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2010年2 月10日 (水曜日)

【コラム】『マイマイ新子と千年の魔法』見てくれと観てくれの話

 大阪・シネ・ヌーヴォでの『マイマイ新子と千年の魔法』上映、11日の祝日は12:20と20:20の一日2回上映ですからね!ただでさえレイトショーが苦戦してるっぽい上に、なぜかシネ・ヌーヴォのスケジュール表に昼の回が書かれてないから気づいてない人が多そうで非常に心配。
 そんで、13日の週末からは朝10:00からの上映に変わりますよ。このチャンスを逃したら、現時点で関西地区での上映はほかに予定がないの。ラストチャンス。

 で、13日からはいよいよ横浜ニューテアトルでの公開も始まります。こちらは16:30と18:30の一日2回。近隣の人には仕事帰りにも観やすいんじゃないかな。横浜地区の皆さん、ぜひこの機会に。

 この映画、有志によるチラシの一件で注目されたキービジュアルや予告編からイメージされるのと、実際に観たのとでは、かなり印象が違うように思うのですよ。
 自分は最初の映画評で『となりのトトロ』(1988年、監督:宮崎駿)を引き合いに出した。それは作品の時代背景や「子どもにだけ見えている世界」の世界観とともに、初見時の動揺がトトロのそれとダブったから。

 『となりのトトロ』公開当時18歳だった自分は、初めて観たとき、オープニング曲「さんぽ」で始まったノリがまさに子ども向けの名作劇場な感じで、「こりゃ、失敗したかも」と思ったことが忘れられない。それが今や生涯ベストテン入りさせるほど大好きな一本となっている。
 『マイマイ新子と千年の魔法』にいたっては、もう観る前からチラシで子ども向け名作劇場そのものと思い込んでしまった。そんな映画だと高をくくりながらも運良く観たお陰で、今や生涯ベスト3入りさせるほど溺愛ぶりなのは見ての通り。そりゃあ、「あのチラシじゃダメだ」っていう人も現れるわけです。

 この映画の良さを説明するのが難しいのは宣伝にも現れていて、どれをとっても、これこそが的を射てるってものがない。いや、それぞれに確かに間違いじゃないんだけれど。新子と貴伊子がハンモックに乗った仲睦まじいキービジュアルのポスターやチラシにしたって、観る前とは違う意味で、まさにあれなんですよ。
 ただ、あれが映画の内容を言い得ているかと問われると、あれはこの映画の一面でしかない。キービジュアルから漂う名作劇場っぽさも、とりあえず頭から取っぱらって観た方がいい。

 『となりのトトロ』といろんな意味でダブりはするが、トトロを期待してこの映画を観るときっと裏切られる。いい意味でユートピアなトトロと比べると、この映画はかなり辛辣。そこがまた批評家筋からあまり良い評価を貰えない理由にもなっているんじゃないかと思う。
 簡単に言うと、こういう大人の世界の“毒”も持ち合わせたリアルなアニメは「子どもに観せたくない」という声もあるだろうから。
 本当は、ここで描かれているような“毒”は、子どもの視点から見たら“大人の不思議”でしかないという、片渕監督の主張でもあるのだが、まあ、眉をひそめる人もいるだろう。そこが“子ども向け名作劇場”然とした映画としては、欠点となりうる。
 だからとりあえずここでは、“子どもの頃の視点で描かれた、大人が観るべき名作劇場”だと言っておく。

 そんなとりとめもない本作を的確に表現することは極めて難しいと自覚した上で、それでも多くの“映画ファン”に観て欲しいという気持ちを代弁するため、過去にこの『未完の映画評』で取り上げた映画の中から、こんな映画が好きなら『マイマイ新子と千年の魔法』を気に入るんじゃないかって作品を列記してみる。
 “まさにコレ”っていうのはないのだけれど、何らかの形で、心に引っかかるんじゃないかって10作品です。

 『女の子ものがたり』(2009年、監督:森岡利行)
 『いけちゃんとぼく』(2009年、監督:大岡俊彦)
 『ビッグ・フィッシュ』(2003年、監督:ティム・バートン)
 『下妻物語』(2004年、監督:中島哲也)
 『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年、監督:山崎貴)
 『おっぱいバレー』(2008年、監督:羽住英一郎)
 『天国の本屋~恋火』(2004年、監督:篠原哲雄)
 『崖の上のポニョ』(2008年、監督:宮崎駿)
 『河童のクゥと夏休み』(2007年、監督:原恵一)
 『サマーウォーズ』(2009年、監督:細田守)

 別に意識したわけじゃないんだけれど、『ビッグ・フィッシュ』を除いてほかはすべて日本映画になっちゃった。
 なんか、「ぜんぜん似てないじゃん」って突っ込まれそうな強引なラインナップ(汗;
 これまさに、騙されたと思って観てくれ、ってこと。(なのか!?)

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コメント (11)

アリーテ姫やミツバチのささやきが無い〜

◆pさん
すみません。『アリーテ姫』も『ミツバチのささやき』もうちで取り上げていない上に、未見なのです。
『アリーテ姫』はTSUTAYAで探したけどレンタルしてないそうで。まあそのうちポチります。

未見の人への“とっかかり”として挙げているので、内容的にまるで似ていないのは大目に見ていただいて、
ノスタルジー系では『フラガール』 http://cinema.filmcrew.jp/2008/01/post-8333.html を入れ忘れました。
子どもの空想系では『あの、夏の日~とんでろ じいちゃん』 http://cinema.filmcrew.jp/1999/07/post-7a26.html も入れていいかも。

自分が未見の映画としては、『おもひでぽろぽろ』や『アメリ』なんかも引き合いに出す人がいらした。
映画じゃないけど、『アルプスの少女ハイジ』や『赤毛のアン』、『ちびまる子ちゃん』も挙げといた方がいいな。
大阪人にアピールするなら『じゃりン子チエ』も少々強引なのは承知の上で挙げとくか。

ほかにもあったら教えていただきたいです。

『スタンド・バイ・ミー』もでしょうか。

あちらは過ぎし日への郷愁がメインだったような気がするので少し違いますけど。

アニメファンですら忘れ去られてるようなTVシリーズで恐縮ですが
『ちっちゃな雪使いシュガー』『ぺとぺとさん』『びんちょうタン』
あたりが好きな方は絶対気に入ると思います。
・・・て、マイナーな作品挙げてたら誘導になりませんね、すいません。

◆silver_copperさん
『スタンド・バイ・ミー』は確かに郷愁メインですね。
でも“あの頃”を思い出すという意味では『マイマイ新子と千年の魔法』に通ずるものがありますよね。

◆zapoさん
わ、三つともまったくわかんない(汗;
軽くググりましたが、かわいらしいキャラが通ずるということでしょうか。
気にとめてくださる方がいるといいのですが。

あぁ、アリーテ未見でしたか。ご覧になったら、またマイマイ新子でも新しい発見をすると思いますよ。「あのマイマイ新子の片渕」の前は「あのアリーテ姫の片渕」でしたからね。

何気に漫画には相当数、似たタイプの作品があると思うのですが(特に少女漫画〜成年女性向け漫画や、女性作家の青年漫画)、
zapoさんの挙げられている3アニメ以上にドマイナーでしょうし、参考になりそうもないですな。

◆pさん
『アリーテ姫』はタイトルくらいは以前から知っていたのですが、アニメ映画を比較的よく観るようになったのは細田守版『時をかける少女』以降 http://cinema.filmcrew.jp/cat4954968/ なので、公開当時まったくのノーマークでした。
いまやってるドラマの仕事が終わったらポチろうかなぁと思ってます。。。

マイマイファンの交流の場として掲示板を立ち上げましたのでお知らせしておきます。

http://bbs4.sekkaku.net/bbs/sugari.html

んー、映画だったら『2001年宇宙の旅』とかはどうでしょう。
見てくれはかなり違いますが、初見で受ける印象には近いものがある気が。

◆すがりさん
『2001年宇宙の旅』まで広げるなら『アバター』 http://cinema.filmcrew.jp/2009/12/%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC.html も入れたくなっちゃいますね。

拙サイト参考:【コラム】『マイマイ新子と千年の魔法』が捉えた世界のカタチ~アバターは青い金魚の夢を見るか?
http://cinema.filmcrew.jp/2010/01/maimai_shinko_avatar.html

掲示板は、まとめページの「交流掲示板・コミュニティ」の項目からリンクさせていただきました。
http://cinema.filmcrew.jp/maimai_shinko.html

かみぃさん、はじめまして。

自分もあのキービジュアルと作品タイトルを見たとき、「ああ片渕監督またこんな売れなそうな作品を…」と思ったので、作品のすばらしさと相まってキービジュアルには正直疑問を感じております。

とはいえ、「言葉で語ることが難しい作品」である以上に「一枚の絵で表現できる作品」でないことも確かだと思い、広告の難しさを実感させられます。映像でしか表現できない高みに達してしまった故の受難なのかもしれません。

それから、すがりさんの「2001年」、自分も同感なのです。特に初見の最後の30分、え、どうしちゃったのと思いつつエンディングになってしまったときの呆然とした気持ちは、大変似ておりました。(笑)

◆ぽぷらさん
はじめまして。
自分はチラシから感じたイメージとのギャップも含めてこの映画に大満足だったので、あのキービジュアルも好きなんですよねぇ。
そんな意外性も映画の愉しみ方のひとつだから。

何も知らずに観た初見の『2001年宇宙の旅』にもそんな意外性を感じましたし。
宣伝てホント難しいなって思います。

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