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2009年12 月13日 (日曜日)

【映画評】大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE (2009)

ウルトラマンの故郷“光の国”が悪のウルトラマン、ベリアルの反乱によって壊滅の危機に陥る劇場版ウルトラマン最新作。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2009/12/12)

 ウルトラマンの故郷M78星雲、光の国を舞台とし、100体もの怪獣を操る史上初の悪のウルトラマン・ウルトラマンベリアルが登場、さらに新ヒーロー・ウルトラマンゼロも誕生、と、話題に事欠かない今年の劇場版ウルトラマン。
 知る人ぞ知る日本の戦隊ものを現地の俳優を使ったドラマパートと組み合わせて再編集した海外ドラマ「パワーレンジャー」シリーズの坂本浩一が、日本の映画で初監督を務めた。

 惑星アルファまで怪獣ベムラーを追ってきたウルトラマンメビウスは激闘の末、ベムラーを倒す。
 一方その頃、宇宙の支配をもくろむザラブ星人が、光の国にある宇宙牢獄に投獄されていた最強最悪のウルトラマン、ベリアルを蘇らせる。が、その思惑とは裏腹にザラブ星人はベリアルによって倒されてしまう。
 ベリアル復活を察知した宇宙警備隊のウルトラ戦士たちはただちに駆けつけるが、百戦錬磨のウルトラ戦士をも凌駕するパワーを秘めたベリアルの前にもろくも敗れ去る。
 ベリアルはさらなる力を得るため、光の国のエネルギー源、プラズマスパークタワーを目指すのだった。
 今、光の国は、最悪の危機に直面していた…。

 今回の劇場版のベースとなっている番組、BSで放送されていた(今年、テレビ東京系でも放送されているらしい)という『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』についてはまったく知らなかったのだが、同じようなお父さん、お母さんも心配ご無用。導入部でその世界観が手際よく紹介され、話がわからなくて退屈するようなことはない。
 もとより光の国を中心とした昭和ウルトラマンと世界観が地続きである上、オープニングのベムラーを追うウルトラマンメビウスの描写も、いきなり赤い光と青い光の追撃戦で、初代「ウルトラマン」の第一話を彷彿とさせる。むろんこれは意図したオマージュだろう。

 さらに劇中で語られる光の国の誕生秘話にしても、かつて雑誌などで目にし、想像を膨らませたそれと寸分違わない。まさに代々語り継がれたウルトラ伝説が煌びやかな実写として眼前に広がるのだ。
 そういった子どもの頃の記憶をたどること自体が楽しくなる仕掛けがいっぱいで、その昔ウルトラマンごっこに熱中した大人たちも、子どもたちと一緒になって楽しめる作品となっている。

 お話もこの手のお子様御用達の映画にしてはなかなかよく考えられてあって、所詮お子様向けだからと幼稚なご都合主義でしらけるようなこともほとんどない。
 そういう観点では、ゲスト出演といえる、つるの剛士演じるアスカ・シンことウルトラマンダイナ参戦は少々強引とは思ったけれど、これはまあ、ちょい役で登場するウルトラマンコスモスのムサシ(杉浦太陽)ともども、平成ウルトラマン世代へのサービスと割り切って大目に見よう。

 一方、今回初登場の新ヒーロー・ウルトラマンゼロの秘密にはちょっとびっくりした。お父さん世代からすると、おやまあ、って感じだろう。
 そういえば今回初めて、“ウルトラの父”、“ウルトラの母”の名前もさりげなく明かされる。
 これがまた、ちょっとニンマリせずにおれない名前でして、さすがタロウの実の両親でありました。

 今回、お話がとりたてて破綻しなかったのは、あえてエピソードの枠を広げなかったお陰もあろう。
 今回はとにかくアクションなのだ。アクションに次ぐアクションで、対戦ものの醍醐味を存分に味わわせてくれる。
 ここ最近の作品での反省からだろう、ほぼ全編グリーンバック撮影のCG満載の作品でありながら、ウルトラマンや怪獣たちの死闘はあまりCGに頼らず、スーツアクターのぶつかり合いに徹したことがアクション映画本来の迫力を生んだ。
 そんなスーツアクターによる対戦にとどまらず、人間体のハヤタやダン、アスカやミライたちも体を張ったアクションを披露する。それもまた単調になりがちな怪獣アクション主体のこの作品の中でアクセントになっている。

 史上初の悪のウルトラマン・ベリアルの造型も素晴らしい。
 そのデザインはウルトラマンの潮流にありながら、疑うべくもない邪悪なものとしての説得力がある。
 さらに、クライマックスで登場するその最終形態も、制作陣の並々ならぬ意気込みを感じられる力作だ。
 ウルトラマンのデザインが日本の伝統的な観音菩薩像に端を発していると知っていると、そのラスボスが典型的に洋風な悪魔的デザインであることに、なにかしらの深読みもできるかもしれない。

 総じてまとまりのよい、親子で楽しめる迫力満点のアクション・スペクタクル大作となっているのに、ただひとつ難点を挙げると、ウルトラマンたちへのアテレコ。
 誰がとかは言わないが、これはもうフォローのしようがない素人芝居で、抑揚のない声でなにかしゃべられるたびに、いちいち現実に引き戻される。
 正直言ってセリフ無しでいい、アクションだけ観せてくれればいいから!とすら思ったほど。

 これは話題性優先の声優選びによる弊害であろうが、問題はそれだけじゃないと思う。
 坂本浩一監督のアクション演出には目を見張るものがあるが、スクリーンサイズで観るにはやりすぎなドアップの乱用など、基本的なドラマ演出に少々難があるのよ。
 勝手な想像だけど、声優陣にもそれにふさわしい演出が行き渡らなかったんじゃないかという気がしてならない。

 そんな中、今回の主役レイを演じた南翔太くんは、芝居の巧さが目を惹いた。
 周りの役者陣がふがいないというのもあるのだろうが、なんだかただひとり巧すぎて浮いている印象すらある。
 ひょっとしたら彼は将来、本格俳優として大化けするかもしれない。いや、ウルトラマンなんだから、化けるというより変身かな。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】南翔太/黒部進/森次晃嗣/小西博之/上良早紀/俊藤光利/八戸亮/杉浦太陽/古谷敏/内山まもる/岡村隆史/マシュウ サウス/マーク チネリー/ウィル ゲラック/スティーブ ライアン/エレミナ オクサナ/スベトラーナ/森結/竹中映月/竹中涼夏/つるの剛士/五十嵐隼士
  • 【スタント】大西雅樹/岩上弘数/猪又浩之/稲留正樹/杉口秀樹/川本耕史/富田稔/伊藤慎/山下純/こしげなみへい/大内貴仁/秋山智彦/矢島一憲/福智幸太/松上順也/三村幸司/帯金伸行/椰野素子/日野由佳/日野綾子/寺井大介/岩田栄慶/福田大助/岩崎晋弥/末永博志/森英二/福田憲文/福島龍成/梶川賢司/田之上生海/櫻井暦/小柳巧/宮田章弘/田盛辰実
  • 【キャスト(声の出演)】宮迫博之/宮野真守/蝶野正洋/長谷川理恵/団時朗/高峰圭二/石丸博也/山本修/田中秀幸/青野武/川下大洋/永倉大輔/真夏竜/松村幸洋/宮坂俊蔵/外村茉莉子/平尾陽子/井上雄之介/大坪孝充/中窪晋也/森田健一郎/佐々木華曜子/脇坂晴菜/西岡徳馬/小泉純一郎
  • 【ナレーション】矢島正明
  • 【監督】坂本浩一
  • 【プロデューサー】岡部淳也
  • 【製作】大岡新一/竹中一博/川城和実/鵜之澤伸/高田佳夫/三浦修平/黒川和彦/吉田博昭/太田豊紀/上木則安
  • 【脚本】岡部淳也/樫原辰郎 / 小林雄次
  • 【音楽】マイケル・バータ
  • 【制作プロデューサー】岡川晃基
  • 【撮影】古谷巧
  • 【照明】齋藤勝範
  • 【美術】大澤哲三
  • 【VE】相川和彦
  • 【編集】今井大介
  • 【録音】星一郎
  • 【アクション監督】野口彰宏
  • 【スタント協力】小池達朗/岡野弘之
  • 【監督補】日暮大幹
  • 【協力プロデューサー】渋谷浩康/小山信行
  • 【助監督】安原正恭/田中章一/稲川秀樹
  • 【製作担当】田島英憲
  • 【ビジュアルスーパーバイザー】岡部淳也
  • 【キャラクターデザイン】後藤正行/木谷太士朗
  • 【VFXプロデューサー】桑原崇
  • 【VFXチーフディレクター】子安肇
  • 【VFXアートディレクター】武富聖/本田孝幸
  • 【VFXテクニカルディレクター】圓道寺清光
  • 【造型プロデューサー】澗淵隆文
  • 【造型】品田冬樹 / 高橋勇也
  • 【主題歌】「星のように…」 [歌]MISIA [作詞]MISIA [作曲]Sinkiroh [編曲]重実徹
  • 【製作】「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」製作委員会(円谷プロダクション/バンダイ/バンダイビジュアル/バンダイナムコゲームス/電通/電通テック/小学館/ドワンゴ/ティー・ワイ・オー/ワーナー・ブラザース映画)
  • 【製作プロダクション】円谷プロダクション
  • 【配給】ワーナー・ブラザース映画
  • 【日本公開】2009年
  • 【製作年】2009年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】96分

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