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2010年4 月 9日 (金曜日)

【コラム】『マイマイ新子と千年の魔法』友だちになろうや~気づきの連鎖

 先週のことですが、渋谷シネマ・アンジェリカでの『マイマイ新子と千年の魔法』の上映最終日、片渕須直監督の舞台挨拶を聞いてきました。

 まずはちょうど開催されていた台湾国際児童フィルム祭で好評だったとの報告。この先、モロッコ、オーストラリアの映画祭でも上映されるので、四大陸の映画祭制覇(!)とのことです。残すは南米のみ(笑)。
 ラストシーンの桜並木に影響を与えた原作・高樹のぶ子さんの芥川賞受賞作『光抱く友よ』に触れ、また、シアターシエマでの舞台挨拶のために佐賀を訪れたお話があり、監督が子どもの頃にも訪れたことのある佐賀での体験が『マイマイ新子と千年の魔法』につながっているのではないかとのことでした。

 それで舞台挨拶のあと、なんとなく流れで、居合わせたファンやちょっとした関係者の方たちとオフ会のようになった。
 こちらでもいろいろ興味深い話を聞けて楽しかったよ。
 『マイマイ新子と千年の魔法』がなかったら出逢うこともなかったであろう人の輪だよなぁ。

 そこである方から、うちの「まとめページ」や「報道スクラップブック」が役立ってると聞いて、ちょっと嬉しかった。
 正直「報道スクラップブック」はあんまり見ている人いないだろうと思っていたので意外でした。自分ですらそう思っていたのが注目されてると気づかされると嬉しいもんです。

 映画『マイマイ新子と千年の魔法』の中では、子どもたちをつなぐ“気づき”が丁寧に描かれています。

 まずは新子が転校生の貴伊子に注目するのが物語の発端となって、貴伊子の友だちがいっぱいになっていく。
 かたや平安時代のお姫様・諾子は子分たちを引き連れて一方的に千古の家に押しかけているかのように見えるけれど、こちらも友だちの輪が広がっていく過程がさりげなく描かれているのよね。

 諾子の子分・四郎(「小さ君」としゃべる子、声:海鋒拓也)や七郎(おっとりした顔の無口な子)たちは、ただ家来だから諾子に仕えているわけじゃない。
 最初はもちろんそうだったろうけど、四郎たちがひとりで双六遊びしている諾子に“気づく”カットが挿入されている。
 その後に四郎たちは諾子と一緒に卯の花の山に向かってるの。

 きっとこの頃の四郎たちは、家来としてではなく、友だちとして諾子と関わっているんじゃないかと思うのよね。
 だからこそ、クライマックスでは多々良権周防介らの目を盗んで諾子と一緒に屋敷を抜け出す。
 「お姫様、ひとりでなにやってんだろう?」っていう気づきがあってこその身分の壁を越えての歩み寄り。

 街のみんなが歓喜する卯の花の牛車を気にもとめない千古に気づいた諾子は彼女の表情に哀しくなる。「どうしてそんな顔をしているの?」と。

 ずっと諾子に無関心な千古だったけど、四郎が築地(ついじ)の上土(あげつち)に花の種を蒔くとやっと興味を示す。
 きっと「こんなことをするお姫様はどんな人なんだろう?」って壁を隔てて思っていたはず。その壁の向こうの諾子も、気持ちは壁の外の千古に向かっていることがその視線から明らか。
 そんなささやかな相思相愛が「あしたも遊ぼう」と言い合えるきっかけになっているんだ。

 こういう細かい演出のつながりは一度観ただけだとなかなか気づきにくい。だから二度、三度観て初めてこの映画の味わいに気づく人がいるんだよね。

 そんなわけでまだの方はもちろん、一度観ましたって人も、ぜひ何度も観ていろんな発見をして欲しいと思うのです。

 今日まで北海道北見・シアターボイスの上映後、明日4月10日(土)から北海道札幌・シアターキノで一週間上映されます。
 そして来週4月17日(土)からは東京に戻って、吉祥寺バウスシアターでの上映が始まりますよ。
 その後も、浜松、新潟、埼玉での上映が予定されています。(詳しくは上映館リストで)

 ぜひお見逃しなく。

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