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2009年6 月 8日 (月曜日)

【映画評】ハゲタカ (2009)

名作テレビドラマ『ハゲタカ』を映画化した骨太な社会派経済ドラマ。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2009/06/07)

 国内外の数々の賞に輝いたNHKの連続ドラマ『ハゲタカ』(2007年放送、全6話)の劇場版。
 主要キャストはドラマ版そのままに、ドラマ終了時から四年後の設定で、“ハゲタカ”こと鷲津政彦が中国系巨大ファンドを相手に壮絶なマネーゲームを繰り広げる社会派ドラマ。

 日本を代表する自動車メーカー・アカマ自動車が、中国残留日本人孤児三世・劉一華(リュウ・イーファ、玉山鉄二)の率いる投資会社・ブルー・ウォール・パートナーズから買収を仕掛けられた。
 アカマ自動車の執行役員となっていた芝野健夫(柴田恭兵)は、会社、しいては日本の危機を乗り切るために、日本のマーケットに失望し、海外で生活を送っているかつての盟友、企業買収の天才で“ハゲタカ”の異名を持つ鷲津政彦(大森南朋)に協力を要請するが…。

 大変評判の良かったドラマ版の噂は知っていたが、結局未見のままでこの映画版を観た。
 結論から言うと、ドラマ版を知らなくても一応話にはついていけたのだが、やっぱりドラマ版を観ておけばよかったと激しく後悔。
 劇場用パンフレットに載っているドラマ版のあらすじを見る限り、登場人物たちの因縁を知っているのと知らないのとでは、この映画に対する評価もだいぶ違っていたに違いない。
 映画版だけ観ると、松田龍平の演じる西野弘なんて別にいらないじゃんて思ってしまう。

 そういうわけで、ドラマ未見者としての感想になるが、幾度となく吐かれる含蓄のあるセリフの数々に世界経済の現状、日本の社会のありようを考えさせられる、まさに社会派ドラマとしての醍醐味に溢れた力作。
 リアルな経済ドラマとして難解な専門用語も飛び交うが、わかりやすいストーリーのお陰で、ちんぷんかんぷんで混乱してしまうなんてことはない。

 ただ、国際色豊かに外国語も多く飛び交うのだが、その字幕スーパーの出し方が不親切で見辛い。
 またこれは劇場の問題かもしれないが、ただでさえわかりにくい専門用語をまくし立てるセリフが聞き取りづらいのもいかがなものか。
 懸念していた専門用語ではなく、それ以前のところでずいぶんとストレスがたまった。

 “伝説のハゲタカ”vs.“赤いハゲタカ”の対決も、案外あっけない決着。もっともっとサスペンスフルな展開を期待していたのよ。
 とってつけたような劉の後日談も、彼の真意が曖昧になってしまっただけのように思う。

 評判のいい骨太な社会派ドラマということで期待も大きかったのだが、その期待に一歩及ばず。
 なるほどと勉強になったりはするのだが、きまじめなドキュメンタリーを観ているような印象で、娯楽映画としてのケレン味には欠く。その辺はドラマ版でやり尽くしたということなのだろうか。

 ネタが続くならぜひ続編を。鷲津の活躍をもっとむさぼるほどに観てみたい。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】大森南朋/玉山鉄二/栗山千明/高良健吾/嶋田久作/志賀廣太郎/小市慢太郎/Gregory Pekar/脇崎智史/遠藤憲一/松田龍平/中尾彬/柴田恭兵
  • 【監督】大友啓史
  • 【製作】富山省吾
  • 【製作統括】小野直路/島谷能成/入江祥雄/安永義郎/喜多埜裕明/石井博之/宮路敬久/大宮敏靖/大月昇/宮本幸一
  • 【エグゼクティブプロデューサー】岡田円治/市川南
  • 【企画/プロデューサー】訓覇圭/遠藤学
  • 【製作プロデューサー】前田光治
  • 【キャスティングプロデューサー】城戸史朗
  • 【プロダクション統括】金澤清美
  • 【脚本】林宏司
  • 【原作】真山仁「ハゲタカ」「ハゲタカII」「レッドゾーン」
  • 【撮影】清久素延
  • 【美術】花谷秀文
  • 【録音】湯脇房雄
  • 【照明】川辺隆之
  • 【編集】大庭弘之
  • 【助監督】會田望
  • 【製作担当】石井仁朗
  • 【音楽】佐藤直紀
  • 【音楽プロデューサー】岩瀬政雄
  • 【製作】NHKエンタープライズ/東宝/講談社/博報堂DYメディアパートナーズ/ヤフー・ジャパン/TOKYO FM/日販/TSUTAYAグループ/読売新聞/日本放送
  • 【企画】NHKエンタープライズ
  • 【製作プロダクション】東宝映画
  • 【配給】東宝
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2009年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】134分

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