったような気もする。
普通の映画なら展開の交通整理をして、シーンや登場人物の密度を上げるところを、あえて逆に分断させた結果、各シーンが薄っぺらくなった印象を受けるのだ。大きなテーマを小さな話の羅列で見せるオムニバス映画の個々のエピソードに物足りなさを感じることがあるのと似た感覚だ。
一応中盤で大統領自身の視点になって初めて「そうだったのか!」と思え、そこから犯人像がはっきりしてくると、普通の、けど上質のアクション映画として大いに盛り上がり、一気にラストまで駆け抜けた。
ただ、8人の視点を理詰めで練り上げた巧い脚本にしては、最後が偶然に頼った落としどころだったのが惜しい。
脚本家としてはそれまでの視点でその一端を見せることによって伏線を張ったつもりなんだろうが、“神の視点”たる観客の目からすれば釈然としない。
クライマックスの派手なカーチェイスなど見応え十分で、アクション映画として決して悪い出来じゃないのに、結局情報を小出しにされただけで「多視点だから面白かった」という印象があまり残らない上、最後の棚ぼたの決着で印象を悪くした、もったいない力作。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】デニス・クエイド/マシュー・フォックス/フォレスト・ウィッテカー/シガニー・ウィーバー/ウィリアム・ハート/アイェレット・ゾラー/エドガー・ラミレス/エドゥアルド・ノリエガ/サイード・タグマウイ
- 【監督】ピート・トラヴィス
- 【脚本】バリー・L・レヴィ
- 【製作】ニール・H・モリッツ
- 【製作総指揮】カラム・グリーン/タニア・ランダウ/リンウッド・スピンクス
- 【撮影監督】アミール・モクリ
- 【美術監督】ブリジット・ブロシュ
- 【編集】アチュアート・ベアードA.C.E.
- 【衣装】ルカ・モスカ
- 【音楽】アトリ・オルヴァルソン
- 【配給】ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント
- 【原題】VANTAGE POINT
- 【字幕翻訳】松浦美奈
- 【日本公開】2008年
- 【製作年】2008年
- 【製作国】アメリカ
- 【上映時間】90分
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>あえて逆に分断させた結果、各シーンが薄っぺらくなった印象を受けるのだ。
なるほどです。確かに思わず感心するような感じがなかったですかね。ただ少しずつ解かれていく謎を見せていくことで、映画全体のスピード感はあった気がしていて、私なんかはそれに騙されてあまり深く考えてませんでした。後で考えると何か腑に落ちないところもあるのですが、力技で最後まで一気に見せるのもありかなって。
かみぃのレビュー、勉強になります。
投稿: ジョルジュ・トーニオ | 2008年3 月13日 (木曜日) (09:55)
すいません、呼び捨てになってます、かみぃさん・・・ごめんなさい、確認せずに送信してました・・・
投稿: ジョルジュ・トーニオ | 2008年3 月13日 (木曜日) (09:57)
>ジョルジュ・トーニオさん
こういう見せ方自体は面白い試みだと思うんですけど、自分の場合ちょっと回数が多すぎたかな、と。せいぜい3、4回も繰り返せば充分て感じてしまったんです。
そのことが気になってちょっと辛口になってしまいましたが、サスペンスアクション映画として充分面白かったと思ってますよ。
投稿: かみぃ | 2008年3 月13日 (木曜日) (23:37)