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2010年8 月30日 (月曜日)

【映画評】劇場版 怪談レストラン (2010)

劇場版 怪談レストラン
(C)2010 劇場版「怪談レストラン」製作委員会

工藤綾乃演じる怪奇探偵・天野ハルが「死神メール」の謎を追う、子ども向けホラー『怪談レストラン』の劇場版。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2010/08/23)

 子ども向けといえど手抜かりなしの丁寧さは好印象だけど、少しは怖がらせて欲しかった。

 幽霊が出ると噂される廃墟のレストラン「怪談レストラン」のある山桜市。
 最近この街では不審な失踪事件が相次いでいた。いつしかそれは、差出人不明の「死神メール」の仕業だと噂されるようになる。
 山桜小学校6年生の大空アコ(声:白石涼子)の友だち・天野マイも死神メールのために行方不明になっていた。
 ある日、アコのクラスメート・佐久間レイコ(声:浅野真澄)の携帯電話に死神メールが届く。レイコにも近づく黒い影。が、甲本ショウ(声:優希比呂)の機転により、その危機は去った…。
 一方、山桜中学校に現れる自称「怪奇探偵」天野ハル(工藤綾乃)。彼女は死神メールの最初の被害者・黒川リュウ(冨田佳輔)の情報を得るため、彼の親友・皆神カオル(森崎ウィン)に会いにここに来たのだ。しかしそのときすでに、カオルにも死神メールが届いていた…。

 全50巻にもおよぶベストセラー児童文学『怪談レストラン』を原作とするテレビアニメの劇場版。しかし、最初の10分ほどがテレビ版を受けたアニメーションによる導入部で、本編は実写という異色作。
 主演は「第12回全日本国民的美少女コンテスト」グランプリ受賞者・工藤綾乃。
 監督は『催眠』(1999年)、『感染』(2004年)、『シャッター』(2008年)といったホラー作品で知られる落合正幸。

 子どもたちに大人気という原作やテレビアニメ版はまったく知らなかったのだが、Jホラーの一角を成すホラー請負人・落合正幸監督が子ども向けの作品を撮るという、ただその一点の興味で鑑賞。
 決してポスターの工藤綾乃ちゃんがえらく可愛くて釣られたとか、まんまと引っかかったとか、しっぽを振ったとか、そんな下世話な理由じゃございませんので、誤解ないきよう。

 もともと一話完結タイプのお話らしいこともあって、予備知識なしでも話についていけます。
 導入部のアニメパートですぐにわかりますが、要は学校の怪談とか都市伝説とか、そういった類の現代的怪談話。
 ここではまだ「早く綾乃ちゃんを出せ」と焦ってはいけません。アニメパートは「前菜」ですから。

 でもって、いよいよ実写パートの「メイン」。
 待ちに待った、わけじゃないですけど、颯爽と工藤綾乃ちゃん登場!!!
 彼女が本編の主役です。ええ、主役です。
 えーと、確か「怪奇探偵 天野ハル」と名乗っていましたが、そんなの名ばかりの肩書き。探偵らしさは終始微塵も感じさせません。それはそれは凄まじいほどの潔さです。綾乃ちゃんの凄まじいほどの可愛らしさに負けず劣らずといったところでしょう。
 あと、名前は失念してしまいましたが、二人ほどの男の子と、メガネっ娘、やたらこぶしの回る小学生女児がメインキャストだったように思います。ハイ。

 おっといけない、闇のギャルソンを演じる白塗り西村雅彦、紫ババアを片桐はいり、妙なオバケコンビにアンガールズのお二人といった感じの鉄壁の布陣で、超個性的な面々が脇を固めてます。
 こういうところでこの作品の方向性を理解しとくべきだったんですが、怪談とは言ってますが、その実、脱力コメディ色がかなり強い。
 逆に言うと、まったく怖くはないです。むしろ笑ってしまう映画でした。まさか綾乃ちゃんの可愛らしさにニンマリしていたわけじゃないです。(キリッ

 うっかり忘れるところでしたが、ストーリーはと言いますと、天野ハルという役を演じた工藤綾乃ちゃんが、確か、連れ去られた妹という設定のこぶし女児を救うため、イケメン男子や、ぺちゃんこメガネっ娘と共に、妙ちきりんなオバケたちと闘ってました。
 cobaさんによるBGMもノリノリで、それはそれは愉しかったです。いやホント。

 閑話休題。

 お話は完全に子ども向けのホラー・コメディですが、落合正幸監督の演出はすごく丁寧。手抜かりなくちゃんと映画してるなぁって感じで、すごく好感持てる。
 惜しむらくは、せっかく落合監督を担ぎ出したんなら、少しぐらい怖くして欲しかったかな。中田秀夫監督の『L change the WorLd』(2008年)ばりの怪作を期待していたので。
 でも、落合監督がこんなコメディを撮れるんだってのは、ちょっと驚き。この先、どういう方向に行くんだろうっていう楽しみは収穫。

 付け加えると、劇場用パンフレットが、これもなかなか丁寧な作りで嬉しくなった。
 前半はこの手の映画で定番の、写真やイラストいっぱいのキャラ解説やストーリー解説。
 驚いたのは後半、撮影過程を記録したプロダクション・ノートや監督インタビューとかにも、全文ふりがなが振ってあって、「クランクイン(撮影開始〈さつえいかいし〉)」とか、易しい言葉で小学生でも読めるようになっているのね。
 子ども向け映画でのこういう気配りって、子どもたちに映画撮影という仕事を知ってもらう、職業に興味を持ってもらうために、とっても有意義なことだと思うんで、どんどんやって欲しいと思う。

 そういや、おやじ一人で観に行ったのに、入場者プレゼントとしてメモ帳とシールもらっちゃった。裏表紙はポスターと同じ柄の、工藤綾乃ちゃん。
 こんなもんもらっても困っちゃうんだけどなぁ…。チケット売り場のお姉さん、GJ!

作品データ - Film Data

  • 【キャスト】工藤綾乃/森崎ウィン/剛力彩芽/冨田佳輔/さくらまや/田中卓志(アンガールズ)/山根良顕(アンガールズ)/長友光弘(響)/松村利史/片桐はいり/西村雅彦
  • 【キャスト(声の出演)】白石涼子/優希比呂/浅野真澄/土井美加/大谷育江/西村ちなみ/阪口大介/麻生美代子/平田広明
  • 【監督】落合正幸
  • 【製作】高橋浩/小林幹男/平城隆司/服部洋/遠藤茂行/古賀誠一/山下聡/竹中一博
  • 【企画】古賀誠一/森下孝三
  • 【ゼネラルプロデューサー】梅澤道彦/北崎広実
  • 【プロデューサー】浅間陽介/鈴木篤志/松久智治/角田朝雄/山田大介
  • 【原作】松谷みよ子(責任編集)「怪談レストラン」
  • 【脚本】米村正二
  • 【音楽】coba
  • 【撮影】五木田智
  • 【照明】花岡正光
  • 【美術】山崎輝
  • 【録音】岩丸恒
  • 【編集】深沢佳文
  • 【キャスティングプロデューサー】里内英司
  • 【アソシエイトプロデューサー】大越大士
  • 【監督補】松永洋一
  • 【装飾】高橋俊秋
  • 【音響効果】森山顕仁
  • 【VE】吉川博文
  • 【スクリプター】上出悦子
  • 【衣裳】沢柳陽子
  • 【ヘアメイク】mi-co
  • 【特殊メイク/造型】中田彰輝
  • 【助監督】伊藤大輔
  • 【制作担当】道上巧矢
  • 【〈アニメーションパート〉演出】佐藤宏幸
  • 【音楽プロデューサー】峰征昭/清水健
  • 【主題歌】「愛言葉」超新星 [作詞]青葉紘季/Kohljar [作曲]tsunenori [編曲]tsunenori
  • 【VFXプロデューサー】野口光一
  • 【VFXディレクター】スズキケンスケ/平田耕一
  • 【VFXラインプロデューサー】野澤一弥
  • 【製作】劇場版「怪談レストラン」製作委員会(東映アニメーション/エル・ティー・コーポレーション/テレビ朝日/電通/東映/バンダイ/バンダイビジュアル/オスカープロモーション)
  • 【製作プロダクション】オスカープロモーション/東映アニメーション
  • 【制作協力】ビデオフォーカス
  • 【原作協力】童心社
  • 【配給】東映
  • 【日本公開】2010年
  • 【製作年】2010年
  • 【製作国】日本
  • 【上映時間】100分

コメント (4)

こんちは。
映画生活からとんできました。

釣られた、引っかかった、尻尾を振ったの下りがツボです。

えーと、ちなみに私は尻尾を振りました。

あと、東映は最近、どんな作品でもプログラムの充実度だけは目を見張るものがいつもあると思ってます。なかなかプログラムを買うまでには至らないのですが、買うといつもいい出来です。

◆ふじき78さん
落合正幸監督の指導がいいのか、工藤綾乃ちゃん以外の子もなかなか良かったと思ってるんですけどね、まあこの映画は綾乃ちゃん抜きには語れませんから(笑)
劇場用パンフって、値段はどれもほとんど似たり寄ったりなのに、充実度は雲泥の差がありますね。
落合監督の真面目な演出ともども、パンフの丁寧さも好印象で、この映画はお話はどうってことないけど、どうも憎めないんです。子ども向け映画なりに、観て良かったなって思えました。

はじめまして。日本ブログ村で学校の怪談コミュの管理人を
している柿ノ木レオです。
私も怪談レストランが好きでブログを書いています。
もう少し長く放送して欲しかったですよね~♪

◆柿ノ木レオさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
テレビ版はまったく知らなかったんですけどねぇ(><)
映画版は、これはこれで結構愉しめましたよ。

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