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2008年11 月26日 (水曜日)

【映画評】ハッピーフライト (2008)

空港で働く人々の姿を克明を描いたコメディタッチの群像劇。

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2008/11/21)

 機長昇格試験の最終段階に入った副操縦士(コー・パイロット)の鈴木和博(田辺誠一)は模擬訓練のフライト・シミュレーターで大失態をしでかし前途は多難。
 新米キャビンアテンダントの斉藤悦子(綾瀬はるか)は初の国際線搭乗に浮き足立っていた。
 グランドスタッフである木村菜採(田畑智子)はクレーム処理に明け暮れて、ときめくような出会いもない今の仕事に嫌気がさしていた。
 オペレーション・ディレクターの高橋昌治(岸部一徳)は日々進歩するシステムにさじを投げてしまう。
 若手ドック整備士の中村弘樹(森岡龍)は先輩ライン整備士(田中哲司)の言葉にムキになって機体の修理をするのだった。
 そんな彼ら、彼女らの関わる1980便ホノルル行きB747-400は今まさに羽田空港を飛び立とうとしていた…。

 飛行機を安全快適に離着陸させることを職務とする、空港で働く人々を暖かい視線で見つめた群像劇の良作。

 大それた事件は起こらないのに大空港にありがちな日常をさわやかな感動をもたらすハートフル・コメディに仕立てる矢口史靖監督の手腕はさすが。

 航空業界を舞台にはしているが、働いている人なら職種を問わず作中の誰かしらに共感できるのではないか。
 どこかとぼけた芝居をする田辺誠一が危機の中でにわかに頼もしくなってくるのが微笑ましい。
 『僕の彼女はサイボーグ』『ICHI』と、今年大活躍の綾瀬はるかがここでもいい味を醸して作品に潤いをもたらしてる。
 田畑智子も「働くお姉さん」を好演。
 昼行灯な岸部一徳がここぞというときに水を得た魚のように活躍するのもイイ。
 関わる人々皆が皆、出しゃばりすぎずない輝きを放ってる。

 ともすると“会社の歯車”とやゆされる普通の人々に与えられた使命。単に航空会社の裏側を面白おかしく見せているだけでなく、会社というシステムの中で与えられた職務をまっとうする人々への敬意を感じるその視点は、日々の疲れを癒しに劇場を訪れた観客への応援歌ともなっている。
 誇りをもって働くことの素晴らしさを実感させるに充分な全世代に目配せの行き届いた語り口は、働く人々だけでなく、これから職業を選ぼうとしている若者たちにもぜひ観て欲しい快作。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】田辺誠一/時任三郎/綾瀬はるか/吹石一恵/田畑智子/寺島しのぶ/田中哲司/平岩紙/中村靖日/肘井美佳/森岡龍/正名僕蔵/藤本静/佐藤めぐみ/入山法子/長谷川朝晴/いとうあいこ/江口のりこ/宮田早苗/明星真由美/森下能幸/笹野高史/田山涼成/菅原大吉/竹中直人/木野花/ベンガル/小日向文世/柄本明/岸部一徳
  • 【監督/脚本】矢口史靖
  • 【製作】亀山千広
  • 【エグゼクティブプロデューサー】桝井省志
  • 【企画】石原隆/小形雄二/島谷能成/中村光孝
  • 【プロデューサー】関口大輔/佐々木芳野/堀川慎太郎
  • 【脚本協力】矢口純子
  • 【音楽】ミッキー吉野
  • 【主題歌】『COME FLY WITH ME』フランク・シナトラ
  • 【撮影】喜久村徳章
  • 【照明】長田達也
  • 【美術】瀬下幸治
  • 【装飾】秋田谷宣博
  • 【特撮監督】佛田洋
  • 【録音】甲斐匡
  • 【整音】郡弘道
  • 【編集】宮島竜治
  • 【記録】松澤一美
  • 【キャスティング】吉川威史
  • 【助監督】山口晃二
  • 【製作担当】荒木正人/齋藤玉恵
  • 【製作】フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/東宝/電通
  • 【製作プロダクション】アルタミラピクチャーズ
  • 【特別協力】ANA
  • 【配給】東宝
  • 【日本公開】2008年
  • 【製作年】2008年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】103分

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