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2008年6 月23日 (月曜日)

【映画評】魔法にかけられて (2007)

ディズニー・プリンセスが現代のニューヨークで騒動を巻き起こすロマンティック・ファンタジー・コメディ。

【満足度:★★★★★】 (鑑賞日:2008/03/27)

 アニメーションの世界のアンダレーシアの森に住むジゼル(エイミー・アダムス)は、エドワード王子(ジェームズ・マースデン)と出会い、恋に落ちる。
 さっそく次の日、お城で挙式を挙げようとする二人でしたが、それをよく思わないエドワードの継母であるナリッサ女王(スーザン・サランドン)によってジゼルは“永遠の幸福など存在しない世界”へと突き落とされてしまう。
 ジゼルが追いやられたそこは、人々で溢れ、車が行き交うニューヨークの真っ只中だった…。

 もともとアニメ、実写問わず、ディズニー作品にはハズレは少ない印象だったが、本作はとりたてて素晴らしい!
 もっと自虐的なギャグに終始したブラック・コメディかと思っていたら、えらくまっとうなファンタジー映画で、いい意味で裏切られた。

 ミュージカルやラブロマンス、冒険ファンタジーといったディズニーお得意の引き出しをすべて出し切ったと言える、まさに王道をゆくディズニー的エンターテイメントの集大成。
 鑑賞前はアニメの世界と実写の世界をつなげた世界観ということで、当時は画期的だったアニメと実写の合成映画、1988年製作の『ロジャー・ラビット』(監督:ロバート・ゼメキス、アニメーション監督:リチャード・ウィリアムス)を思い出していたんだが、実際に観た印象だと、その前年1987年に製作されたラブ・ファンタジーの隠れた傑作『マネキン』(監督:マイケル・ゴットリーブ)を思い出した。ちなみにこの『マネキン』でも導入部の古代エジプトでのエピソードの表現にアニメーションが使われている。

 とりあえず、ディズニー自身がディズニー作品をパロってしまうというこんな一発ネタ的な企画はおいそれと同類の作品を出せないんだから、これを超える作品は少なくともこの先十年は出ないだろう。これは十年に一本の傑作と言えるのだ。

 ヒロイン・ジゼルを演じたエイミー・アダムスを始め、アニメキャラを演じた俳優陣のなりきり具合が素晴らしく、まったく違和感なく、いや、ニューヨークの街中で違和感アリアリで浮きまくってるのがイイ。
 ジゼル姫はどう見てもちょっとイカれたメルヘンちゃんだし、ニューヨークで初めてデートなるものを体験しているエドワード王子はお上りさんそのもの。
 CGで表現されたリスのピップもディズニーアニメそのものの豊かな表情で楽しませてくれた。
 このピップに限らず、実はCGの使い方を一番良くわかっているのはディズニーなんじゃないかと思わせるほど、この作品の中でのCGの活かし方は感動的ですらある。

 基本的におとぎ話そのものの内容が内容だけに安易なめでたしめでたしを予想していたら、これもまたいい意味で裏切られた。
 子供でも楽しめるファミリー映画には違いないが、子供相手じゃない、大人に観せるために作られた映画だということがよくわかる。

 そしてエンディングまで抜かりのない丁寧な作りはまさに職人芸、伝統工芸品の域に達してる。
 気づかなくても観賞にはたいした影響はないのだが、導入部の意外と短いアニメーション・パートに、のちの実写パートに繋がるいろんな伏線が仕込んであるのも巧い。

 実は自分は劇場で3回観ていて、恥ずかしながらその3回とも、前半のかなり早いうちから嬉しさの余り泣けてきた。こんな幸福な気持ちにさせてくれる映画には、そうそう出会えるもんじゃない。
 なぜディズニーは全世界でずっと愛され続けるのか。ここにはその答えが詰まっている。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】エイミー・アダムス/パトリック・デンプシー/ジェームズ・マースデン/スーザン・サランドン/ティモシー・スポール/イディナ・メンゼル/レイチェル・コヴィー
  • 【監督】ケヴィン・リマ
  • 【音楽/作曲】アラン・メンケン
  • 【脚本】ビル・ケリー
  • 【製作】バリー・ジョセフソン/バリー・ソネンフィルド
  • 【撮影】ドン・バージェス
  • 【製作デザイン】スチュアート・ワーツェル
  • 【衣装デザイン】モナ・メイ
  • 【作詞】スティーヴン・シュワルツ
  • 【原題】ENCHANTED
  • 【字幕翻訳】古田由紀子
  • 【日本公開】2008年
  • 【製作年】2007年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】108分

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