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2009年10 月28日 (水曜日)

【映画評】ATOM アトム (2009)

ロボットとして蘇った少年・アトムが、悪いやつらを懲らしめる、名作手塚アニメ『鉄腕アトム』がCGアニメ大作として復活。

【満足度:★★★】 (鑑賞日:2009/10/19)

 手塚治虫原作の不朽の名作『鉄腕アトム』を最新のフルCGアニメーションで映画化した劇場版。
 手塚治虫生誕80周年記念での企画みたいだが、製作は香港とロサンゼルスを拠点とするアニメ制作会社、イマジ・スタジオってところ。

 ロボットが人間のあらゆる仕事を請け負う空中都市メトロシティ。そこに暮らす少年・トビー(声:フレディ・ハイモア/上戸彩)は科学省長官である父親・テンマ博士(声:ニコラス・ケイジ/役所広司)譲りの頭脳明晰な男の子。
 ある日トビーは父親の研究を覗きに科学省を訪れるが、実験中の事故に巻き込まれ、テンマ博士の目の前で命を落としてしまう。
 突然の息子の死に悲嘆に暮れるテンマ博士は、容姿がトビーそっくりで、トビーの記憶まで埋め込んだ最新型ロボットとしてトビーを蘇らせるのだが…。

 上戸彩がアトム役の吹き替えをしたことで話題になっている日本語吹き替え版ではなく、オリジナルの日本語字幕版での鑑賞。
 けど、それはちょっと失敗だったかな。字幕を追うことが普通の外国語実写映画以上に疲れた。
 わかっちゃいたけど、「アストロ」と呼ばれるアトムやお茶の水博士の名前が英語の発音と字幕ではまったく違うのも最後まで違和感をぬぐえなかったし。
 ついでに言うと、少々男前になったアトムのキャラクターデザインも慣れるまで時間が掛かった。

 でもまあ、本作に限らずリメイクものには付きもののそういった違和感に目をつぶれば、ファミリー向けアニメとして、そつなくまとめられた良作だと思います、ハイ。

 さて、『鉄腕アトム』自体に特段の思い入れがあるわけじゃないのもあって、こんな淡泊なレビューしか書けなかった。
 それというのも、1970年代に幼少期を過ごした筆者は、何度かテレビアニメ化された『鉄腕アトム』のちょうど狭間の世代で、なにより、筆者のアトムの第一印象って「ジェッターマルスの偽物」なんですわ。

 『ジェッターマルス』って言ったって知らない人がほとんどでしょうけど、1977年にフジテレビ系で放映された、世界観や内容、はては登場人物の容姿まで『鉄腕アトム』とほぼ同じロボットアニメ。
 実際はこっちの方がアトムの亜種なんですが、パクリってわけじゃなくて、こちらもれっきとした手塚アニメのひとつ。

 子供の頃の原体験というのは恐ろしいもので、『鉄腕アトム』は国民的アニメと理屈じゃ理解しても、そうアトムが紹介されるたびにジェッターマルスが思い出され、「こいつの陰で、自分が子供の頃に楽しんだ『ジェッターマルス』は時代のあだ花になっちゃったなぁ」っていう悲哀がわき起こっちゃうんですよ。
 同世代のごくごく一部の方には共感していただけるんじゃないかと思いますが、少なくとも自分は、“国民的アニメ『鉄腕アトム』”の国民には含まれていないようなのです。

 だから今回のアトム再注目にしても、素直に喜べない自分がありまして。
 このCGアニメ大作『ATOM アトム』を観ながら、「なかなか良くできてるじゃん」と感動しつつも、でも一方で「ああ、これを『ジェッターマルス』で観たかったなぁ」って思ってしまうわけです。

 まったく『ATOM アトム』の批評になっておりませんが、「♪時は2015年っ!」(『ジェッターマルス』のオープニング曲より)を大スクリーンで観たかったっていうのが、この映画を観終わった時の素直な感想なんでありました。

参考映像 - Reference Video

作品データ - Film Data

  • 【キャスト(声の出演)】フレディ・ハイモア/クリステン・ベル/サミュエル・L・ジャクソン/ネイサン・レイン/ユージン・レビィ/ビル・ナイ/ドナルド・サザーランド/シャーリーズ・セロン/ニコラス・ケイジ
  • 【日本語吹き替え版キャスト(声の出演)】上戸彩/役所広司
  • 【監督】デビッド・バワーズ
  • 【原作】手塚治虫
  • 【脚本】ティモシー・ハリス/デビッド・バワーズ
  • 【製作】マリアン・ガーガー
  • 【製作総指揮】セシル・クレイマー/ケン・ツムラ/ポール・ワン/フランシス・カオ
  • 【音楽】ジョン・オットマン
  • 【配給】角川映画/角川エンタテインメント
  • 【原題】ASTRO BOY
  • 【字幕翻訳】林完治
  • 【吹替翻訳】高井清子
  • 【吹替監修】三間雅文
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2009年
  • 【製作国】アメリカ/香港
  • 【上映時間】95分

コメント (6)

ジェッターマルス!
懐かしいですね。
エンディングも味わいがあっていい曲でした。

◆ナドレックさん
コメントありがとうございます。
アトムの陰に隠れてなかなかお目にかかれませんが、マルスも忘れがたいアニメでした。
また遊びに来てくださいね。

「マルスの偽物」とは、なかなか大胆な・・・(笑)。
実は私も長い間同じ思いでいました。私も「国民」でないなーと思ってきました。でも、去年のDVD発売でなんだかそういった恨めしい?気持もずいぶん和らいできました。何より子供3人が夢中でマルスのDVDを見てくれたことが嬉しくて、「ああ、自分が子供の時に夢中だったマルスはやっぱり良い作品だったんだ」と思ったら一般の認知度が低かろうが、アトムのリメイクと言われようが気にならなくなりました。
今は、ちょこちょこ絵本や関連グッズを探して楽しんでいます。でも、マルスの新作(もしくは続編)は見てみたい気はしますね。

うわぁ、懐かしい。
オープニング曲のサビは心に焼き付いてました。
でも、改めて見ると、どっちかっていうとウランちゃんですね(^^

「ジェッターマルス」確かに懐かしいなあ、と思って動画見たら・・・
思いっきり「りんたろう」「マッドハウス」ってクレジットがw。
それに今や業界のドン丸山正雄さんがちゃんと現場でシリーズ構成してるし。

「よなよなペンギン」よりも「マルス」のリメイクの方がヒットするよなあ、なんて思うのは野暮なんでしょうね。それにリメイクするなら、やっぱり2015年だろうし。

仕事やらマイマイ新子防府旅行やらで立て込んでて、お返事遅くなってスミマセン。
このレビュー書いたときはあんまり反応無かったのに、ここに来て立て続けにコメントいただけて嬉しかったです。

◆マルスは小学3年生のころですね。さん
自分には子どもはいないですけど、今の子どもたちにも好評と聞くと、やっぱり嬉しい。
ジェッターマルスの新作観たいですねぇ。映画化されたら喜んで観に行くのに。

◆silver_copperさん
幼少期の原体験て強力ですよね。
飛行機と並んで飛ぶマルスの姿も、それが主題歌のバックだとは忘れていましたけど、印象に残っていました。

◆zapoさん
そう、自分もこの映像見つけてびっくりしました。
アニメにあんまり詳しくない自分でも知っている名前が出てきて、こういう人たちに支えられて今の日本のアニメ文化があるんだと思うと感慨深いです。

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