« 【製作日誌】映画J:完成試写 | メイン | 【映画評】どろろ »

2008年8 月24日 (日曜日)

【コラム】土地柄

 昨日渋谷で、ずっと楽しみにしていた阪本順治監督の『闇の子供たち』をやっと観れた。

 大満足だった映画評は後ほどアップするとして、ひとまず劇場で思ったことをつらつらと綴ってみたい。

 午前中は現在携わっている連ドラの美打ち(美術打ち合わせ)が新宿の初台であり、それが終わったあと時間ができたのでずっと観たいと思っていた『闇の子供たち』を観ようと携帯サイトで上映館をチェックして有楽町に移動した。が、こちらでの公開は来週からだった(汗)。
 またやっちまった。以前にも何度か同じ失敗をしたことがあるんだが、携帯サイトの上映スケジュール表示はなんでこんなにまぎらわしいんだろう。

 全国ロードショーな大作ならたいていの地区で上映しているからさほど困らないのだが、単館系の映画だと映画情報サイトが頼みの綱。
 自分の場合、上映館を調べる携帯サイトはYahoo!映画@nifty映画を使うことが多い。ただ前者は作品名から劇場を絞り込むのに難があり、後者は劇場の場所を地図で確認できないのが不便。
 またいずれも来週公開の映画まで上映中の映画と同列に列記されていてまぎらわしい&見づらい。
 パソコン用のサイトでは帯グラフなどで上映期間を表示してくれるので間違えることもない。携帯サイトももうちょっと工夫してほしいもんだ。

 と、自分の見間違いを棚にあげてひととおりボヤいたあと、気を取り直して都内唯一の上映館がある渋谷に移動。

 まずはこんな硬派な社会派映画の唯一の上映地区が若者の街・渋谷だとういことに驚き。
 しかも週末の昼間だというせいもあろうが、上映開始一時間ちょい前に劇場に到着したのにほとんどの席が埋まっていてさらにビックリ。

 前の回の終映に合わせて劇場に入ると渋谷らしい若いカップルで溢れていた。
 普段映画館が多い割に渋谷で観る機会の少ないおじさんとしては作品の内容と客層のギャップにドギマギしてしまう。
 作品の概要を知っていれば気が滅入るような内容だということは容易に予想できるのに、もちろんそれは作品的に悪いことではないが、こういう重苦しい映画をデートムービーに選ぶ感覚はなかなか理解しがたい。

 映画のタイプはまったく違うが、一昨年、アニメ版『時をかける少女』(細田守監督)が口コミで大評判となり、数少ない上映館に観客が殺到、観たくても観られない人が続出したことを思い出した。
 あの“時かけ”フィーバー当時、角川映画の人と話す機会があったんだけど、彼が云うには満員になっているのは東京や大阪といった都市部の劇場だけで地方の映画館はガラガラで閑古鳥が鳴いていたそうだ。
 作品の評価が都会と地方とで違うような内容ではないし、どうしてそんなにも差が出るのか不思議だった。

 そこであらためて『闇の子供たち』の、少なくとも昨日の渋谷での盛況ぶりを考えてみると、やはり公開している場所の土地柄に因るところが大きいんじゃないか。
 デートにこの映画を選んだんじゃなく、デート先の映画館でこれが上映されてたって考えた方が自然なように思う。
 沢山の映画館を擁する渋谷の中にあってあえてこの、地味極まりない硬派な問題作を選ぶきっかけとしては、作品内容にしては豪華なキャスト陣のおかげもあろう。しかし、この内容だからという理由でデートムービーに選ばれることは一部の映画好きカップル以外はやはり考えづらい。

 来週から好評に応えるかのように上映館が拡大されるみたいだけど、動員数は上映館の数に単純比例しては増えないんじゃなかろうか。
 もちろん業界の末端で働くひとりとして日本映画からヒット作が生まれるのは喜ばしいかぎりだし、作品の内容的にも、より多くの人に観てもらいたいとは願っている。
 また作品の概要から予想される期待以上のものを見せてくれる傑作でもあるので、オススメ映画として推すことはまったく躊躇しない。

 ただね、やっぱりデートムービーに選ばれるのは違和感があるのよ。
 でもそれは、流行りの恋愛映画を観るならある程度覚悟して劇場に入れるのに、こういうお堅い社会派映画じゃ不意打ちでしかない光景、客席でいちゃつくカップルを目の当たりにする違和感。

 あ、ここまで書いて、こんなに書いて気づいたけど、これって独り身のおじさんの嫉みなだけかも(汗)。
 いやあ、若いって素晴らしいですね~(水野晴郎氏を偲びつつ)。
 いい映画ですから、ぜひ堅苦しい映画と躊躇せず、彼氏彼女を誘ってご覧くださいまし。

コメント (0)

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック (0)

この記事のトラックバックURL: ※承認制
http://www.typepad.com/services/trackback/6a0128762d7a9d970c0120a72a5778970b

この記事へのトラックバック一覧: 【コラム】土地柄:

このページについて - About This Page

  •  『未完の映画評』は、映像業界で働く現役現場製作スタッフかみぃによる個人的な映画サイトです。
     “自戒としての映画批評”と銘打ち、映画館まで足を運んで観た劇場公開最新作の批評・感想・レビューをメインに、リアルタイムに進行する製作日誌、映画にとどまらない業界全般にまつわる雑談・裏話なども掲載しています。
     詳しくはこのサイトについてをご覧ください。

最近のコメント - Comments

2012年度 満足度評価 - Rating 2012

  • 2011年12月11日(日)~ 公開作品
  • ★★★★★ ≒ 溺愛
  • ★★★★☆ ≒ 秀逸
    | 最強のふたり | おおかみこどもの雨と雪 | アーティスト |
  • ★★★★ ≒ 満悦
    | 崖っぷちの男 | 捜査官X |
  • ★★★☆ ≒ 良好
    | 映画 ひみつのアッコちゃん | HOME 愛しの座敷わらし | バトルシップ | ドラゴン・タトゥーの女 |
  • ★★★ ≒ なかなか
    | トータル・リコール | 幸せへのキセキ | テルマエ・ロマエ | ももへの手紙 |
  • ★★☆ ≒ まあまあ
    | アベンジャーズ | ダークナイト ライジング | BRAVE HEARTS 海猿 | 臨場 劇場版 | 外事警察~その男に騙されるな | ブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン | ライアーゲーム-再生- | はやぶさ 遙かなる帰還 |
  • ★★ ≒ いまいち
    | エイトレンジャー | Another アナザー | ヘルタースケルター | ダーク・シャドウ |
  • ★☆ ≒ つまらん
    | Black&White/ブラック&ホワイト |
  • ★ ≒ ダメダメ
    | プロメテウス | 幸せの教室 |
  • ☆ ≒ ふざけんな
    |

最近のつぶやき - Twitter