【映画評】恋極星 (2008)
戸田恵梨香のツンデレぶりが愛らしい泣ける純愛ラブストーリー。
原作は別冊フレンドに掲載された読み切り少女マンガ「君に光を」だそうです。
出演作が続く若手実力派女優、戸田恵梨香は運命に翻弄されるヒロインを好演しているが、長編映画初監督という女流写真家AMIY MORIの演出があまりにぎこちなくて興ざめ。
かつて“星の降る町”と称されていた北海道の小さな町。
早くに母が他界、町でプラネタリウム館を運営していた父・浩一(吹越満)も数年前に亡くして、残された知的障害を持つ弟・大輝(若葉竜也)の面倒を一人で見ながら建設会社の事務員として働いている柏木菜月(戸田恵梨香)。
クリスマスを間近に控えたある日、そんな菜月の前に、11年前、親の仕事の都合でカナダに行ったきり音信不通だった幼なじみの舟曳颯太(加藤和樹)が不意に現れる。
二人は幼い頃、子どもなりに“結婚”の約束をしたほどの仲だったが、度重なる不幸で周囲から心を閉ざすようになっていた菜月は素っ気ない態度で颯太をあしらうしかなかった。
それでも菜月を楽しませようと親しげに接する颯太に、かたくなだった菜月もやがて心を許すようになるのだが…。
ということで世界観はまさに少女マンガのそれ。
主人公たちの境遇もその後の展開も女の子が好みそうな涙を誘うメルヘンチックなラブストーリーで、さすがにアラフォーのおじさんにはちとむずがゆいのだが、もちろんこの映画は女性、特に女子高生あたりを主な対象としているのだろうから、その辺のゆるさは企画相応ということで目をつぶる。
ただ、写真家AMIYさんの演出がね、門外漢の初監督ということでしかたないのだろうけれど、ちょっと閉口させられる。
本業が写真家なだけあって絵的には時にハッとさせられることもあった。でもその一方でムービー(動画)としてのつながりの悪さがやたら目に付くんだな。
最初は時間経過に対してやけに淡泊な演出だなあって印象で観ていたんだけれども、菜月の心の動きが脈略無くコロコロ変わるので、これはもう、ただ下手なだけだな、と。
そこから目をそらせられるほどの派手な仕掛けなんてない、揺れ動く心の機微だけで見せる直球なラブストーリーなだけに、監督の演出力のなさが如実に露呈してしまっているのよ。
絵に描いたようなツンデレの菜月が、ツンからデレに移行してからはひたすら一途で心変わりしないので、序盤の違和感こそ薄れたが、山場となる流星群の夜で、そこまでずっと菜月目線で描かれていたのに、ここだけ颯太目線で菜月の行動を後出しにした構成もいただけない。
きっと、“実は…”っていう驚きで泣かせたかったのだろうが、伏線の張り方がなっていないので狙いほどの驚きはないし、そもそもこの映画は菜月の成長物語でもあるのだから、下手に意外性を狙うより、颯太との関わりの中で変化を遂げた彼女の行動力を前面に出して、クライマックスへ向けて盛り上げるべきじゃなかったのか。
実質的な映画の締めとなる“涙のプラネタリウム”も、“思い出”というこの映画の重要なテーマがいまひとつ機能しきっていない。
これも伏線や小道具の見せ方をもっと巧くやっていれば感動が倍増していたはずだし、意外性を狙うならここだったはず。
終始演出の悪さが気になってしょうがなかった本作で、唯一救いがあるとすれば戸田恵梨香がとにかく綺麗だったこと。これだけは本業写真家監督としての面目躍如といったところか。
特に菜月が颯太との愛を育む日常のモンタージュシーンでの活き活きとした彼女の表情がかわいいったらありゃしない(笑)
このモンタージュやラストのプラネタリウム投影シーンを見ていると、AMIY監督はストーリーを追う劇映画よりミュージックビデオとかのセンスで魅せるイメージ表現の方が本領を発揮するタイプみたい。
演出のまずさから、ひとり気を吐いている戸田恵梨香の好演が空回りしているのは惜しまれるんだけど、冬の北海道の美しさにも負けない戸田恵梨香の魅力は存分に堪能できるので、戸田恵梨香ファンなら彼女目的でこの映画を観ても満足できるんじゃなかろうか。
ついでに言うと、戸田恵梨香ファンなら劇場パンフレットもぜひ手に入れておきたい。これ、最初戸惑ったんだが、通常のパンフレットのような冊子になっていなくて、劇中の彼女の表情を集めたミニミニポスター風写真集になってるの。これがまたなかなかいい。
最後に、男の自分にはいまひとつだったけれども、もちろん本来のターゲットである女性にはそれなりに評価されるんじゃないかな。
客席のほとんどを女性が占めていた上映中、あちこちからすすり泣く声が聞こえてきたし、もう一方の主演である加藤和樹くんも、まさに少女マンガから飛び出したかのようなかっこよさでしたから。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】戸田恵梨香/加藤和樹/若葉竜也/北山向日葵/千阪健介/望月太陽/浅香友紀/岩崎光里/加門良/松田一輝/Takuya/吹越満/鏡リュウジ/二階堂智/徳井優/キムラ緑子/熊谷真実
- 【監督】AMIY MORI
- 【原作】「君に光を」ミツヤオミ
- 【脚本】横田理恵
- 【音楽】小西香葉/近藤由紀夫
- 【製作総指揮】柳原秀弥/三宅容介/小林雄子/Naomi Fung
- 【エグゼクティブプロデューサー】男全修二/坂本紫穂
- 【企画プロデューサー】木村元子
- 【プロデューサー】佐藤丈
- 【ラインプロデューサー】澤田勝美
- 【監督補】戸田直秀
- 【撮影】小松原茂
- 【照明】松隈信一
- 【美術】鈴村高正
- 【録音】小川武
- 【編集】松竹利郎
- 【スクリプター】奥平治美
- 【助監督】白石克則
- 【ビデオエンジニア】三坂裕之
- 【VFXスーパーバイザー】高橋哲人
- 【EED】来栖和成
- 【サウンドミキサー】山本逸美
- 【サウンドエディター】伊東晃
- 【制作担当】井畑周吾
- 【装飾】澤路和範
- 【スタイリスト】市原みちよ
- 【ヘアメイク】中村洋子/倉田明美
- 【主題歌】「好きです。」 [歌]青山テルマ [作詞]SABRO [作曲]3rd Productions
- 【エンディングテーマ】「奇跡(Acoustic Ver.)」 [歌]岡野宏典 [作詞/作曲]岡野宏典 [編曲]島田昌典
- 【挿入歌】「Disconsolate~acoustic ver.~」 [歌]mihimaru GT/「Love is...Shine」 [歌]黒瀬真奈美/「世界が敵になっても」 [歌]ANNY DUMP/「Say Love You」 [歌]DAIZO/「春のカケラ」 [歌]佐藤竹善/「キミの為に僕が強くなる」 [歌]Honey L Days
- 【企画】デジタルハリウッド・エンタテインメント
- 【制作】「恋極星」製作委員会(デジタルハリウッド・エンタテインメント/ポニーキャニオン/サイバード/Vox Project)
- 【制作プロダクション】デジタルハリウッド・エンタテインメント/プロデュース・ハウス・ノアズ
- 【配給】日活
- 【日本公開】2009年
- 【製作年】2008年
- 【製作国】日本
- 【上映時間】103分
- 【公式サイト】http://www.koikyoku.com/

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