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2009年5 月25日 (月曜日)

【映画評】消されたヘッドライン (2009)

辣腕新聞記者がアメリカ軍需産業の闇を暴くサスペンス映画。

【満足度:★★★☆】 (鑑賞日:2009/05/23)

 イギリスで話題となったテレビドラマ・シリーズ『ステート・オブ・プレイ~陰謀の構図~』を原作とするポリティカル・サスペンス。なお原題はテレビドラマ版、映画版共に“STATE OF PLAY”。
 簡単に言ってしまえば辣腕新聞記者が軍需産業の陰謀を暴いてスクープをものにしようとするお話。
 一見そんな単純なサスペンス映画なのだが、いろんな要素が絡み合っていてなかなか面白く仕上がっている。

 アメリカの首都ワシントンD.C.で二つの事件が起こる。
 ある晩、裏通りでドラッグ中毒の黒人少年が何者かに射殺され、たまたまそこに通りかかったピザ配達人も撃たれて重体。
 一方その翌朝、通勤客でごった返す地下鉄では、連邦議会議員スティーヴン・コリンズ(ベン・アフレック)のもとで働く女性職員ソニア・ベーカー(マリア・セイヤー)がホームから転落、列車に牽かれて死亡する。
 地元新聞社ワシントン・グローブ紙の新聞記者カル・マカフリー(ラッセル・クロウ)は黒人少年射殺事件を調べ始めるが、スティーヴン議員と親友関係であったカルのもとに、スティーヴン議員が死亡したソニアと愛人関係にあったのではないかと疑う同紙WEB版担当の駆け出し記者デラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)が訪れ、二つの事件は意外な展開を見せ始める…。

 いろんな人間関係や思惑が入り乱れる重厚な推理劇の割には、キャラの立たせ方やストーリー展開が巧いので混乱せずに観られて見応えもたっぷり。二転三転する真相に何度も驚かされるテンポの良いエンターテイメント作品として楽しめた。
 ただ予告編などではアメリカの裏側で暗躍する強大な力と新聞社の対決という点をアピールしているが、辣腕新聞記者が新人女性記者と組んで締め切りまでにスクープを挙げようとする業界もの映画として捉えた方がいいように感じた。

 予告編から抱いたイメージ通りに、話は底知れぬ恐ろしさを醸す民間軍事企業との対決を中心に展開するのだが、社会派映画のようなものを期待すると最終的な意外な落としどころにがっかりするかもしれない。
 実のところ現場叩き上げ記者を絵に描いたようなカルと時代を象徴するWEB版(言い換えるとブログ版)を担当するひよっこ記者デラの“バディもの”としての掛け合いの方がこの映画のテーマを代弁していると言え、国家をも揺るがしかねない大事件が一件落着してエンドロールが流れ始めたそのバックの映像から受けた、事件解決の安堵感とは裏腹の寂寥感にもそれは伺い知れる。

 この『消されたヘッドライン』の原題“STATE OF PLAY”とは「現状」という意味なんだそうだ。現状、すなわちここに描かれているのは過去と未来の狭間なのだ。
 新聞が、ひと頃IT革命ともてはやされた時代の流れの中で、紙媒体から次世代のメディアに替わろうとも変わることのない、変わってはならない真実を追う姿勢。
 いろんな要素を内包したこの映画が、最終的に描こうとしているのは報道メディアとしてのその姿勢なんだろう。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】ラッセル・クロウ/ベン・アフレック/レイチェル・マクアダムス/ヘレン・ミレン/ロビン・ライト・ペン/ジェイソン・ベイトマン/ジェフ・ダニエルズ/マリア・セイヤー/サラ・ロード
  • 【監督】ケヴィン・マクドナルド
  • 【脚本】マシュー・マイケル・カーナハン/トニー・ギルロイ/ビリー・レイ
  • 【BBC・TV・シリーズ原作】ポール・アボット
  • 【製作】アンドリュー・ハウプトマン/ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー
  • 【製作総指揮】ポール・アボット/ライザ・チェイシン/デブラ・ヘイワード/E・ベネット・ウォルシュ
  • 【撮影監督】ロドリゴ・プリエト ASC,AMC
  • 【プロダクション・デザイナー】マーク・フリードバーグ
  • 【編集】ジャスティン・ライト
  • 【共同製作】エリック・ヘイズ
  • 【衣装】ジャクリーン・ウエスト
  • 【音楽】アレックス・ヘッフェス
  • 【提供】ユニバーサル映画/ワーキング・タイトル・フィルム
  • 【配給】東宝東和
  • 【原題】STATE OF PLAY
  • 【字幕翻訳】松浦美奈
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2009年
  • 【製作国】アメリカ/イギリス
  • 【上映時間】127分

コメント (2)

初めまして「8分半のゆで卵」です
間違えて、トラックバックを削除してしまいました
面倒でなければ、もう一度お願いできないでしょうか
お手数をおかけします、申し訳ありません

>John.Johnさん
コメントありがとう。
トラックバックし直しておきました。
また遊びにいらしてくださいね。

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