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2008年12 月10日 (水曜日)

【年間総括】2008年度映画総括 - 年間ベストテン

 年の瀬となり、街もクリスマスムード、年末ムードに包まれていると思いますが、当サイト管理人かみぃは来年春公開予定の某映画の撮影で忙しく、世間から隔絶された毎日を送っています。
 一年の締めくくりにはやや早い気もするのですが、この仕事がクランクアップする年末まで映画を観る暇はない上に、更新自体もままならなさそうなので、今年2008年の総括&年間ベストテンをさっさと発表してしまいたいと思います。

 その前にまず対象期間が刷新された選考対象作品について。
 毎年日本アカデミー賞の選考基準に則った期間で一年を区切っているのですが、実は去年から日本アカデミー賞の対象期間が変更になりました。
 今年度の当サイトでの総括をこれまでより早めたのはこのせいもありまして、去年は曜日の関係でたまたま前年までの基準とも合致していたので気にしなかったのですが、今年からは明確に日本アカデミー賞の対象期間が前倒しとなっています。
 それをふまえて当サイトでの選考対象を明文化しますと以下のようになります。

【選考基準】※大枠的には日本アカデミー賞の選考対象(http://www.japan-academy-prize.jp/outline.html)に準拠しますが、これに自分なりの変更を加えています。
2007年12月1日より2008年11月28日までに東京地区に於ける商業映画劇場(いわゆる映画館)にて、有料で35mm又は70mmのフィルムおよびデジタルシネマ方式で初公開され、通常の宣伝のもとに1週間以上継続して公開された、40分以上の作品が対象となります。(日本アカデミー賞では対象とならないモーニング・レイトショーのみの公開作品も含みます)
 ただし、自分が映画館(およびこれに準ずる劇場、試写室など)で鑑賞した作品のみを対象とします。DVD・テレビ放送・ネット配信などでのみ鑑賞した作品は対象としません。
●さらにこれに加え、本来昨年度の対象となる作品(日本アカデミー賞では昨年度に対象となった作品)であっても個人的に昨年度の年間総括よりあとに初鑑賞した作品は本年度の対象とします。
●限られた関係者向けの0号試写・初号試写による鑑賞は対象としませんが、一般公開を前提としたマスコミ試写以上の試写会・先行上映であれば対象とします。
 ただしその場合も、対象年度としては鑑賞日ではなく(日本アカデミー賞に準ずる)封切り日を基準とします。

 ということで、具体的には今年現時点で鑑賞済みの58作品に加え、昨年12月末に鑑賞した『アイ・アム・レジェンド』、『AVP2 エイリアンズ VS. プレデター』を含めた計60作品が対象。
 今年は意欲的に映画館に足を運んだおかげで、おそらく一年間に劇場で観た本数が人生最多でした。

 それではお待たせしました。『未完の映画評』筆者かみぃの2008年映画年間ベストテン年間ワースト3個人賞各賞の発表です!

■年間ベストテン
1位『ガチ☆ボーイ』(小泉徳宏監督)
 【満足度:★★★★★】
2位『魔法にかけられて』(ケヴィン・リマ監督)
 【満足度:★★★★★】
3位『闇の子供たち』(阪本順治監督)
 【満足度:★★★★★】
4位『イキガミ』(瀧本智行監督)
 【満足度:★★★★★】
5位『グミ・チョコレート・パイン』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)
 【満足度:★★★★】
6位『ハッピーフライト』(矢口史靖監督)
 【満足度:★★★★】
7位『純喫茶磯辺』(吉田恵輔監督)
 【満足度:★★★★☆】
8位『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン監督)
 【満足度:★★★★☆】
9位『スピード・レーサー』(ウォシャウスキー兄弟監督)
 【満足度:★★★★☆】
10位『僕の彼女はサイボーグ』(クァク・ジェヨン監督)
 【満足度:★★☆】
(次点)
 『JUNO/ジュノ』(ジェイソン・ライトマン監督)
 【満足度:★★★★☆】
 『ウォンテッド』(ティムール・ベクマンベトフ監督)
 【満足度:★★★★☆】
 『スマイル~聖夜の奇跡~』(陣内孝則監督)
 【満足度:★★★★】
 『おくりびと』(滝田洋二郎監督)
 【満足度:★★★★】
 『花より男子ファイナル』(石井康晴監督)
 【満足度:★★★★】

■監督賞
阪本順治(『闇の子供たち』『カメレオン』)
(次点)
瀧本智行(『イキガミ』)

■主演男優賞
佐藤隆太(『ガチ☆ボーイ』)
(次点)
ジェームズ・マカヴォイ(『ウォンテッド』)

■主演女優賞
黒川芽以(『グミ・チョコレート・パイン』)
(次点)
綾瀬はるか(『僕の彼女はサイボーグ』『ICHI』『ハッピーフライト』)
仲里依紗(『純喫茶磯辺』『ちーちゃんは悠久の向こう』)
エレン・ペイジ(『JUNO/ジュノ』)
宮崎あおい(『陰日向に咲く』『闇の子供たち』)

■助演男優賞
ヒース・レジャー(『ダークナイト』)
(次点)
堺雅人(『クライマーズ・ハイ』『アフタースクール』)
ハビエル・バルデム(『ノーカントリー』)

■助演女優賞
佐々木麻緒(『マリと子犬の物語』『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』)
(次点)
松雪泰子(『容疑者Xの献身』)
寺島しのぶ(『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』『ハッピーフライト』)

■年間ワースト3
1位『ジャンパー』(ダグ・リーマン監督)
 【満足度:☆】
2位『リアル鬼ごっこ』(柴田一成監督)
 【満足度:★☆】
3位『映画 クロサギ』(石井康晴監督)
 【満足度:☆】
(次点)
 『クローバーフィールド/HAKAISHA』(マット・リーヴス監督)
 【満足度:★】

■特別賞
崖の上のポニョ』(宮崎駿監督)
 【満足度:★★★★☆】
 受賞理由:当サイトのアクセス数増大および管理人のやる気喚起の貢献に対し。

【総括】
 一言で言って今年は“アタリ年”でした。多種多様な作品で楽しませてもらった。
 どちらかというとハズレ年だった去年は10作品挙げるのに苦労しましたが、今年は10作品に絞り込むのに苦労しました。次点作の多さがそれを物語っています。
 特に五つ星を付けた4作品は例年ならどれも1位にしておかしくない作品。次点に甘んじた5作品も例年ならベストテン入りさせてたであろう作品たちです。
 それでは個別に見ていきましょう。

 今年度ベスト1は、存分に泣き笑いさせてもらった『ガチ☆ボーイ』。
 学生プロレスを舞台にした青春映画だけれども、それにとどまらない“生き様”という言葉が頭によぎる佐藤隆太の熱演が素晴らしかった。
 脚本的にも伏線の使い方が巧く、記憶障害というもう一つの題材が活かされた、笑いを取りながらも涙無しには見てられない数々のエピソードがいちいち印象的。特にクライマックスの盛り上がりは半端じゃない。
 今年を代表する傑作。

 2位はディズニーの『魔法にかけられて』。
 アニメの世界観を実写に持ち込むという奇抜なアイデアが無理なく昇華された、映画の楽しさを教えてくれる幸せに満ちた快作。
 特にセントラルパークでのミュージカルシーンが大好き。

 3位はうってかわって硬派な社会派『闇の子供たち』。
 その内容の壮絶さとともに阪本順治監督の覚悟が伝わってくるあざといくらいの映画的演出を高く評価する。
 賛否両論あるだろうが、あの衝撃のラストは映画監督だからこそできる意識喚起表現として肯定したい。

 4位は娯楽志向の問題作『イキガミ』。
 特殊な世界観を見事に映像化。
 現実の世界、我が身に置き換えて考えさせられる問題提起は社会派の色合いが濃いが、同時に泣ける娯楽映画としても一級品。
 続編を期待したいが、これだけでも語り継がれる隠れた名作となること必至。

 5位は大槻ケンヂ原作の『グミ・チョコレート・パイン』。
 サブカルチャーにはまる青年たちの青春ストーリーは、決して万人に受けるとは言わないが、自分を含めた一部の属性の人たちには身に染みる青春映画の佳作。
 黒川芽以の好演が初恋の甘酸っぱさを思い出させた。

 6位『ハッピーフライト』。
 徹底したリサーチによる職業モノとしても群像劇としても申し分のない秀作。
 個人的には航空モノとしてより、働く普通の人々に向けた優しい視線が好印象を残した。

 7位『純喫茶磯辺』。
 軽いコメディタッチの、今どき珍しいほのぼのホームドラマ。
 マイナーな作品と言って差し支えないと思うが、今年の意外な拾いモノだった一本。
 『ガチ☆ボーイ』でも好演していた仲里依紗は今年、ほかに『ちーちゃんは悠久の向こう』でも主演しているが、この作品での等身大の演技が一番素晴らしかった。

 8位、アメコミを原作とする『ダークナイト』。
 ジョーカー役のヒース・レジャーの怪演が目に焼き付く。ラストに立ち去るバットマンの後ろ姿も印象的。
 個人的には少し長すぎる気もしたのだが、密度の濃い内容でぐいぐい引っ張る展開は派手なだけの安易なハリウッド大作とは一線を画す骨太な力作。

 9位『スピード・レーサー』。
 内容的には他愛のない娯楽作だが、娯楽映画としての思いきりの良さに惚れ惚れとした。
 心に残るというたぐいの映画ではないが、見終わってすぐに「愉しかった!」との言葉が浮かんだ痛快作。

 10位『僕の彼女はサイボーグ』。
 星の点数的には落第点なんだが、インパクトは凄かった怪作。
 綾瀬はるかの魅力に気づかされた作品でもある。
 また内容こそ支離滅裂なトンデモ映画なんだが、これが監督以外は日本人スタッフ、キャストによる日本映画であることも注目に値する。この作品における特撮や映像美を見ると、日本人スタッフもやればできるじゃないって印象を持った。普段からこれくらい頑張ろうよ。

 ワースト1位『ジャンパー』、2位『リアル鬼ごっこ』については、製作者はこんな陳腐な内容で観客の共感が得られると思っているのかと問いたい。
 ワースト3位の『映画 クロサギ』は、単品の映画としても言わずもがなだが、それ以上にドラマ版のファンに対して失礼と思うほどに稚拙。とてもドラマ版未見でも楽しめた『花より男子ファイナル』と同じ監督の作品と思えない駄作。

 ベストテンには入れなかったけど、どうしても触れておきたいのが、世界の巨匠・宮崎駿監督の最新作『崖の上のポニョ』。
 物議を醸した作品内容についてどうこうじゃなくて、この作品の映画評を公開日の翌朝にアップしてからのアクセス数が半端なかったのよ。
 当サイトの歴史の中で“ポニョ・ショック”と呼べるほどの多大な影響を与えたことに感謝して特別賞を授与したいと思います。

 続いて個人賞。

 監督賞は『闇の子供たち』での心意気を買った阪本順治監督に。

 主演男優賞は体を張った演技に燃えた『ガチ☆ボーイ』の佐藤隆太。

 主演女優賞は『グミ・チョコレート・パイン』の黒川芽以。
 今年大活躍の綾瀬はるかとギリギリまで悩んだ末、個人的好みを優先。
 『純喫茶磯辺』仲里依紗や『JUNO/ジュノ』エレン・ペイジも忘れがたいんだけど。

 助演男優賞は今年はこの人しかありえないでしょう、『ダークナイト』で鬼気迫る怪演を見せてこの世を去ったヒース・レジャー。

 助演女優賞は『マリと子犬の物語』での名演が忘れられない佐々木麻緒。
 まだ子役さんだけど、ただ者じゃない存在感は将来が楽しみ。

 最初に書いたように今年は“アタリ年”。娯楽作から硬派な作品まで幅広く良作が生まれた年のように感じた。
 10位以内に入り切らなくて次点とした作品たちも今年を代表する映画に数えられる力作揃い。
 次点にすらできなかった作品でも『崖の上のポニョ』や『アフタースクール』、『東京少女』、外国映画なら『ミスト』や『バンテージ・ポイント』など、印象に残った作品は多い。

 ただアタリ年だったことには違いないんだけど、自分が年をとったせいか若い頃より涙腺や笑いのスイッチが入りやすくなっていて、星の採点が総じて甘めだったかなと反省もしている。
 そんなわけで来年はもう少し厳しくしたい。って同じようなことを一昨年の2006年の総括にも書いてるんだよな。

 最後に、今年は映画関係者の訃報が相次ぎました。
 ここですべてを挙げることはしませんが、個人的には市川崑監督と市川準監督、二人の“イチカワ”が亡くなられたことが特にショックでした。
 あらためて心からご冥福をお祈りいたします。

 以上簡単ではありますが、2008年の総括でした。

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コメント (4)

今年100本程、スクリーンで観ましたが、意外と、邦画は、(歩いても歩いても)洋画は、(落下の王国)次点で(ダークナイト)あたりだと、思います。

>あこさん
コメントありがとう。劇場で100本は凄いですね。
『歩いても歩いても』も『落下の王国』も注目はしてたんだけど見逃しちゃいました。
今年は観て良かった映画も多かったけど、観たくて観れなかった映画も多かったです。

はじめまして。

>娯楽志向の問題作『イキガミ』
的を射た表現ですね!
最近DVDで観たのですが、泣けました。

『崖の上のポニョ』も良かったですね。
私的に現実からちょっと逃避出来て、夢を見させてくれる宮崎駿監督のアニメ作品は新作が出る度に必見です。

◆映画って面白いですね。さん
コメントありがとうございます。
『イキガミ』この年は大好きな作品が多かったので4位止まりでしたが、ほんと素晴らしかったです。
賛否両論ある『崖の上のポニョ』も好きですよ。あんな自由な発想ができるなんて、さすが宮崎監督だと思います。
また遊びに来てくださいね。

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