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2010年4 月10日 (土曜日)

【映画評】プリンセスと魔法のキス (2009)

魔法でカエルの姿にさせられた王子様にプリンセスがキスをすると奇跡が起きるディズニーお得意のプリンセス・ミュージカル。

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2010/03/18)

 ディズニー王道のプリンセスものミュージカル・アニメーション。
 初の黒人プリンセスや伝統を重んじた手描きアニメが話題だが、お話も申し分なし。さすがディズニー!
 字幕版での鑑賞です。

 アメリカ南部・ニューオリンズに住む幼いティアナとシャーロット。
 裕福なうちのシャーロットは、いつかおとぎ話『カエルの王子』のように、カエルの王子様とキスをして結婚することを夢見ていた。
 一方、貧しい家庭に育つティアナはカエルにキスするなんて気持ち悪くてあり得ないと思っている。
 努力家で優しいお父さんから夢を目指して努力することを教えられて育ったティアナは、そのお父さんが亡くなってからも、彼が夢見たレストランを持つことを自分も夢見て掛け持ちの仕事でお金を貯めていたが…。

 ほとんど予備知識無しに観たら、話の展開にびっくらこいた。まんまと“プリンセスとカエルの王子”のポスターに騙されました。
 あのポスターからてっきり『美女と野獣』(1991年、ゲーリー・トゥルースデイル&カーク・ワイズ)の延長線上の、魔法で醜いカエルにされてしまった王子様を女の子が救うっていうお話かと思ってたんですよ。いや、大筋では間違いではないんだが。
 ちゃんと予告編を見直したらその辺も明かされていたのでネタバレってことにはならないんだろうから書いちゃうけど、今作はプリンセスとなるべきティアナもカエルにされてしまって、カエルの王子様と時にケンカしながら、時に協力しながら人間に戻ろうとする珍道中ものだったのよ。
 初の黒人プリンセスっていう触れ込みだったけど、ほんとは初のカエルプリンセスと言った方がふさわしいんじゃないかってぐらい映画の大半はカエルの姿。なんか、子どもの頃にたくさん観た動物が主人公のテレビアニメを思い出したですよ。

 そんな驚きもありつつ、映画はめっちゃ愉しめた。実はカエルの王子様が登場するまでがかなりイライラさせられたんだけど。
 その原因は、最初はティアナも王子様も、ちょっと人間的に欠陥があるキャラクター設定になっていたせい。
 道楽息子の王子様はもちろん、努力家のティアナも少々それが行き過ぎてて、周りから冷ややかに見られてる。揶揄する周りの連中がこれまた露骨なんだよ。
 やがてはそれらがひっくり返る映画的な前準備なのは予想がつくんだけど、ほんわかディズニーを期待して観始めた身にこれは毒がキツイ。

 でもま、カエルの王子が登場するといよいよ本編が始まって、舞台がニューオリンズならではの、ノリのいいジャズやブルース調の音楽に乗せたミュージカルに時間が経つのも忘れさせてくれる。

 カエルの姿をしたティアナと王子様の冒険に途中から合流するワニのルイスやホタルのレイがこれまたいいんだ。
 ジャズ・ミュージシャンを夢見るルイスがミュージカル面では盛り上げてくれてたんだけど、レイ!最後はこの老いぼれホタルがかっさらった。
 クライマックス、なんともディズニーらしくないオチだなぁと思ってたら、最後の最後でレイが、レイが(号泣)こんな大感動の奇跡を見せてくれるとは。こんな奇跡を起こせるのはやっぱりディズニーだけだわ。
 伏線の張り方とその意外な落としどころ、お見事です。
 肝心のティアナと王子様の落としどころも見事なんだけど、レイのそれがあまりに鮮烈で、なんだかその余韻という感じ。

 結末もプリンセスものとしては妙に現実的で地に足の着いたところがいかにも現代のディズニーという印象なんだけど、それはそれでまた微笑ましく、いい気持ちで劇場を出ることができたのでした。
 めでたしめでたし。

作品データ - Film Data

  • 【キャスト(声の出演)】アニカ・ノニ・ローズ/ブルーノ・カンポス/キース・デイヴィッド/ジェニファー・ルイス/ジョン・グッドマン/ジム・カミングス/マイケル=レオン・ウーリー/テレンス・ハワード/オプラ・ウィンフリー/ジェニファー・コーディ/ピーター・バートレット
  • 【監督】ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ
  • 【プロデューサー】ピーター・デル・ヴェッコ
  • 【製作総指揮】ジョン・ラセター
  • 【原案】ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ/グレッグ・アーブ/ジェイソン・オレムランド
  • 【脚本】ロブ・エドワーズ/ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ
  • 【ストーリー・スーパーバイザー】ドン・ホール
  • 【プロダクション・デザイン】ジェームズ・アーロン・フィンチ
  • 【美術監督】イアン・グッディング
  • 【音楽】ランディ・ニューマン
  • 【エンディングテーマ】「Never Knew I Needed」ニーヨ
  • 【提供】ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
  • 【配給】ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャパン
  • 【原題】The Princess and the Frog
  • 【字幕翻訳】稲田嵯裕里
  • 【日本公開】2010年
  • 【製作年】2009年
  • 【製作国】アメリカ
  • 【上映時間】97分

コメント (4)

初めまして。
夜半に書き込み失礼します。


私もこの映画を観てレイに持っていかれました。
ロマンチストなホタルでした…

最後はきっちり話を締めてくれたのも良かったです。


◆天野風架さん
コメントありがとう。
レイ、ほんとよかったです。
天野風架さんの感想も読ませていただいたんですが、シャーロットもいい味出して、かわいらしかったですよね。
またいらしてください。

古き良きディズニー映画の構図をきちん踏襲しつつ、きわめて21世紀的な主人公による、「シンデレラストーリー」でないプリンセスを描いていて素晴らしかったです。
だって夢は自分で努力して叶えるもので、王子様と結婚して幸せにしてもらおうだなんてこれっぽっちも思ってないんだもの。バリキャリですよ、彼女。アリエルもベルもジャスミンもすごかったけど、ティアナは頭ひとつ抜けてますね。出てくる動物も小鳥やリスやウサギじゃなく、カエルにワニに昆虫にヘビだし!

そんなわけでここんとこ毎日サントラを聞きまくっています。

◆ちえきちさん
お話はまさにおとぎ話なんだけど、極めて現代的でしたよね。
そうやって時流にうまく合わせてくるところもディズニーが廃れない良さなんでしょうね。
気持ちよく観られる良作でした。

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