【映画評】アマルフィ 女神の報酬 (2009)
謎を秘めた外交官・黒田が邦人少女誘拐事件の真相を追うミステリー映画。
フジテレビ開局50周年記念作品としてオールイタリアロケで撮影されたサスペンス・ミステリー。ただし1カットだけ東京の東宝スタジオで撮影したらしい。
『ホワイトアウト』などで知られる真保裕一の同名小説が原作とされているが、もともと織田裕二主演ありきのオリジナル企画が先。小説版はこの映画の製作過程で真保裕一氏が独自の視点を採り入れて執筆されたもの。
脇を固める豪華出演陣も話題のこの超大作を監督したのは『容疑者Xの献身』の西谷弘。
クリスマス目前のイタリア・ローマ、上司・片岡(中井貴一)からの特命を受けた外交官・黒田康作(織田裕二)がG8外務大臣会合の準備に追われている日本大使館に着任する。
着任早々、旅行に来ていた矢上紗江子(天海祐希)の娘・まどか(大森絢音)が迷子になったとの連絡を受け、研修生・安達香苗(戸田恵梨香)とともに現場の美術館に向かう黒田。
手がかりはなく、黒田の機転で美術館内の監視カメラをチェックするが、まどかがトイレに入っていく姿を最後に足取りは途絶えてしまう。
と、そこへ、まどかの携帯電話から紗江子に電話が掛かってくる。が、受話口の向こうから聞こえてきたのはイタリア語。それは誘拐犯の声だった…。
惜しいんだよなぁ。
織田裕二主演ありきの企画だけあって、織田裕二扮する黒田は、まさに青島刑事以来のはまり役でカッコイイ。
イタリアロケにこだわった撮影も功を奏していて、素晴らしいロケーションで魅せてくれる。
でも、サスペンス・ミステリーとして観るとかなり薄味。
黒田と研修生・安達の出会いのシーンはクールで腕の立つ黒田らしさがうまく表現されていて、けっこういい滑り出し。黒田がなにやら特命を受けているらしいという思わせぶりな設定も巧い。
なのに、端を発する誘拐事件の描き方が単調で、まさに観光案内映画にしかなっていないのよ。
セリフでは大使館内部にも共謀者がいるかもしれないと振っておきながら、とりたててそういう描写がないのもサスペンス感を欠いている。
犯人の目的がほかにありそうだとわかってきてからはグイグイ引き込まれるんだけど、その頃にはミスリードもないまま犯人の察しがついてしまうので、犯人探しの面白みは無いに等しい。
誘拐された娘・まどかの病気が展開的にまったく機能していなくて、ラストではすっかり忘れ去られているのも気になった。
終わってみればタイトル『アマルフィ 女神の報酬』も、どこが「すべての真相は、そこにある」なのやら。
犯人の犯行もちょっと考えれば穴だらけで、そんなスカスカの犯行を暴けないイタリアの警察まで間抜けに見える始末。
そもそも警察の捜査がろくに描かれていないのだから救いようがない。犯人のトリックに気付くのは黒田でいいとしても、その手前までは警察主導の捜査で見せた方が、イタリア人俳優の活躍も見られてより一層国際色豊かになるというメリットもあったろうに。
そういう意味ではイタリアロケだけでまとめたことが返って世界観をこぢんまりとさせたような印象も。あえて日本の様子も入れた方が世界を舞台にしたスケール感は出たような気がするのだが。
続編を期待させる終わり方とか、写真の使い方とか、いいところもあったんだけどね。
最後に、俳優陣も皆さん素晴らしい。
というか、出演者の名前を見ると豪華なのはわかるけど、名のある人たちを相当贅沢な使い方していて驚いた。
その一方で、最近のお気に入り若手女優・戸田恵梨香が思いのほか出ずっぱりだったのも嬉しかったし(笑)。
ただ、恵梨香ちゃんの衣装がちょっとかわいらしすぎて、このハードボイルドな映画の中では浮いていた気がしないでもないのは、スタイリストさんが頑張りすぎたせいなのか、はたまた個人的な好みゆえに目を惹いた、これこそが“女神の報酬”だったのかは定かでない。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】織田裕二/天海祐希/戸田恵梨香/大塚寧々/伊藤淳史/佐野史郎/小野寺昭/平田満/大森絢音/荻野清子/ROCCO PAPALEO/UGO DE CESARE/ALICE PALAZZI/ANDREA GHERPELLI/DAVIDE LORINO/JACOPO BONVICINI/SARAH BRIGHTMAN/福山雅治/佐藤浩市
- 【声の出演】中井貴一
- 【監督】西谷弘
- 【製作統括】豊田皓
- 【製作】堀口壽一/島谷能成/高田佳夫/尾越浩文/杉田成道/永田芳男
- 【エグゼクティブプロデューサー】亀山千広
- 【企画・プロデュース】大多亮
- 【プロデューサー】臼井裕詞/和田倉和利
- 【ラインプロデューサー】森賢正/森徹
- 【原作】真保裕一
- 【音楽】菅野祐悟
- 【撮影】山本英夫(J.S.C.)
- 【照明】小野晃
- 【プロダクションデザイナー】種田陽平
- 【整音】瀬川徹夫
- 【録音】藤丸和徳
- 【アートディレクター】赤塚佳仁
- 【編集】山本正明
- 【スクリプター】藤島理恵
- 【選曲】藤村義孝
- 【音響効果】大河原将
- 【VFXプロデューサー】大屋哲男
- 【監督補】池上純哉
- 【助監督】足立公良
- 【製作担当】千綿英久
- 【アシスタントプロデューサー】上原寿一
- 【主題歌】サラ・ブライトマン「タイム・トゥ・セイ・グッバイ(ソロ・ヴァージョン)」
- 【製作】フジテレビジョン/東宝/電通/ポニーキャニオン/日本映画衛星放送/アイ・エヌ・ピー/FNS27社
- 【制作プロダクション】シネバザール
- 【イタリアロケーション制作協力】エム・キューブ
- 【配給】東宝
- 【日本公開】2009年
- 【製作年】2009年
- 【製作国】日本
- 【上映時間】125分
- 【公式サイト】http://www.amalfi50.jp/
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