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2008年9 月14日 (日曜日)

【映画評】大決戦!超ウルトラ8兄弟 (2008)

ウルトラマンティガ、ダイナ、ガイアが昭和ウルトラマンと共闘して横浜の街を守る劇場版ウルトラマン。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2008/09/13)

 昭和ウルトラマンとウルトラマンメビウスの競演に大興奮させられた前作『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の好評を受け、昭和ウルトラシリーズのオリジナルキャストが再度登場する劇場版ウルトラマン、二年ぶりの最新作。
 前作の主役ウルトラマンメビウス=ヒビノ・ミライ(五十嵐隼士)は脇に退き、今回の主役はウルトラマンティガ=マドカ・ダイゴ(長野博)。さらにウルトラマンダイナ=アスカ・シン(つるの剛士)、ウルトラマンガイア=高山我夢(吉岡毅志)も登場。

 昭和41年7月17日、横浜に住む少年、ダイゴ(小川光樹)、アスカ(平澤慧洸)、我夢(荒木博斗)の三人はテレビの前に釘付けになっていた。新番組『ウルトラマン』が始まるからだ。
 三年後、三人の前に赤い靴を履いた少女(飯塚百花)が現れ、一緒に空に輝く一番星に将来の夢の実現を願うのだった。しかしその不思議な少女は三人の前からいなくなる。
 そして現在、大人となったダイゴ(長野博)たちは、それぞれ社会人となり、横浜の街で暮らしていた。
 そんなある日、横浜港に妖しい蜃気楼が現れ、ダイゴは砂漠と化した横浜で怪獣と闘うウルトラマンの幻覚を見るようになる…。

 ということで、今回はウルトラマンはテレビの中だけのヒーローという現実世界が舞台。怪獣たちはウルトラマンが存在するパラレルワールドから、ウルトラマン不在のこの世界を侵略。別世界ではウルトラマンであるダイゴたちがこの現実世界で、いかにウルトラマンとして目覚めるかというのが大筋。

 始まってすぐに前作の弱点だった脚本&ドラマパートの演出が大幅に改善されていることがわかる。
 物語的には完全に子供向けだった前作と比べると、かなり大人目線の作品に様変わりし、チープだったドラマパートもほどよく練り込まれ、逆に幼い子供はこの内容についていけないんじゃなかろうかと心配になるほど。
 怪獣たちの登場シーンもパニック状況を現実的に描いており、ウルトラシリーズというより、ゴジラの登場シーンのそれに近い。

 このように作り手側が内容的にも大人の観客にアピールしてきた以上、こちらもそのつもりで批評させてもらうが、今回の作り手は、なぜ明らかに子供向けな内容の前作が大人にも好評だったのかを思い違いしているとしか思えない。
 それは単に昭和ウルトラシリーズのオリジナルキャストが登場したからだけではない。“かつてのウルトラヒーロー”たちが、老いた立場、人生の先輩の立場から若者たち、子供たちへ激励を贈っている姿に、自分もそんな大人、親でありたいと感動したのだ。
 それなのに今回は、ハヤタ(黒部進)たちもダイゴたち同様、自分がウルトラマンであることを忘れてしまっている。彼らが若輩者と同じ立場、目線になってしまっては、“かつてのウルトラヒーロー”が登場する意義がまるでないではないか。

 また、クライマックスの超巨大怪獣登場にしても、前作は大人にも「おおっ」と思わせる意外性のある展開だった。さらに追い打ちをかけるように、タロウ登場のサプライズまであった。
 それなのに今回はどうだ。なんのひねりも感じられない“くっついただけ”の巨大怪獣。でかいだけのラスボス。集中砲火で倒して終わり。面白味のかけらもありゃしない。

 苦言ばかりじゃあれなので付け加えると、前情報でわかった上で観ることができたので、キャストたちの実の親子共演はそれなりに微笑ましい光景であった。
 トンデモな絵空事エピローグは、実は嫌いじゃない。パラレルワールドという設定からしてリアリティとはほど遠い内容なんだし、反リアリティ・メーターをここまで振り切っちゃう思いきりの良さは買う。
 つまりは、良くも悪くもお祭り映画。

 ただ、前作はウルトラマンメビウスを知らなくても楽しめたが、今回はティガ、ダイナ、ガイアの小ネタがわからないと楽しみどころが少ないように思う。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】長野博/吉本多香美/黒部進/森次晃嗣/団時朗/高峰圭二/つるの剛士/吉岡毅志/五十嵐隼士/桜井浩子/ひし美ゆり子/榊原るみ/星光子/斉藤りさ/橋本愛/高野八誠/石田裕加里/妃菜花/松下恵/紫子/橋本くるみ/飯塚百花/小川光樹/平澤慧洸/荒木博斗/二瓶正也/長澤奈央/安藤一人/大滝明利/影丸茂樹/市村直樹/上原ゆかり/小野奈津子/佐原健二/木々元亮/風見しんご/中田宏/川地民夫
  • 【ナレーター】石坂浩二
  • 【監督/特技監督】八木毅
  • 【監修】円谷一夫
  • 【チーフプロデューサー】鈴木清
  • 【脚本】長谷川圭一
  • 【撮影】高橋創
  • 【照明】武山弘道
  • 【美術監督】大澤哲三
  • 【美術デザイナー】稲付正人
  • 【録音】石貝洋
  • 【音響効果】岡瀬晶彦
  • 【操演】根岸泉/上田健一
  • 【助監督】安原正恭
  • 【殺陣】岡野弘之
  • 【編集】松木朗
  • 【スクリプター】山内薫
  • 【キャスティング】安藤実
  • 【製作担当】高橋誠喜
  • 【監督補】日暮大幹
  • 【音楽】佐橋俊彦
  • 【音楽特別参加】冬木透
  • 【音楽ディレクター】熊田和生
  • 【主題歌】「LIGHT IN YOUR HEART」 [作詞]KOMU [作曲]加藤裕助 [編曲]川端良征 [歌]V6
  • 【VFXスーパーバイザー】斉藤隆明
  • 【エフェクトスーパーバイザー】藤下忠男
  • 【CGI監督】渡部健司
  • 【製作】コロンビアミュージックエンタテインメント
  • 【配給】松竹
  • 【日本公開】2008年
  • 【製作年】2008年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】97分

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コメント (2)

おじゃまします。以前私のブログにコメントいただきありがとうございました。
コメントを頂いたのは6月なのに2ヶ月近くも反応もせず失礼いたしました。
映画ですが…ウルトラマンメビウスのTV放送のときには大盛り上がりだった私なんですけど、時期が空いちゃったからなのか?、内容によるものなのか、この映画は確かにイマイチ盛り上がりませんでした。
次回作も…レンタルが開始されたら観るとは思うんですけどね。
では、また来させていただきます。今後とも宜しくお願い致します。

>ピロEKさん
コメントありがとう。
昭和ウルトラマン世代としては、この映画はいまいちでした。
物語をちゃんとしようという意志は伝わるんですが、ティガ、ダイナ、ガイアを知らないと小ネタがつらかったですね。

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