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2009年7 月 1日 (水曜日)

【コラム】10周年

 まず最初に断っておかなくてはいけないのですが、『未完の映画評』としてスタートしたのはちょうど5年前の2004年7月1日です。
 そういう意味では5周年で、実際一年前には4周年としてコラムを書いたのですが、前身である『かみぃの丘 - 映画徒然文集』は1999年6月18日に始まっており、今年3月1日の『未完の映画評』移転&リニューアル時に「『未完の映画評』は『映画徒然文集』をブログ化&改題したものである」という認識に立ち返り、『映画徒然文集』から転載(当初、ブログの扱いとしては新規投稿)していた古い映画評も、“投稿日”を初掲時の日時に戻して発表の時系列を明確にしましたので、あらためて公式見解としては10周年とします。(参照:このサイトについて > 沿革

 ということで、10周年なのです。
 これまで何度となく挫折しかけましたが、かろうじてここまで続いてきました。
 10年て一口に言うけれど、当時の映画を振り返ると、やっぱり一昔前なんだなぁと感慨深い。

 今をときめく宮崎あおいが伝説となるような役で『あの、夏の日~とんでろ じいちゃん』に出ていたり、東宝シンデレラという看板をひっさげて『クロスファイア』の些細な役で映画デビューしたのは長澤まさみ
 洋画なら今やハリウッドを代表する名女優のひとりアンジェリーナ・ジョリーが頭角を現し始めていた頃で、『ボーン・コレクター』でデンゼル・ワシントンの相手役を務めてる。
 映画史に名を残す『マトリックス』や『シックス・センス』も、もう10年前の作品なんだね。

 区切りの年でもあるし、この10年で特に忘れられないマイ・ベスト映画を選んでみよう。

■10周年記念ベストテン(対象:1999年半ば~2009年6月)
1位『レスラー』(2008年、ダーレン・アロノフスキー監督)
 若い頃に共感した青春映画が青春のバイブルなら、この映画は白秋のバイブル。
2位『時をかける少女』(2006年、細田守監督)
 いくつになったって取り返しのつかない失敗はするもので、それでも初心を忘れずにいたい。
3位『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年、ピーター・ジャクソン監督)
 三部作で評価したいが、一本選ぶなら監督の執念が結実したこれ。
4位『ストロベリーショートケイクス』(2005年、矢崎仁司監督)
 人生辛いこともあるけれど、それでも前向きに生きたいと思わせる珠玉の名作。
5位『ビッグ・フィッシュ』(2003年、ティム・バートン監督)
 初見当時も好印象だったけど、40歳を目前にした今にこそ身につまされる感動作。
6位『千と千尋の神隠し』(2001年、宮崎駿監督)
 言うまでもなくファンタジー映画の傑作にして、宮崎アニメの集大成。
7位『ガチ☆ボーイ』(2007年、小泉徳宏監督)
 毎日を大切にしたいスポ根映画の傑作。
8位『しゃべれども しゃべれども』(2007年、平山秀幸監督)
 人が互いに影響し合うこと、語り継ぐことの素晴らしさ。
9位『トゥモロー・ワールド』(2006年、アルフォンソ・キュアロン監督)
 圧倒的な迫力で迫ってくる黙示録だが、希望も忘れない。
10位『化粧師 KEWAISHI』(2001年、田中光敏監督)
 ベタだけど、お手本のような職人芸を堪能できる佳作。
(次点)
 『河童のクゥと夏休み』(2007年、原恵一監督)
 『魔法にかけられて』(2007年、ケヴィン・リマ監督)
 『1リットルの涙』(2004年、岡村力監督)
 『いま、会いにゆきます』(2004年、土井裕泰監督)
 『下妻物語』(2004年、中島哲也監督)
 『回路』(2000年、黒沢清監督)
 『さくや 妖怪伝』(2000年、原口智生監督)
 『ジュブナイル』(2000年、山崎貴監督)

 選んでみて、この10年で嗜好もだいぶん変わってきたと痛感。
 10年前なら青春映画の方が共感できたけど、最近は人生を語るヒューマンドラマが身に染みる、身につまされるようになってきてる。

 その象徴が、つい最近観たばかりなのに、いきなりトップを取った『レスラー』。
 さすがに自分を晩年と呼ぶにはまだ早いけれど、それでもこの映画のミッキー・ロークを見ていると、老い先を考えてしまうのよ。

 同じ理由でランクインしたのが『ビッグ・フィッシュ』。
 初見当時は、いい映画だとは認めつつも個人的に拒絶してしまう部分があったんだけど、それが今になって響いてきた。
 生涯ベストテンである“愛する映画10傑”にも、今さらながらランクインさせました。

 さて、自分は映画の仕事に携わることもある身ゆえ、仕事についても思い返すことのある10年でしたが、それを今振り返ってしまうと辛かったことの傷がまだ癒えていないので、今回はやめとく。

 一方、ここのサイト運営についてなら前向きになれます。
 実はほんの一年くらい前までは、更新のサボり癖が災いして、来客も数えるほどしかなかったのですが、去年の“ポニョ・ショック”(参照:【年間総括】2008年度映画総括 - 年間ベストテン)以降、こんな稚拙サイトではありますが、最近では「読まれている」ことを自覚するほどの来客が訪れるようになりました。感謝。

 そんな後押しがあって、ここ最近、以前では考えられないほど、がむしゃらに更新している自分に驚きます。
 実は業界で働いていても、意外と劇場に足を運んで映画を観るという人は少ないもので、仕事仲間の間ですら月に何本も観ているのは「異常」と言われる有様なんですよ。

 昔は公開初日の鑑賞などこだわっていなかったのに、この頃は封切り日に観る機会も多くなりました。
 お陰で、「今週末は何が公開されるんだろう?」という楽しみも増えました。

 「休んでもいいけど、止めない」を最低限のポリシーとして、中断を挟みながらも続けてきたこのサイト運営が、生活の中でプラスに働いていることを実感できるようになった10年目。
 今や、更新するために“頑張って”映画を観る、そのためにも仕事も“頑張る”という、働くことのモチベーションの一端を担うほどに至っています。

 この「休んでもいいけど、止めない」というのは、気がつくと自分の人生そのものなんだなぁとも思う。
 高い頂(いただき)に突進していくような人生ではないけれど、なだらかな丘を踏みしめながら歩んでいく。
 山の上から絶景を眺めるようなことはできないけれど、足下の草花に思いをはせる。
 それで誇れる人生なのか、幸福な生き方なのか、今はわからない。
 それはもうちょっと先、5年後、10年後に、振り返ってみたい。

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