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2008年6 月11日 (水曜日)

【映画評】僕の彼女はサイボーグ (2008)

綾瀬はるかの魅力全開のサイボーグと青年のラブストーリー。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2008/06/09)

 2008年、レストランで21歳の誕生日をひとり寂しく祝おうとしていた冴えない“僕”・ジロー(小出恵介)の前に、ちょうど一年前に偶然出会い、一緒に20歳の誕生日を祝ってくれたヘンテコな“彼女”(綾瀬はるか)が再び現れ、唐突にジローの誕生日を祝う。
 とまどいながらもとにかく念願の再会を喜ぶジロー。と、突然二人の近くにいたイカれた男(田口浩正)が銃を乱射。しかし彼女はとんでもない怪力でこの男を倒し、ジローを危機から救うのだった。
 家に帰ったジローは彼女から驚きの事実を知らされる。彼女は先の乱射事件で半身不随となった未来のジローが自分を忌まわしき過去から救うため、一年前に出会った彼女に似せて作り、現在に送り込んだサイボーグであると。
 こうして僕と彼女の妙ちきりんな同棲生活が始まったのだった…。

 『猟奇的な彼女』、『僕の彼女を紹介します』で知られるクァク・ジェヨン監督が日本に招かれて作った一応日本映画。

 SFファンタジーとしてはグダグダ。
 青春ラブコメとしてはまあまあ。
 けど、綾瀬はるかの魅力を満載したアイドル映画としては一級品。本作の魅力はこれに尽きる

 アイドル映画って内容は二の次で、そのアイドルがいかに魅力的に捉えられているかが勝負所だったりする。そんな企画自体は否定しない。実際にはそんな華のある主役が単なる客寄せパンダに終わってしまう、真の意味で中身が空っぽの駄作が多いのも周知の事実だが、この映画の中の綾瀬はるかは掛け値抜きにキュートでチャーミング。
 SF的つじつまや時代考証はむちゃくちゃ、キャラクター設定や展開も支離滅裂でぶっ飛んでいるが、この「綾瀬はるか」を見られただけで元が取れるという、綾瀬はるかファンさえ納得すればいいアイドル映画としてはその使命を十二分に果たすであろう出色の出来。

 そんな偏った見方はひとまず置いといて、普通の映画批評としてなにか言うなら、これまたネタに尽きないトンデモ映画なのも、話題作としてはある意味、好材料だろう。

 無知なロボット(自分はロボットと呼ばれたくないらしいが)である綾瀬はるか演じる“彼女”が、まあ少々ヘンテコな行動するのはまだいい。
 しかし、相手役の小出恵介演じるジローの人物造形が冒頭からあり得ないぐらい馬鹿げていて、感情移入できる・できない以前の御都合キャラで、呆れるほかない。

 唐突にジローの子供時代(なぜか昭和初期かと見まごう風景)にタイムスリップ(?)するなどSF的に世界観のルールが明確でない、なんでもありな展開に輪をかけて、突如襲う大惨事に至っては、あっけにとられるほかない。
 怒濤のクライマックス以降も、タイムスリップものとしての体裁をうわべだけでも整えようとしたか、これまた無鉄砲な展開がダラダラと続く迷走ぶり。

 まあ、可愛らしさ優先で“彼女”のキャラクター作りや演出が徹底していない部分をこちらが脳内補完すると、監督がやらんとしているのは「時空を超えた、機械の身体から生まれた“心”の輪廻」という壮大なテーマなんだろうと一応汲み取れなくはないんだが、大風呂敷を広げただけで結局その提示には失敗しているといわざるを得ない。
 最大の失敗はジローが御都合すぎるキャラのために、機械である彼女に対して強調されるべき人間味をほとんど感じられないこと、機械である彼女に感情が芽生えた瞬間を明確にできなかったことあたりか。彼女の感情は徐々に芽生えたと言えば聞こえはいいが、映画的にはこれも御都合主義な曖昧さしか見えてこなかった。

 とかいって野暮な御託を並べたところで、この映画の魅力は綾瀬はるか個人の魅力に集約されており、そこを目当てに観るならば、比類無き傑作なのも否定できないんだな、これが。

 まあとにかく話のネタには困らない怪作だから、騙されるの覚悟でご覧なさいよ。
 綾瀬はるかの魅力にノックアウトされるか、話のぶっ飛び加減に脱力するか、いずれにせよ実は劇場で観てこそのこのお祭り映画、一見の価値有り。と言い捨てて、撤収!

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】綾瀬はるか/小出恵介/桐谷健太/田口浩正/遠藤憲一/小日向文世/竹中直人/吉行和子
  • 【監督/脚本】クァク・ジェヨン
  • 【プロデューサー】山下又一朗/ジー・ヨンジョン
  • 【統括】宮下昌幸
  • 【企画】橘田寿宏/青木真樹
  • 【撮影】林淳一郎(J.S.C.)
  • 【照明】金沢正夫(J.S.L.)
  • 【美術】丸尾知行
  • 【編集】掛須秀一(J.S.E.)
  • 【録音】小原善哉
  • 【音楽】大坪直樹
  • 【音響効果】柴崎憲治
  • 【助監督】吉見拓真/李相國
  • 【共同プロデューサー】佐谷秀美
  • 【アソシエイトプロデューサー】大里俊博
  • 【ラインプロデューサー】松田康史
  • 【主題歌】『約束の翼』MISIA
  • 【挿入歌】『キズナ』Hi-Fi CAMP/『Send』清竜人
  • 【製作】アミューズソフトエンタテイメント/電通/ギャガ・コミュニケーションズ/フィールズピクチャーズ/TBS/小学館/MBS/センチュリオンファンド/ベアエンターテインメント
  • 【配給】ギャガ・コミュニケーションズ
  • 【日本公開】2008年
  • 【製作年】2008年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】120分

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