【映画評】よなよなペンギン (2009)
空を飛ぶことを夢見るペンギン好き少女ココが、闇の帝王ブッカ・ブーの恐怖にさらされたゴブリン村を助けるために大活躍するメルヘンチックな冒険ファンタジー。
おもちゃ箱をひっくり返したような愉しさに満ちたフル3D-CGアニメーション。
内容的には子ども向け絵本そのもの。しかし、日仏合作によるファンタジックで無国籍な世界観、独特の手触りを感じさせるCGアニメと、見所も多い。
演出は劇場版『銀河鉄道999』(1979年)、『幻魔大戦』(1983年)、『メトロポリス』(2001年)などで知られる大ベテラン・りんたろう監督。
今は天国に行ってしまったお父さん(声:高橋ジョージ)に買ってもらったペンギンのコートを着て、“夜な夜な”夜の散歩を楽しんでいるココ(声:森迫永依)は、空を飛ぶことを夢見る女の子。
ココはある晩、空から落ちてきた金色の羽を拾う。彼女はそれを、ほほの怪我を「ちちんぷいぷい」と不思議な力で治してくれた友だちのじい(声:柄本明)にプレゼントする。
そんなココは、ひょんなことからゴブリンの子どもチャリー(声:田中麗奈)によってゴブリン村に招待された。
ゴブリン村は今、村を支配しようとする闇の帝王ブッカ・ブー(声:田中裕二)の恐怖にさらされているのだ。
ココを村の危機を救う勇者“飛べない鳥”と思い込んで歓喜するゴブリンたちを前に戸惑うココ。そこに自称“ブッカ・ブーの家来No.1”のザミー(声:太田光)が現れて…。
映画のテーマからして「友だちを大切にしよう」って感じで、内容的には完全に子ども向け。それも小学校低学年以下向けの童話レベルなので、そういう映画を幼稚と切り捨てる向きにはまったくお薦めできない。
でも、子ども向け絵本をほのぼの楽しむことができる人なら、この映画もきっと気に入ると思う。
実際、筆者が観た映画館でも、夜の回だったので子どもがいない代わりに、意外なほどおじいさんや若いカップルが楽しんでいて、その多さにちょっと驚いたぐらい。
まずはアニメーションの技術面で、一見してそのCGの質感に驚かされる。
それはリアリティとも違う、温かみのある表現で、3D-CGアニメのあり方に一石を投じるものだと思う。
下世話な話だが、とても黒字が出ると思えない“製作費15億円”も、そういったところに手間暇掛けてのことなんだろう。
そう、実はこの映画、そのかわいらしい風貌とは裏腹に、子ども向けとしては破格の製作費をつぎ込んだ超大作なのだ。
和風な七福神や龍、洋風な悪魔や天使といった、まさにごちゃ混ぜのファンタジックな世界観が愉しい。
そんな世界観かつ子ども向けだから細かいご都合主義もありはするが、目くじらを立てるようなものでもなかろう。
それより、意外としっかり考えられているストーリーに好感をもった。金色の羽の伏線とか、子ども向けと侮っているとちょっと唸らされる。
堂々巡りの議論を繰り返す大人たちの姿がちょっと皮肉めいていたり、子どもの活躍に大人が余計なじゃまをしないスタンスもいい。
『マイマイ新子と千年の魔法』での平安時代のお姫様役が記憶に新しい森迫永依は、相変わらずの初々しい熱演でココを活き活きと演じた。
永依ちゃんに年相応の子どもらしさが滲み出ているので、一方のチャリーを演じた田中麗奈には、ちと分が悪い。比べるとどうしても端々に大人っぽさが感じられる。
大地の精霊パラケケを演じた藤村俊二も、どうしても“おヒョイさん”の顔がちらつくのだが、そこはベテランの巧さか、役にはしっかりなじんで違和感を感じない話術が白眉。
ちょっとびっくりしたのは謎を秘めた“じい”を演じた柄本明。少し声優的な滑舌とは違うので、本職の声優ではないだろうと感じていたが、エンドロールを見るまで柄本さんとはまったく気付かなかった。
「爆笑問題」太田光のザミーも声優っぽさとは違った味があって面白い。“威張りんぼ”なザミーの雰囲気がよく出てると思う。
はっきり言って声優としては巧いわけではない、双子のフェアリーを演じた「モーニング娘。」田中れいな&リンリンとかも、これはこれで適材適所な感じで、キャスティングの妙を実感できる絶妙な布陣だ。
正直なところ、編集を雑に感じることが何度かあったり、脚本的にもセリフに「子どもがこんな言葉使うか?」っていう詰めの甘さを感じることもあって、そこは子ども向けだからといって無視できない難点。
まあ、難解な単語については、観ている子どもたちがそこに興味を持ってくれれば知識向上に役立つかもしれない、と好意的に捉えられなくもないか。
本編とは直接関係ないが、劇場用パンフに「よなよなペンギンができるまで」と題した、アニメーション製作過程が子ども向けに解説(ふりがな付き)されていたのも、アニメーションに興味を持った子どもたちに目を向けたいい企画だと感心した。
この手の子ども向け作品のパンフでは、子ども向けにはキャラ紹介が中心で、技術解説があるとしても親御さん向けってことが多いと思うんだけど、この映画のパンフはすべて子どもたちへ向けて作られていて、もちろん、耳に残るエンディング曲「アミーゴペンギン」の歌詞も掲載されている。
ちなみに“アミーゴ(amigo)”はスペイン語で“友”の意味。
そんなわけで、大の大人たちが全力で作った愉しいお子様向け映画。ぜひ多感なちびっ子たちに観せてあげて欲しい。
作品データ - Film Data
- 【キャスト(声の出演)】森迫永依/田中麗奈/太田光(爆笑問題)/田中裕二(爆笑問題)/永井一郎/田中秀幸/皆口裕子/小山茉美/山口勝平/TARAKO/野沢那智/内海賢二/松本梨香/ダンディ坂野/ヒロシ/小島よしお/田中れいな(モーニング娘。)/リンリン(モーニング娘。)/くまいもとこ/桑島法子/朴路美/本多俊之(友情出演)/山寺宏一(友情出演)/宮澤正/葛城七穂/魚建/室園丈裕/橘U子/坂本くんぺい/高橋ジョージ/藤村俊二/柄本明
- 【監督】りんたろう
- 【製作】丸太順悟
- 【共同製作】DENIS FRIDMAN
- 【製作代表】CHANG LONG JONG/野田助嗣/落合正美/堀越徹/大島満
- 【プロデューサー】八巻磐/広川ひろし/伊藤龍太郎
- 【企画】丸山正雄
- 【キャラクター・デザイン】寺田克也
- 【原作】りんたろう/林すみこ
- 【脚本】金春智子
- 【音楽】本多俊之
- 【アニメーション・スーパーバイザー】前田庸生
- 【CGI・スーパーバイザー】篠崎亨
- 【アート・ディレクター】馬郡美保子
- 【エンディング曲】「アミーゴペンギン」 [作詞/作曲]堂島孝平 [演奏]東京レクリエーション部 [歌]ココ(森迫永依)とアミーゴペンギンズ
- 【制作】マッドハウス/DENIS FRIEDMAN PRODUCTIONS
- 【制作スタジオ】ダイナモピクチャーズ/def2shoot animation studio/Imagemax animation & design studio
- 【配給】松竹
- 【日本公開】2009年
- 【製作年】2009年
- 【製作国】日本/フランス
- 【上映時間】88分
- 【公式サイト】http://www.yonapen.jp/
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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
投稿情報: シネマDVD・映画情報館 by JIN | 2010年1 月 1日 (金曜日) 12:03
◆シネマDVD・映画情報館 by JINさん
明けましておめでとうございます。
こちらこそ本年もよろしくお願いします。
投稿情報: かみぃ | 2010年1 月 2日 (土曜日) 18:24