【映画評】パブリック・エネミーズ (2009)
大恐慌時代のアメリカに名を轟かせた伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーの愛の行く末。
伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーの実話に基づいたラブストーリー。
歴史に名を残すアウトローを演じるのはジョニー・デップ。監督は、『ヒート』(1995年)、『コラテラル』(2004年)のマイケル・マン。
ジョニー・デップは格好いいが、捜査局との駆け引き、愛の末路、いずれも消化不良な印象で、どうにもノれない。
大恐慌時代のアメリカ。独自の美学で鮮やかに銀行のカネを奪っていくギャング、ジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)一味は、わが世の春を謳歌していた。
ある日、デリンジャーはシカゴのバーで、美女ビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)と出逢う。一目で気に入ったデリンジャーは、すぐさまビリーを口説きに掛かるが…。
男臭いギャング映画は嫌いじゃないんだが、どうもこの映画のデリンジャーは色男過ぎて、まるで話としての魅力が感じられなかった。
いや、ジョニー・デップの演じるデリンジャーはとっても格好いいの。相手役のビリーもお美しい。
ただ、美男美女のとんとん拍子のラブストーリーは正直退屈で。
クリスチャン・ベイル演じるデリンジャーを追う捜査局のメルヴァン・パーヴィス捜査官もデリンジャーに負けず劣らず格好いい。思うように捜査が進まない苛立ちに共感もする。
ただこれもまた、史実に忠実であろうとするせいなのか、捜査の展開がいまひとつ盛り上がらない。
追う者と追われる者の駆け引きに緊迫感が感じられず、捕まるときはあっさり捕まって、脱獄もこれまたあっさり。
その鮮やかさ、したたかさに格好良さを感じられなくもないが、これもとんとん拍子が過ぎる気がして、ダラダラ感の方が先に立つ。
どうにもノれなかった一因は、デリンジャー一味の面々が、あんまりキャラ立ちしていなかったってのもあると思う。
いつもデリンジャーと行動を共にしているわりに、雑多な人たちって感じで、それぞれが印象に残らない。
そんなだからデリンジャーのカリスマ性も際立ってこない。
個性的な面々の中にあってこそ、さらにその上を行く個性的キャラがカリスマとして引き立つんじゃないのかなぁ。
実在の人物ジョン・デリンジャーの末路は知らずに観たんだけれど、この手の映画としては、まあこういう行く末になるよなぁ、って予想したとおりの末路。
そこに映画らしいワンエピソードを加えた味わい深い終わり方は好き。
時代の流れの中でデリンジャーのやり方が時代遅れになっていく悲哀とか、部分的には面白く感じるところがなかったわけじゃないんだけれど、描こうとするどれもこれもが中途半端だったような。
“社会の敵ナンバーワン”とまで呼ばれたカリスマ・デリンジャーが、やがて居場所をなくしていったように、この映画の内容もすぐに忘れてしまいそうだ。
せめて心の片隅にでも残るように、最後に言おう、「バイバイ、パブリック・エネミーズ」。
作品データ - Film Data
- 【キャスト】ジョニー・デップ/クリスチャン・ベイル/マリオン・コティヤール/ビリー・クラダップ/スティーヴン・ドーフ/スティーヴン・ラング/ジェイソン・クラーク/ロリー・コクレイン/ジョン・オーティス/デヴィッド・ウェンハム/クリスチャン・ストルティ/チャニング・テイタム/ジョン・マイケル・ボルジャー/ブランカ・カティッチ/ジョヴァンニ・リビシ/ドメニク・ランバルドッツィ/ビル・キャンプ/スティーヴン・グレアム/スペンサー・ギャレット/ドン・フライ/マット・クレイヴン/リリー・テイラー/ピーター・ゲレッティ/リーリー・ソビエスキー
- 【監督】マイケル・マン
- 【脚本】ロナン・ベネット/マイケル・マン/アン・ビダーマン
- 【製作】ケヴィン・ミッシャー/マイケル・マン
- 【製作総指揮】G・マック・ブラウン
- 【原作】ブライアン・バロウ
- 【撮影監督】ダンテ・スピノッティ
- 【プロダクション・デザイン】ネイサン・クロウリー
- 【編集】ポール・ルベル/ジェフリー・フォード
- 【衣装】コリーン・アトウッド
- 【共同製作】ブライアン・H・キャロル/ガスマノ・セサレッティ/ケヴィン・デ・ラ・ノイ
- 【音楽】エリオット・ゴールデンサール
- 【製作】ユニバーサル映画
- 【配給】東宝東和
- 【原題】PUBLIC ENEMIES
- 【字幕翻訳】松浦美奈
- 【日本公開】2009年
- 【製作年】2009年
- 【製作国】アメリカ
- 【上映時間】141分
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