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2010年1 月17日 (日曜日)

【映画評】BANDAGE バンデイジ (2010)

バンドブームまっただ中の1990年代を舞台に、音楽を通じて心通わす淡い恋愛模様と青春の葛藤を爽やかに描き出した音楽青春映画。

【満足度:★★★☆】 (鑑賞日:2010/01/16)

 単なるアイドル映画だろうと地雷覚悟で観たんだが、これがなかなか侮れない心地いい快作だった。

 バンドブームさなかの1990年代初頭、普通の女子高生アサコ(北乃きい)は親友のハルミ(杏)からとあるロックバンドのCDを受け取る。それがアサコとロックバンドLANDS(ランズ)との出会いだった。
 高校を辞めたハルミからLANDSのライブに誘われたアサコは、ひょんなことから二人してバックステージに忍び込むことに。そこでLANDSのボーカル・ナツ(赤西仁)と知り合うが…。

 プロデューサーとしても独自のカラーを発揮した良作を連発する岩井俊二のもと、音楽プロデューサーとして知られる小林武史が本作で初監督を務める。

 お話としては、LANDSと関わることとなったアサコとLANDSのボーカル・ナツとのそこはかとない恋愛模様と、LANDSがミュージックシーンで一発当てるだけのなんてことない音楽青春映画なんだが、長回しを多用した緊張感ある若い俳優陣の駆け引きだけで最後まで乗り切ってしまった、好印象を残す青春映画の佳作。

 岩井俊二のカラーが滲み出た淡い映像美はそれだけでも観る者を心地いい世界に浸らせるが、初監督の小林武史の演出もなかなか侮れない。
 冒頭から手持ち撮影の長回しが多用され、ちょっとやり過ぎかなという気がしないでもなかったが、これが結果的に作品全体にほどよい緊張感をもたらした。
 ことクライマックスのKAT-TUN・赤西仁、北乃きいの掛け合いはちょっと唸らされた。

 青春モノはジャンルとしては好きなんだが、赤西仁が演じるナツのようなチャラチャラしたキャラクターは正直あまり好きではなかったりする。
 けど、この映画でのナツは不思議と好感が持てていた。それもクライマックスの掛け合いで納得。そこで納得できるってことは、そこまでの役作りが的を射ていたってことなんだろう。
 対する北乃きいも自然体の演技でありながら、微妙な機微を感じさせる好演。これもまたクライマックスでの本音の吐露に驚きつつも納得できる。
 いやはやこのクライマックスへ導いた絶妙な演出には参りました。

 ほかのバンドのメンバー(高良健吾、柴本幸、笠原秀幸、金子ノブアキ)やマネージャーを演じた伊藤歩もいい感じでキャラ立ちしてて魅力的。
 やっぱり青春映画は俳優陣の魅力が如実にものを言うジャンルだとあらためて思うのでした。

 音楽モノとしても、初監督ながら音楽のプロである小林武史監督のこだわりが至るところで感じられる。
 単なる音楽絡みの恋愛モノという企画なら、舞台は現代でも通用したんじゃないかという気がする内容だが、これはやっぱりバンドブームの90年代という背景があってこその映画になっている。
 それゆえか映画としてのテイストもドキュメンタリータッチに振られていて、そこにも監督の的確な意図が見える。

 熱いだけの青春映画ではなく、湿っぽいだけの恋愛映画でもない。
 王道のサクセスストーリーの中に軽妙なユーモアを交えながら、若さゆえの衝突や葛藤を露わにする。
 クライマックス以降少々くどい印象があるものの、音楽青春映画としてきっちりと締めた幕切れの後味はすこぶるよい。
 青春の一時代と、バンドブームの一時代、それぞれのAGEに懐かしさを感じた爽やかな感動作でした。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】赤西仁/北乃きい/高良健吾/柴本幸/笠原秀幸/金子ノブアキ/杏/伊藤歩/斉藤由貴/長谷川初範/近藤芳正/財津和夫
  • 【監督】小林武史
  • 【プロデュース】小林武史/岩井俊二
  • 【製作】堀越徹/阿佐美弘恭/小林武史/岩井俊二/藤島ジュリーK./平井文宏/島谷能成/村上博保
  • 【エグゼクティブプロデューサー】奥田誠治
  • 【Co.エグゼクティブプロデューサー】小野利恵子/菅沼直樹
  • 【プロデューサー】伊藤卓哉/植野浩之
  • 【Co.プロデューサー】石原真/陶山明美
  • 【アソシエイトプロデューサー】団野健/高橋信一
  • 【原作】「グッドドリームズ」菅知香
  • 【脚本】岩井俊二/菅知香
  • 【撮影監督】尾道幸治
  • 【撮影】角田真一
  • 【照明】藤井貴浩/山田好浩
  • 【美術スーパーバイザー】種田陽平
  • 【美術】愛甲悦子
  • 【編集】小林武史
  • 【録音】加来昭彦
  • 【音響効果】柴崎憲治
  • 【装飾】田口貴久
  • 【スタイリスト】上井大輔/三上由唯
  • 【衣装】篠塚奈美
  • 【ヘアメイク】高草木剛
  • 【助監督】芹澤康久
  • 【キャスティング】山口正志/安生泰子
  • 【リーガルアドバイザー】内藤篤
  • 【ラインプロデューサー】金子哲男
  • 【音楽プロデュース】小林武史
  • 【主題歌】「BANDAGE」LANDS [作詞/作曲/編曲]小林武史 [唄]赤西仁
  • 【企画】ロックウェルアイズ
  • 【制作】Keyworks
  • 【制作協力】パサラ・ピクチャーズ
  • 【配給】東宝
  • 【日本公開】2010年
  • 【製作年】2010年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】119分

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