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2009年4 月21日 (火曜日)

【映画評】おっぱいバレー (2008)

おっぱいバレー

思春期まっただ中の男子バレー部員たちに「試合に勝ったら、おっぱいを見せる」と約束させられた悩める美人女性教師を綾瀬はるかが演じる青春コメディ。

【満足度:★★★☆】 (鑑賞日:2009/04/19)

 大胆な題名で話題の本作。なかなかいい映画だとは思うんですが、こんな人を食ったようなタイトルでまったくエッチじゃないのはあまりに肩すかしで、減点もやむなし。

 1979年の北九州。おっぱいに興味津々の思春期まっただ中の男子バレーボール部員5人組(木村遼希、高橋賢人、橘義尋、本庄正季、恵隆一郎、吉原拓弥)の通う戸畑第三中学校に、若い女性新任国語教師・寺嶋美香子(綾瀬はるか)が赴任してきた。
 美香子は男子バレー部の顧問を命じられ、意気揚々と部室へ向かうが、当の部員らはまるでやる気がないのだった。
 そんな彼らを奮起させようと説得する美香子は、つい成り行きで彼らと「もし試合に勝ったら、おっぱいを見せる」というとんでもない約束をさせれられてしまう。
 この約束を機に、モーレツに練習に精を出し始める部員たち。一方美香子は、「教師として生徒たちに勝つ喜びを教えたい」という想いと、「見せられるわけ、ないじゃん」という気持ちの狭間で思い悩んでいた…。

 『海猿』シリーズや『銀色のシーズン』といった活きのいい映画で楽しませてくれた羽住英一郎監督が、昨年『僕の彼女はサイボーグ』や『ICHI』、『ハッピーフライト』などでめざましい活躍を見せてくれた綾瀬はるかと組んでの新作ということでかなり期待していたんだが、期待しすぎたか悪くはないのに弾け足りない印象。

 原作小説から時代設定を変更してノスタルジックな方向に振ったのは正解だと思うが、ただそれに頼りすぎな感も。
 時の流行歌に乗せて、深夜テレビ番組の『11PM』やエロ本といった、かつて思春期だった男性諸氏には大いに心当たりがあるだろうエピソードが繰り広げられて、確かに楽しいし、懐かしい。
 しかしそういった小道具が時代の背景にしかなっておらず、作品の軸であるはずの思春期の男の子が抱く“性への興味”にいまひとつ結びついてこないのだ。
 平たく言えば、良くも悪くもまるでエロくないのよ。

 演出的に「イヤらしくしたくない」という気持ちが強すぎなのがありありで、コメディ的なオチがつく『11PM』のエピソードはともかく、エロ本はそれっぽい表紙が映し出されるだけで決してページが開かれることはない。
 今のご時世そのものずばりの過激なヌード写真を見せろとまでは言わないが、エロ本を開く瞬間のドキドキ感こそが思春期そのものじゃなかったのか。

 また女の子のことで頭がいっぱいの男の子たちが、普段目にしたことのないレオタード姿の女子生徒たちを目撃するシーンがあるが、そんな男の子たちにとっては夢のようなその光景を目の前にしても、彼らの視線を代弁するカメラは、ほとんど“引き”の構図ばかりで、ついぞ肝心なところをアップにはしてはくれない。これとて年頃の男の子の視線のやり場はそんなもんじゃないだろうと言いたくなる。

 エッチ描写が足りないとばかり主張していると変な誤解をされそうだが、主役に綾瀬はるかがキャスティングされている時点でイヤらしい映画にならないことは、はなから了承済み。そんなことに多大な期待をしていたわけじゃない。
 ただね、エッチ描写の件は一例として、おっぱいに夢中になる男の子たちの、彼らなりの一途さが描き切れているとはとうてい思えないのよ。
 つまり、青春映画に成り得てない。

 たとえば、なんだか一悶着ありそうな“幼なじみの同級生の女の子”(小島藤子)も登場するのだが、これがまた“幼なじみ”である必要性があまり感じられない。
 彼女視点での揺れる乙女心は一応描かれてはいる。しかし、男の子目線からは、そんな身近な女の子に“大人の女性”への成長を垣間見るのもまた、思春期の一ページだと思うのだが、そういった描写はまるでないままに終わってしまう。

 文句ばかり並べてしまうが、そういった不満が次々と湧いてしまう理由は非常にはっきりしていて、それは思わせぶりなタイトルでありながら実はエッチじゃないからというより(もちろんそれもあるが)、この映画が思春期の男の子たちのドタバタを描いた青春映画のフリをして、実は美香子先生の成長ドラマであるという、表面上の展開とドラマ的な軸とがうまくかみ合っていないから。

 その美香子先生の成長ドラマは、わかりやすい伏線から想像できる範疇ではあったが、それ自体は泣かせるとてもいい話で申し分ない。
 ただ、なんだか「イヤらしくしない」という大命題の元で、その方向に踏み込めない分を補うための過剰演出のような気がしてならなかった。

 思えば羽住監督の過去の作品では、一部の批評家筋や映画通からは嘲笑されることもあったが(自分は嫌いではない、大いに肯定している)、一貫してそのばかばかしいまでに弾けきった熱い青春描写が持ち味だったのに、本来その才能が遺憾なく発揮されるはずの本作では、この題材のばかばかしさを寸止めにして煮え切らない作品になってしまったようだ。

 おっぱいを見たいという一心でがんばる男の子たちの姿を追いながら、でもカメラはおっぱいから目を背けることに一生懸命なんだもの。そんな及び腰じゃ、魅せられるわけ、ないじゃん。

予告編 - Trailer

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】綾瀬はるか/青木崇高/木村遼希/高橋賢人/橘義尋/本庄正季/恵隆一郎/吉原拓弥/石田卓也/大後寿々花/福士誠治/小島藤子/斉藤リナ/小林勝也/三木敏彦/野田晋市/森下じんせい/光石研/田口浩正/市毛良枝/仲村トオル
  • 【監督】羽住英一郎
  • 【製作】堀越徹/千葉龍平/阿部秀司/上木則安/遠藤茂行/堀義貴/西垣慎一郎/平井文宏
  • 【エグゼクティブプロデューサー】奥田誠治/堀健一郎
  • 【Coエグゼクティブプロデューサー】菅沼直樹
  • 【プロデュース】堀部徹
  • 【プロデューサー】藤村直人/明石直弓
  • 【Coプロデューサー】穀田正仁
  • 【アソシエイトプロデューサー】小出真佐樹/中島真理子
  • 【企画協力】江上雅彦
  • 【原作】水野宗徳「おっぱいバレー」
  • 【脚本】岡田惠和
  • 【音楽】佐藤直紀
  • 【ラインプロデューサー】武石宏登
  • 【撮影】西村博光(J.S.C)
  • 【照明】三善章誉
  • 【録音】柳屋文彦
  • 【美術】北谷岳之
  • 【装飾】湯沢幸夫
  • 【編集】松尾浩
  • 【選曲】藤村義孝
  • 【音響効果】大河原将
  • 【スクリプター】目黒亜希子
  • 【助監督】吉田和弘
  • 【制作担当】古屋厚
  • 【主題歌】「個人授業」Caocao [作詞]阿久悠 [作曲]都倉俊一
  • 【製作】日本テレビ放送網/エイベックス・エンタテインメント/ROBOT/ワーナー・ブラザース映画/東映/ホリプロ/読売テレビ/バップ/STV/MMT/SDT/CTV/HTV/FBS
  • 【制作プロダクション】ROBOT
  • 【共同配給】ワーナー・ブラザース映画/東映
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2008年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】112分

コメント (2)

TB有難うございました。
最初は、なんて如何わしいタイトルなんだと。
これを映画にするのか・・・と思いましたが
100%の感動作品ものでした。
前半の笑いと後半の涙、バランスが絶妙でした。
タイトルは一瞬、えっ!?となりますが
女性に薦めたい映画です。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!

>シムウナさん
コメントありがとう。
突拍子もないタイトルとは裏腹に、さわやかな感動を与えてくれる映画でしたよね。
ぜひまたいらしてください。

この記事へのコメントは終了しました。

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