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2009年8 月 2日 (日曜日)

【映画評】ボルト [3D] <日本語吹替版> (2008)

ハリウッドのスタジオ育ちで自分をスーパー犬と信じ込んでいたボルトが、スタジオ飛び出して嘘を知ってもなお飼い主ペニーを信じて旅するアドベンチャー・アニメ映画。

【満足度:★★★★】 [3D映画] <日本語吹替版> (鑑賞日:2009/08/01)

 ピクサーアニメの陣頭指揮を執ってきたジョン・ラセターがディズニーに出戻って最初に作ったCGアニメーション映画。
 3D版&日本語吹き替え版で鑑賞。
 愛らしいキャラクターたちの魅力に完全にノックアウトされました。

 売りに出されていた白い子犬のボルト(声:ジョン・トラヴォルタ/佐々木蔵之介)は少女ペニー(声:マイリー・サイラス/白石涼子)に引き取られた。
 5年後、科学者であるペニーの父(声:ショーン・ドネラン/根本泰彦)が世界征服をたくらむドクター・キャリコ(声:マルコム・マクダウェル/中村秀利)率いる悪の組織にさらわれてしまう。実はこんなこともあろうかと案じていたペニーの父がボルトの遺伝子を強化し、ボルトはたぐいまれなスーパー能力と背中には稲妻の印を備えたスーパードッグとなっていたのだ!
 こうして父を助けんとするペニーとボルトは日夜邪悪な組織と闘っていた…。
 というのは、すべてハリウッドで撮影されているテレビドラマの中でのお話。しかし、ボルトはそんなこととはつゆ知らず、自分はスーパー犬と信じ込んでいた。
 そんなある日、ドラマの中で、ペニーまでもがドクター・キャリコに誘拐されてしまう。それを事実と疑わぬボルトは、愛するペニーを助けようと勢い余ってスタジオを飛び出してしまう。挙げ句、ひょんなことからニューヨークまで運ばれてしまったボルト…。
 そこから人間嫌いで現実主義者・野良猫のミトンズ(声:スージー・エスマン/江角マキコ)、ボルトの大ファンのハムスター・ライノ(声:マーク・ウォルトン/天野ひろゆき)も絡んで、ボルトがペニーを探す長い旅が始まる。

 本筋的には個性的な三匹が織りなすアメリカ横断ロードムービーなんだが、まずは冒頭の劇中劇のアクションシーンが、これだけでも一本映画が作れそうなクオリティの高さで度肝を抜かれる。
 “つかみ”でここまでやれてしまうところにアメリカ映画の底力を感じずにはおれない。どこぞの国のテレビ映画のふざけたハイジャックシーンや「禁断の問題作」を謳った映画のダラダラとした追いかけっこシーンとはとうていレベルが違うのだ。

 ただその後、実はこれはテレビドラマの撮影でした、という“ひねり”から外に出ると、お話的には少々平坦。
 時折挟まれるアクションシーンはなかなかなんだが、ボルトが自分はスーパー犬じゃないと知って悩むくだりも、一途にペニーの愛を信じるというだけでなんとなく片づいてしまったという感があり、クライマックスにいたっては用意された危機的状況からとんとん拍子にハッピーエンドというわかりやすさ。
 まあ、そういうところがディズニー映画の良さでもあるので、ファミリー向け映画としては肯定的に捉えたい。

 こんな言い方をすると、じゃあ、大人の自分としては楽しめなかったのかというと、実はまったく逆で、大いに堪能させてもらった。

 ストーリーが凄いとは言わないけれど、なにより三匹の愛嬌に魅了されたのよ。
 タイトルは『ボルト』だけれども、三者三様の見せ場がまんべんなく与えられているのもいい。

 擬人化されていても動物としての仕草や表情が“いかにも”で、いちいち微笑ましく、犬好き、猫好き、ハムスター好きにはたまらないんでないか。
 自分が怪我をすることやお腹が空くことすら知らなかったボルトが、ミトンズから指南を受けて“普通の犬”としての喜びを学んでいく過程が、ある意味パロディ的で、自分も含め劇場でも何度も笑いが起こっていた。

 過去のトラウマからすれてしまったミトンズに妙な人間臭さを感じる一方で、人間の描き方が類型的過ぎて、物語をもの足りなくさせてしまったのが惜しまれるが、あくまで動物たちを主人公にした成長物語と思えば、なかなか楽しませてくれる良作でした。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト(声の出演)】ジョン・トラヴォルタ/マイリー・サイラス/スージー・エスマン/マーク・ウォルトン/マルコム・マクダウェル/ジェームズ・リプトン/グレッグ・ジャーマン/グレイ・デリスル/ショーン・ドネラン
  • 【日本語吹き替え版キャスト(声の出演)】佐々木蔵之介/白石涼子/江角マキコ/天野ひろゆき/中村秀利/東地宏樹/山路和弘/松岡洋子/根本泰彦/ウド鈴木
  • 【監督】クリス・ウィリアムズ/バイロン・ハワード
  • 【製作】クラーク・スペンサー
  • 【製作総指揮】ジョン・ラセター
  • 【脚本】ダン・フォゲルマン/クリス・ウィリアムズ
  • 【音楽】ジョン・パウエル
  • 【アート・ディレクター】ポール・フェリックス
  • 【様相・照明ディレクター】アドルフ・ルジンスキー
  • 【ストーリー部門ヘッド】ネイサン・グレノ
  • 【アニメーション・スーパーバイザー】ダグ・ベネット
  • 【日本語版エンディングソング】「同じ空を見上げてる」甲斐名都 [作詞]甲斐名都/はつみ [作曲]nao
  • 【配給】ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
  • 【原題】BOLT
  • 【字幕翻訳】稲田嵯裕里
  • 【吹替翻訳】いずみつかさ
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2008年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】96分

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