« 【映画評】踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ! | メイン | 【映画評】孤高のメス »

2010年7 月10日 (土曜日)

【映画評】アデル/ファラオと復活の秘薬 (2010)

可憐で男勝りなアデルが愛する妹のために奔走する、アドベンチャー大作っぽいフレンチ・ファンタジー・コメディ。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2010/07/08)

 お話はハチャメチャだけど、主人公アデルがめっちゃ魅力的。
 監督は『ニキータ』(1990年)、『レオン』(1994年)などで知られるフランスの名匠リュック・ベッソン。
 原作はフランスの漫画だそうです。

 時は1911年。パリ。
 突如、国立自然博物館に展示されていたジュラ紀の卵の化石から、翼竜プテロダクティルスが孵化。パリの空に飛び立っていく。
 一方、エジプトの王家の谷では、ジャーナリストのアデル・ブラン=セック(ルイーズ・ブルゴワン)が、マッドサイエンティストのデュールヴー(マチュー・アマルリック)の妨害に遭いながらも、ラムセス2世に仕えた医師のミイラを発見。これをパリに持ち帰る。
 アデルは不慮の事故で昏睡状態に陥った双子の妹アガット(ロール・ド・クレルモン)を救うため、エジプト王家に伝わる“復活の秘薬”を手に入れようとしていたのだが…。

 予告編を見る限りでは女性版インディー・ジョーンズを思わせる本作だが、本編を観るとかなり趣が違う。
 舞台もほとんどがパリ市内でこぢんまりまとまってて、アドベンチャー巨編を臭わせるエジプトなんて、実際は最初のちょっとしか出てませんもの。
 どちらかというとアクション・アドベンチャーというより、おバカなオカルト・ギャグ映画、もとい、小粋なフレンチ・ファンタジー・コメディなのよ。

 ストーリーも破天荒を通り越して支離滅裂。なんとなく話が進むドタバタ劇にごまかされてしまうのだけど、よくよく考えたらわからないことも多い。
 アデル自身の設定からして、物書きらしいことはわかったんだけど、ジャーナリストらしさはまるで見あたらない。
 冒頭でアデルの邪魔をしていた男がマッドサイエンティストだなんて、パンフレットを読んで初めて気づいたぐらい。そもそも因縁があるっぽいのに、ほとんど出番がない。終わってみたら、「なんだったんだあの男?」状態。

 そんな行き当たりばったりな展開ばかりのゆるいお話なんだけど、でもこれが案外楽しめた。
 なぜなら主人公のアデルがやけに魅力的なのよ。演じるルイーズ・ブルゴワンは美人だし、男勝りなんだけど華があって好き。
 この一点突破で他愛もないおバカ映画は記憶に残るスーパー・ヒロイン映画になった。
 ルイーズ・ブルゴワンの熱演ぶりに、こちらも世紀の怪作『僕の彼女はサイボーグ』(2008年、監督:クァク・ジェヨン)の綾瀬はるかを思い出しました。

 とにかく妹を救うことだけを行動原理に一直線に突っ走るアデルが無鉄砲ながらも、ほんと凛々しくて素敵。
 そのキャラクターにブレがないから、どんなにバカバカしくて脱線だらけのお話でも、なんだか好感が持てる。
 コントにしか見えない七変化の変装をしちゃったりしてんだけど、そんな姿も妙に健気で笑みがこぼれてしまう。
 おまけにそこまでする必要もないだろうと思えるシーンで、おっぱいポロリのサービスカット付き。その真面目に取り組む大胆さに益々好感度アップ。
 いや、別にイヤらしい意味じゃないですから。日本の予告編ではご丁寧にカットされているけど、本国フランスの予告編ではチラッと映ってるし。フランスじゃこの程度の露出は普通なのかね。

 きっと批評家筋からは評価低いだろうけど、好きだよ、こういう吹っ切れた映画。
 ぜひ続編を作って欲しいなぁ。
 最後は“映画界で世界一有名な船”に乗った皮肉っぽいオチだったけど、アデルならきっと、でしょ。

参考映像:フランスの予告編 - Reference Video

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】ルイーズ・ブルゴワン/マチュー・アマルリック/ジル・ルルーシュ/ジャン=ポール・ルーヴ/フィリップ・ナオン/ニコラ・ジロー/ジャッキー・ネルセシアン/ムーサ・マースクリ/ロール・ド・クレルモン
  • 【監督/脚本】リュック・ベッソン
  • 【製作】ヴィルジニ・ベッソン=シラ
  • 【原作】タルディ
  • 【音楽】エリック・セラ
  • 【撮影】ティエリー・アルボガスト
  • 【衣装】オリヴィエ・ベリオ
  • 【美術】ユーグ・ティサンディエ
  • 【3D特殊効果】BUF
  • 【特殊メイク】ジャン=クリストフ・スパダッチーニ
  • 【チーフ助監督】ステファン・グリュック
  • 【プロダクション・マネージャー】ティエリー・ギルマール
  • 【編集】ジュリアン・レー
  • 【キャスティング】スワン・パム
  • 【音響】ケン・ヤスモト/セリム・アザジ/フランソワ=ジョセフ・オール
  • 【輸入元】ヨーロッパ・コープ ジャパン
  • 【配給】アスミック・エース
  • 【原題】LES AVENTURES EXTRAORDINAIRES D'ADELE BLANC-SEC
  • 【字幕翻訳】松浦美奈
  • 【日本公開】2010年
  • 【製作年】2010年
  • 【製作国】フランス
  • 【上映時間】107分

コメント (0)

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック (14)

この記事のトラックバックURL: ※承認制
http://www.typepad.com/services/trackback/6a0128762d7a9d970c0133f22e42c8970b

この記事へのトラックバック一覧: 【映画評】アデル/ファラオと復活の秘薬:

» 『アデル/ファラオと復活の秘薬』 (『映画な日々』 cinema-days)
アデル/ファラオと復活の秘薬 事故で病床にある妹の為、 古代エジプトの待医を探す女性ジャーナリスト 【個人評価:★☆ (1.5P)】 (自宅鑑賞) 原題:Les aventures extraordinaires d'Adle Blanc-Sec... [続きを読む]

» アデル/ファラオと復活の秘薬 (Les aventures extraordinaires d'Adèle Blanc-Sec) (Subterranean サブタレイニアン)
監督 リュック・ベッソン 主演 ルイーズ・ブルゴワン 2010年 フランス映画 107分 アドベンチャー 採点★★ 小学生の頃、マンガ好きの後藤くんの影響で、「ちょっくら自分でも描いてみるか!」と無謀にもマンガ作りに挑戦してみた私。しかしながら、残念な絵心の持…... [続きを読む]

» アデル ファラオと復活の秘薬 (RISING STEEL)
アデル ファラオと復活の秘薬 LES AVENTURES EXTRAORDINAIRES D'ADELE BLANC-SEC 2010年 フランス映画 ヨーロッパ・コープ製作 監督・脚本:リュック・ベッソン 製作:ヴィルジニー・ベッソ...... [続きを読む]

» アデル ファラオと復活の秘薬 (RISING STEEL)
アデル ファラオと復活の秘薬 LES AVENTURES EXTRAORDINAIRES D'ADELE BLANC-SEC 2010年 フランス映画 ヨーロッパ・コープ製作 監督・脚本:リュック・ベッソン 製作:ヴィルジニー・ベッソ...... [続きを読む]

» 【映画】アデル/ファラオと復活の秘薬…下衆い勘繰り込み。 (ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画)
今日の昼は九州北部でも雪が吹雪いていました。寒いです まずは近況… 世の中は三連休らしいですが、昨日2011年2月11日(金曜日・建国記念日)はお仕事でした …他は、特になにも無い…買い物に行ったのとレンタルしてた映画「魔法使いの弟子」を観たぐらいかなぁ。 本日20...... [続きを読む]

» アデル (映画的・絵画的・音楽的)
 フランス版インディ・ジョ−ンズもあるいはおもしろいかもしれないと、『アデル ファラオと復活の秘薬』を丸の内ピカデリーで見てきました。  実は、7月31日の記事の冒頭で、「あるフランス映画を見ようと思って出かけたところが、狙った時間帯には上映されていないことがわかり」見逃してしまったというのがこの作品だったわけで、それが打ち切り間際だったところから、慌てて別の映画館を探して見た次第です(現在は、既にここでも違う作品が上映されています)。 (1)単に“フランスの冒険映画”ということで見てみたわけです... [続きを読む]

» ■映画『アデル/ファラオと復活の秘薬』 (Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>)
リュック・ベッソンが自ら監督を務めた映画『アデル/ファラオと復活の秘薬』は、女流冒険作家アデル・ブラン=セックがフランス~エジプトを股にかけて活躍するヒロイン・アドベンチャー。 1976年に初めて発表された、フランスの国民的人気コミックを原作にしているそう。 日... [続きを読む]

» アデル/ファラオと復活の秘薬 (C'est joli〜ここちいい毎日を〜)
アデル/ファラオと復活の秘薬10:フランス◆原題:LES AVENTURES EXTRAORDINAIRES D'ADELE BLANC-SEC/THE XEXTRAODINARY ADVENTURES OF ADELE BLANC-SEC◆監督:リュック・ベッソン「アーサーとミニモイの不思議な国」「アンジェラ」◆出演:ルイーズ・ブルゴワン、....... [続きを読む]

» アデル/ファラオと復活の秘薬 (歩いていこう。)
「アデル/ファラオと復活の秘薬」、観ました。 1911年のパリで活躍する女性ジャーナリストのアデルは、エジプトファラオの墓を目指す。 ファラオの主治医だったミイラを求めて奔走するアデルの望み、それはミイラをこの世に復活させること。 そして古代エジプトの力を借りて、瀕死の状態の妹を救うことだった。 やっぱり好きなタイプでしたね~、アデル役の女優さん。 予告編を観た時から涼しげな顔の作りが好みだったのですが、そこにアデルのチャキチャキな性格がマッチしていてとてもナイスでした^^ ジャーナリストと... [続きを読む]

» アデル/ファラオと復活の秘薬 (りらの感想日記♪)
【アデル/ファラオと復活の秘薬】 ★★★ 映画(36)ストーリー 1911年。世界の不思議と秘宝を追う女性ジャーナリスト、アデル(ルイーズ・ [続きを読む]

» 「アデル/ファラオと復活の秘薬」感想 (狂人ブログ ~旅立ち~)
 ジャック・タルディ原作の人気コミックを、鬼才リュック・ベッソン監督が映画化。20世紀初頭のフランスを舞台に、知恵と勇気と美貌を兼ね備えた女性ジャーナリスト・アデルが、... [続きを読む]

» アデル/ファラオと復活の秘薬 (LOVE Cinemas 調布)
フランスで人気のコミックス・シリーズをリュック・ベッソン自らが監督し映画化したファンタジー・アドベンチャーだ。エジプトとパリを舞台に、妹の為にエジプト王家・ファラオの侍医の作る秘薬を求める冒険が繰り広げられる。主人公アデルに抜擢されたのはルイーズ・ブルゴワン。そしてその敵役として『潜水服は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリックが出演している。... [続きを読む]

» 映画「アデル ファラオと復活の秘薬」@ヤ... (masalaの辛口映画館)
 試写会の主催はラジオ日本「イエスタディポップス・ウィズ・シネマダイヤリー」さんだ。司会は横山明日香さん、映画上映前にスポンサー様からの商品抽選会が行われた。客席は8~... [続きを読む]

» 「アデル /ファラオと復活の秘薬」 ベッソンの好きなもの詰め合わせ (はらやんの映画徒然草)
この作品はたぶんダメという方が多いでしょうね。 その理由は想像がつきます。 スト [続きを読む]

このページについて - About This Page

  •  『未完の映画評』は、映像業界で働く現役現場製作スタッフかみぃによる個人的な映画サイトです。
     “自戒としての映画批評”と銘打ち、映画館まで足を運んで観た劇場公開最新作の批評・感想・レビューをメインに、リアルタイムに進行する製作日誌、映画にとどまらない業界全般にまつわる雑談・裏話なども掲載しています。
     詳しくはこのサイトについてをご覧ください。

最近のコメント - Comments

2012年度 満足度評価 - Rating 2012

  • 2011年12月11日(日)~ 公開作品
  • ★★★★★ ≒ 溺愛
  • ★★★★☆ ≒ 秀逸
    | 最強のふたり | おおかみこどもの雨と雪 | アーティスト |
  • ★★★★ ≒ 満悦
    | 崖っぷちの男 | 捜査官X |
  • ★★★☆ ≒ 良好
    | 映画 ひみつのアッコちゃん | HOME 愛しの座敷わらし | バトルシップ | ドラゴン・タトゥーの女 |
  • ★★★ ≒ なかなか
    | トータル・リコール | 幸せへのキセキ | テルマエ・ロマエ | ももへの手紙 |
  • ★★☆ ≒ まあまあ
    | アベンジャーズ | ダークナイト ライジング | BRAVE HEARTS 海猿 | 臨場 劇場版 | 外事警察~その男に騙されるな | ブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン | ライアーゲーム-再生- | はやぶさ 遙かなる帰還 |
  • ★★ ≒ いまいち
    | エイトレンジャー | Another アナザー | ヘルタースケルター | ダーク・シャドウ |
  • ★☆ ≒ つまらん
    | Black&White/ブラック&ホワイト |
  • ★ ≒ ダメダメ
    | プロメテウス | 幸せの教室 |
  • ☆ ≒ ふざけんな
    |

最近のつぶやき - Twitter