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2010年5 月21日 (金曜日)

【映画評】書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園- (2010)

書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-
(C) NTV/ワナー・ブラザース映画

町おこしのために書道部の女子高生たちが「書道パフォーマンス甲子園」を開催する感動的な青春ストーリー。

【満足度:★★★★☆】 (鑑賞日:2010/05/20)

 演技派若手女優・成海璃子主演で描かれる、町おこしのために「書道パフォーマンス甲子園」を開催した書道部の女子高生たちの青春ストーリー。
 監督はこれも号泣映画だった『マリと子犬の物語』(2007年)の猪股隆一。
 まずは一言、感動したっ!

 書道家を父に持つ早川里子(成海璃子)は四国中央高校書道部の部長。
 副部長の篠森香奈(桜庭ななみ)が引き留めるのにも関わらず、またひとり書道部から部員が辞めていったが、「書道は己と向き合うもの」と信じて違わない里子は気にとめない。
 里子らの住む愛媛県四国中央市は紙の生産高日本一を誇る“紙の町”だが、不況の時勢もあって商店街は閑散としていた。
 そんな折、産休教師の代理臨時教員として池澤(金子ノブアキ)が赴任してきて、書道部の顧問となるのだが…。

 題材となっている「書道パフォーマンス甲子園」はまったく知らなかった。
 宣伝では実話の完全映画化と謳っているが、主人公の里子からして映画オリジナルキャラだというし、そこは気にしない方がよかろう。
 巨大な紙に思い思いの音楽に乗せて書道をするパフォーマンス。この映画はそんな“書道パフォーマンス”で町おこしに挑んだ女子高生たちの、文化会系青春映画だ。

 書道という題材は目新しいが、お話の大枠はベタなアイドル青春映画と言っていい。
 産休教師の代理で来た顧問とか、家庭の事情で部活がおろそかになった幽霊部員とか、厳格な父親との確執とか、ほんともう、どっかで見たことあるようなエピソードで先が読める。
 それに、王道とはいえ紋切り型すぎて甚だ魅力に乏しい里子の父親とか、取って付けたようでまるで活きていない里子の幼なじみとか、欠点も少なくなく、減点法で評価すると平凡な青春映画になってしまう。

 でも、好きなのよ。大好き。ベタを許せる青春映画好きなら絶対観て損はしない。
 瑞々しい若手女優たちの好演(顧問役の金子ノブアキもイイ)に微笑まされ、ほとんどの店が閉店したシャッター商店街に寂しさを覚え、瀬戸内海を臨む田舎の風景に癒される。
 そしてそれにも増して、クライマックスの書道パフォーマンスの圧倒的な力強さに拍手喝采。

 ベタな動物ものだった『マリと子犬の物語』も好きな筆者は、猪股監督の堅実な演出と馬が合うらしい。
 細かいアラなんかなんのその、丁寧に切り取られた日常描写が染みてくる。そしてここぞというところは徹底的に盛り上がる。
 書道パフォーマンスでのダイナミックな演出を見せつけられると、これを地味な題材だなんてとても言えない。お見事。

 アラが目に付くとはいえ、書道がきっちり、一応町おこしも機能した脚本も誉めたい。ありがちな青春映画だからこそ、押さえるべきツボは外さない。
 この映画は単なる書道ではなく“書道パフォーマンス”の映画だった。それを知らしめるクライマックス。「そうきたか!」と気づいたときには、まんまとしてやられてました。
 決して突拍子もないどんでん返しじゃない。そんな展開だってありがち。なのに号泣ですよ。

 紆余曲折を経て、苦労を分かち合ったみんなで書き上げた“書”。
 付け加えると、それは吹き替え無しで、役者たち自身がみんなで書ききったもの。
 それを成し遂げた彼女たちの満足げな表情は芝居ではないだろう。

 エンドロールに撮影風景も含まれるスナップ写真が流れるのですが、その中の一枚、成海璃子の競技時の和装姿を背後から写した写真。これがすごく印象に残った。
 背中にまで飛び散った墨汁。
 実際にその様を見なければ、どうしてこんなところに墨が付くか想像できないだろう。
 もしNGが出れば、書きかけの巨大な和紙はもちろん、衣裳からメイク、舞台、すべて一からやり直し。
 そんな緊張感の中でのパフォーマンスの撮影。
 それを成し遂げた彼女たちの満足げな表情は。

 最後にもう一度。
 感動したっ!

予告編 - Trailer

書道ガールズ!!-わたしたちの甲子園-

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】成海璃子/山下リオ/桜庭ななみ/高畑充希/小島藤子/森崎ウィン/森岡龍/坂口涼太郎/市川知宏/朝加真由美/おかやまはじめ/金山一彦/山田明郷/宮崎美子/森本レオ/織本順吉/金子ノブアキ
  • 【監督】猪股隆一
  • 【製作指揮】宮崎洋/城朋子
  • 【製作】大山昌作
  • 【エグゼクティブプロデューサー】奥田誠治
  • 【Co.エグゼクティブプロデューサー】萱沼直樹/西山美樹子/千葉知紀/神蔵亮
  • 【企画】ズームイン!!SUPER
  • 【プロデューサー】藤村直人/坂下哲也
  • 【協力プロデューサー】笠原陽介
  • 【脚本】永田優子
  • 【音楽】岩代太郎
  • 【撮影】市川正明
  • 【照明】大内一斎
  • 【録音】井家眞紀夫
  • 【美術プロデューサー】北島和久
  • 【美術】高野雅裕
  • 【装飾】山田好男
  • 【編集】松竹利郎
  • 【記録】舘野弘子
  • 【VFXスーパーバイザー】西村了
  • 【スケジュール】足立内仁章
  • 【助監督】田部井稔
  • 【製作担当】田中盛広
  • 【題字/書道監修】石飛博光
  • 【主題歌】「大切」FUNKY MONKEY BABYS [作詞/作曲]FUNKY MONKEY BABYS/川村結花 [編曲]NAOKI・T
  • 【劇中歌】「手紙~拝啓 十五才の君へ~」 [作詞]アンジェラ・アキ [作曲]アンジェラ・アキ [歌唱]アンジェラ・アキ
  • 【配給】ワナー・ブラザース映画
  • 【制作プロダクション】日テレ アックスオン
  • 【企画/製作】日本テレビ放送網
  • 【日本公開】2010年
  • 【製作年】2010年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】120分

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