映画評 - Reviews

2012年8 月28日 (火曜日)

【映画評】桐島、部活やめるってよ (2012)

些細なきっかけで日常が崩壊していく高校生たちのやるせない姿を赤裸々に描いた青春映画の傑作。

【満足度:★★★★★】 (鑑賞日:2012/08/26)

 俺たちは、この世界で生きていかなければならないのだから。

 11月のある金曜日、高校の英雄的存在だったバレー部キャプテンの桐島が突然部活をやめる。
 生徒たちのいつもと変わらぬ日常は、その噂をきっかけに歯車が狂い始め、それぞれの関係もざわめきたつのだった…。

 第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名ベストセラー小説を、『パーマネント野ばら』(2010年)の吉田大八監督が映画化した青春群像劇。
 多感で複雑な思いを秘めた高校生を神木隆之介、橋本愛、大後寿々花、東出昌大らピュアな若手俳優陣が好演。

続きを読む "【映画評】桐島、部活やめるってよ" »

2011年10 月31日 (月曜日)

【映画評】ミッション:8ミニッツ (2011)

8分間だけ犠牲者の意識に入れる装置を使って、連続爆破テロの犯人を突き止めようとするSFサスペンス。

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2011/10/30)

 『月に囚われた男』のダンカン・ジョーンズ監督が再び放つSFサスペンスの快作。

 コルター・スティーヴンス大尉(ジェイク・ギレンホール)が目覚めるとそこはシカゴ行きの電車の中だった。目の前の席に座っている女性クリスティーナ(ミシェル・モナハン)から「ショーン」と呼ばれるが、コルターはショーンも彼女のことも知らない。自分の身に何が起こっているのかもわからない。
 そうこうするうちにコルターたちが乗った電車が彼らもろとも大爆発を起こす。
 と、次の瞬間、コルターは密閉されたカプセルの中にいた。意識が朦朧とするコルター。モニター越しに軍の制服を着た女性グッドウィン(ヴェラ・ファーミガ)が声をかける。
 実はコルターは、特殊な装置により列車爆破テロの犠牲者ショーンの残された記憶とリンクし、爆弾を仕掛けた犯人を突き止める任務に携わっていたのだ。しかし過去を追体験できるのは爆破直前の8分間のみ。犯人を突き止めるまで、繰り返し生前のショーンの身体とシンクロするコルターだったが…。

続きを読む "【映画評】ミッション:8ミニッツ" »

2011年7 月24日 (日曜日)

【映画評】コクリコ坂から (2011)

戦後の混乱期を経て高度成長期へ駆け上がる時代の横浜の街を舞台に、少女の恋心を描いた青春映画の佳作。

【満足度:★★★☆】 (鑑賞日:2011/07/22)

 少女漫画を原作とする青春恋愛映画然とした本作だが、その実、大人向けの作品に仕上がっている。
 惚れた腫れたの恋バナにとどまらない予想外のクライマックスに、大いに感動させてもらった。

 東京オリンピックを翌年に控えた1963年5月の横浜。
 母方の実家の元病院の下宿屋・コクリコ荘の賄いをしながら仕事のため海外に行っている母・良子(声:風吹ジュン)の帰りを待つ高校生の松崎海(声:長澤まさみ)。彼女は毎朝、海に向かって信号旗を揚げている。
 タグボートでその旗に返礼の信号旗を揚げる少年・風間俊(声:岡田准一)。彼は父・明雄(声:大森南朋)の操縦するタグボートで通学しているのだが、海はそのタグボートの返礼に気づいていなかった。
 二人の通う港南学園では古くなったサークル棟・カルチェラタンの取り壊しが部員たちの間で大問題となっている。取り壊しに対する抗議のため、生徒会長の水沼史郎(声:風間俊介)の宣言の元、新聞部である俊がカルチェラタンの屋根から貯水池に向かって飛び降りるのを目の当たりにした海。
 彼女はこれをきっかけに俊に恋心を抱くのだが…。

 監督は『ゲド戦記』(2006年)で散々な評価を受けた宮崎吾朗。
 脚本に吾朗の父でもある巨匠・宮崎駿が携わっているのも話題のスタジオジブリ制作の長編アニメーション。

続きを読む "【映画評】コクリコ坂から" »

2011年7 月23日 (土曜日)

【映画評】ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 [3D] (2011)

ハリーとヴォルデモート卿の運命の闘いがついに決着!

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2011/07/21)

 10年にも渡ったハリー・ポッターシリーズも遂に完結。見事な大団円で魅せてくれます。

 不幸にも命を落としたドビーを埋葬したハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)、ロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)、ハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)たちに悲しみに暮れる時間などなく、“名前を言ってはいけないあの人”こと宿敵ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)を倒すべく決意を新たにする。
 一方、死の秘宝のひとつ最強の杖“ニワトコの杖”を手に入れたヴォルデモートは次々と魔法界を掌握していった。ついにはホグワーツ魔法学校も、闇の勢力に仕えるセブルス・スネイプ(アラン・リックマン)が校長の職に就くのだった。
 ヴォルデモートを倒すにはどこかに点在する彼の魂を封印した分霊箱をすべて破壊しなくてはならない。探す次なる分霊箱がグリンゴッツ銀行にあると睨んだハリーは一計を案じ、ゴブリンのグリップフック(ウォーウィック・デイビス)と取引をするのだが…。

 物語の核心は避けますが、以降に展開上のネタバレを多少含みます。原作未読かつ本編をまだ観ていない方はその点ご留意ください。

続きを読む "【映画評】ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2" »

2011年7 月21日 (木曜日)

【映画評】大鹿村騒動記 (2011)

江戸時代から続く村歌舞伎を守る山村を舞台にして軽妙に描かれる原田芳雄主演の人間喜劇。

【満足度:★★★★】 (鑑賞日:2011/07/19)

 原田芳雄入魂の遺作、とくと見届けたで候。

 長野県の小さな山村・大鹿村。この村の誇りは300年以上途絶えることなく続いてきた伝統行事、大鹿歌舞伎。村でシカ料理店「ディア・イーター」を営む風祭善(原田芳雄)はその花形役者である。
 ある日、彼の店になんともワケありそうなアルバイト希望の青年・大地雷音(冨浦智嗣)が訊ねてくる。一見無骨で気むずかしそうな、でも実は人のいい善はなんだかんだ言いながらも雷音を雇い入れる。雷音の前では強がって見せるが善は18年前に女房に逃げられた哀れなひとり暮らしなのだ。
 大鹿村はリニア新幹線の誘致でモメていた。この日も村役場で会議が開かれたが、5日後に公演を控えた大鹿歌舞伎のことで頭がいっぱいの善はそんなことなど二の次に芝居の稽古に皆を引っ張り出す。
 稽古する村民たちには尚も誘致問題がくすぶり不協和音が続く。と、その舞台に、18年前に駆け落ちして逃げたはずの善の妻・貴子(大楠道代)と幼なじみ・治(岸部一徳)のふたりがひょっこり姿を現し…。

 主演を当代きっての個性派俳優・原田芳雄が務め、大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、石橋蓮司、小野武彦、三國連太郎といった蒼々たる豪華な俳優陣が脇を固める人間群像喜劇。
 監督は『どついたるねん』(1989年)、『KT』(2002年)、『亡国のイージス』(2005年)、『闇の子供たち』(2008年)などで知られる阪本順治。
 ベテラン荒井晴彦が『KT』以来10年ぶりに阪本と組んで脚本を共同執筆していることも話題。

続きを読む "【映画評】大鹿村騒動記" »

2011年7 月19日 (火曜日)

【映画評】アンダルシア 女神の報復 (2011)

外交官・黒田康作が邦人殺人事件の裏に隠された国際犯罪の巨悪を暴く。

【満足度:★★★】 (鑑賞日:2011/07/14)

 前作『アマルフィ 女神の報酬』(2009年)から2年、織田裕二扮する外交官・黒田康作がスペインを舞台にマネーロンダリングに絡んだ殺人事件の謎に挑む、外交官・黒田康作シリーズ第二弾。
 前作も世間の酷評ほど嫌いじゃない筆者なんで、本作もそれなりに期待して鑑賞。
 ヨーロッパの美しい景色を堪能しつつ、ちょいと頭をひねるサスペンスとして腹八分目、前作以上に愉しめた。

 スペインとフランスの国境に位置する小国アンドラで日本人投資家・川島直樹(谷原章介)が遺体が発見された。
 サミットの準備でパリを訪れていた外交官・黒田康作(織田裕二)が調査のために現地に派遣される。
 事件の担当者・インターポール捜査官の神足誠(伊藤英明)は遺体の第一発見者・ビクトル銀行行員・新藤結花(黒木メイサ)の証言により物盗りの犯行と結論を急ぐが、結花と神足はそれぞれに秘密を抱えていた…。

 テレビシリーズ化もされ人気も上々の本シリーズ、前作『アマルフィ 女神の報酬』に引き続き西谷弘が監督を受け持つ。
 『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の黒木メイサ、『海猿』シリーズの伊藤英明のふたりが黒田を翻弄する重要な役どころで花を添える。

続きを読む "【映画評】アンダルシア 女神の報復" »

2010年10 月 5日 (火曜日)

【映画評】パンドラム (2009)

6万の民を乗せた巨大宇宙船で冷凍睡眠から目覚めた船員が遭遇した恐怖。

【満足度:★★★】 (鑑賞日:2010/10/01)

 パンドラの箱を開けたのは誰だ。

 西暦2174年、地球上の限られた資源は枯渇し、そのために争いが絶えなかった。そんな折、地球から遥か離れた惑星タニスが地球によく似た星だとわかる。タニスへの移住のため、巨大宇宙船エリジウムは選ばれた6万人の人間を乗せ、宇宙に旅立ったのだった。
 それから何年、何十年が経ったのか、ふいにバウアー伍長(ベン・フォスター)が冷凍睡眠から目覚める。しかしバウアーは、長期にわたる冷凍睡眠の後遺症で眠る前の記憶をほとんど失っていた。
 あたりには人がおらず、どうも船内の様子がおかしいと思う中、彼はペイトン中尉(デニス・クエイド)を目覚めさせ、指揮を仰ぐ。
 宇宙船エリジウムの原子炉の調子が悪いと気づきたふたりは、これを再起動させるため、エンジニアであるバウアーが原子炉へ向かう。が、その途中、見たこともないおぞましいモンスターに命を狙われるのだった…。

 『バイオハザード』(2001年)や『エイリアン VS. プレデター』(2004年)で知られるポール・W・S・アンダーソンが製作を手掛けた宇宙SFスリラー。
 監督はドイツ出身の新鋭クリスチャン・アルバート

続きを読む "【映画評】パンドラム" »

2010年9 月 6日 (月曜日)

【映画評】瞳の奥の秘密 (2009)

1974年のブエノスアイレスを襲った残虐な殺人事件を発端に、人間の業をえぐり出すミステリー・ドラマ。

【満足度:★★★】 (鑑賞日:2010/09/04)

 うーん、自分には高尚すぎる映画だ、たぶん。

 刑事裁判所を定年退職したベンハミン・エスポシト(リカルド・ダリン)は、かつて担当し、いつまでも心から離れない忌まわしき殺人事件を題材に小説を書こうと決意。
 久しぶりに当時の職場を訪れたベンハミンを、事件当時判事補だった元上司のイレーネ・メネンデス・ヘスティングス(ソレダ・ビジャミル)が温かく迎える。今や彼女は検事に昇格し、二人の子供を持つ母親だった…。
 25年前の1974年、ブエノスアイレスの新婚夫婦を襲った悲劇。銀行員の夫リカルド・モラレス(パブロ・ラゴ)の不在中、新妻の女性教師リリアナ・コロトが自宅で暴行され、殺害されたのだ。
 担当を押しつけられて渋々現場へ向かったベンハミンだったが、現場の惨状を目にし…。

 本年度、第82回米アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したスペイン、アルゼンチン合作映画。

続きを読む "【映画評】瞳の奥の秘密" »

2010年8 月31日 (火曜日)

【映画評】ハナミズキ (2010)

一青窈のヒット曲「ハナミズキ」をモチーフとした、新垣結衣主演の遠距離純愛ラブストーリー。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2010/08/30)

 序盤はソリが合わなかったが、世界観が拡がっていく後半の展開は好き。

 カナダ、長距離バスに揺られる一人旅の女性・平沢紗枝(新垣結衣)。彼女は手にした写真に写る灯台を目指していた。
 時は遡り北海道、高校三年生の紗枝は、早稲田大学の推薦入学の試験を受けるため、緊張した面持ちで電車に揺られていた。その電車に乗り合わせた教習所に向かう木内康平(生田斗真)。彼は漁師の父の跡を継ぐべく水産高校に通う少年。
 ところが、二人の乗った電車が鹿と衝突、停まってしまう。これが恋する二人の運命的な出逢いだった…。

 一青窈のヒット曲「ハナミズキ」をモチーフとした10年にわたる純愛ラブストーリー。
 『恋空』(2007年、監督:今井夏木)、『BALLAD 名もなき恋のうた』(2009年、監督:山崎貴)の新垣結衣と、『人間失格』(2009年、監督:荒戸源次郎)、『シーサイドモーテル』(2010年、監督:守屋健太郎)の生田斗真が、10年越しの遠距離恋愛に揺れる主役二人を務める。
 監督は『いま、会いにゆきます』(2004年)、『涙そうそう』(2006年)の土井裕泰。

続きを読む "【映画評】ハナミズキ" »

2010年8 月30日 (月曜日)

【映画評】劇場版 怪談レストラン (2010)

劇場版 怪談レストラン
(C)2010 劇場版「怪談レストラン」製作委員会

工藤綾乃演じる怪奇探偵・天野ハルが「死神メール」の謎を追う、子ども向けホラー『怪談レストラン』の劇場版。

【満足度:★★☆】 (鑑賞日:2010/08/23)

 子ども向けといえど手抜かりなしの丁寧さは好印象だけど、少しは怖がらせて欲しかった。

 幽霊が出ると噂される廃墟のレストラン「怪談レストラン」のある山桜市。
 最近この街では不審な失踪事件が相次いでいた。いつしかそれは、差出人不明の「死神メール」の仕業だと噂されるようになる。
 山桜小学校6年生の大空アコ(声:白石涼子)の友だち・天野マイも死神メールのために行方不明になっていた。
 ある日、アコのクラスメート・佐久間レイコ(声:浅野真澄)の携帯電話に死神メールが届く。レイコにも近づく黒い影。が、甲本ショウ(声:優希比呂)の機転により、その危機は去った…。
 一方、山桜中学校に現れる自称「怪奇探偵」天野ハル(工藤綾乃)。彼女は死神メールの最初の被害者・黒川リュウ(冨田佳輔)の情報を得るため、彼の親友・皆神カオル(森崎ウィン)に会いにここに来たのだ。しかしそのときすでに、カオルにも死神メールが届いていた…。

 全50巻にもおよぶベストセラー児童文学『怪談レストラン』を原作とするテレビアニメの劇場版。しかし、最初の10分ほどがテレビ版を受けたアニメーションによる導入部で、本編は実写という異色作。
 主演は「第12回全日本国民的美少女コンテスト」グランプリ受賞者・工藤綾乃。
 監督は『催眠』(1999年)、『感染』(2004年)、『シャッター』(2008年)といったホラー作品で知られる落合正幸。

続きを読む "【映画評】劇場版 怪談レストラン" »

このページについて - About This Page

  •  『未完の映画評』は、映像業界で働く現役現場製作スタッフかみぃによる個人的な映画サイトです。
     “自戒としての映画批評”と銘打ち、映画館まで足を運んで観た劇場公開最新作の批評・感想・レビューをメインに、リアルタイムに進行する製作日誌、映画にとどまらない業界全般にまつわる雑談・裏話なども掲載しています。
     詳しくはこのサイトについてをご覧ください。

最近のコメント - Comments

2012年度 満足度評価 - Rating 2012

  • 2011年12月11日(日)~ 公開作品
  • ★★★★★ ≒ 溺愛
  • ★★★★☆ ≒ 秀逸
    | 最強のふたり | おおかみこどもの雨と雪 | アーティスト |
  • ★★★★ ≒ 満悦
    | 崖っぷちの男 | 捜査官X |
  • ★★★☆ ≒ 良好
    | 映画 ひみつのアッコちゃん | HOME 愛しの座敷わらし | バトルシップ | ドラゴン・タトゥーの女 |
  • ★★★ ≒ なかなか
    | トータル・リコール | 幸せへのキセキ | テルマエ・ロマエ | ももへの手紙 |
  • ★★☆ ≒ まあまあ
    | アベンジャーズ | ダークナイト ライジング | BRAVE HEARTS 海猿 | 臨場 劇場版 | 外事警察~その男に騙されるな | ブライズメイズ~史上最悪のウェディングプラン | ライアーゲーム-再生- | はやぶさ 遙かなる帰還 |
  • ★★ ≒ いまいち
    | エイトレンジャー | Another アナザー | ヘルタースケルター | ダーク・シャドウ |
  • ★☆ ≒ つまらん
    | Black&White/ブラック&ホワイト |
  • ★ ≒ ダメダメ
    | プロメテウス | 幸せの教室 |
  • ☆ ≒ ふざけんな
    |

最近のつぶやき - Twitter

カテゴリー - Categories